きのは「こどもの日」。結、優希の母ブッキが子供たちを連れて機関車トーマス関連のキャラクターで遊ぶべく八王子へ。それで爺か婆に補助をお願いしたいという。婆は連日の子守りで疲れていてまた小生の出番。
会場は「東京たま未来メッセ」といい、「東京都立多摩産業センター」とサブ名称が付く大きな建物。八王子駅北口で見た地図にそれが表示してなく人に聞きまわる。
すぐ近くだとわかったが嫌な予感がした。
まず入場料が1000円。こんなに払う施設で子守りをしたことがない。入ったそうそう「最後尾」の看板を持つ係がいる。機関車トーマスの前で写真を撮る行列である。しばらく列にいたが嫌になりブッキを促して離脱。
見渡せばそこらじゅうに「最後尾」。
順番待ちして遊ぶなど結としてこなかった。それに待った結果何かするのに200円を取られる。子供は待つことと束縛されることが嫌い。
なぜブッキはこういう場所へ来たがるのか。彼女だけでなく大勢の日本の父母たちが混雑の中で順番を待っている。全員がどうしようもない馬鹿に思えた。うんざりしているのが結に伝わったのか結が「ママがいない」といって泣き出す。
会場は四方が壁ゆえブッキと離れても問題はない。ママはすぐ見つかったが小生は微妙な立場であり落ち着かなかった。ママといると結に依頼心が湧き爺といると独立心が生じる、ママと爺が一緒だと子供の気持ちが変になる印象であった。
カネを払って一つの遊びをせいぜい5分ていどで終えるなど小生の趣味ではない。俗悪の極み……それでも子供たちはママと一緒でよかったかもしれない。憐れだなあ人間どもは。
ところでコロナ感染症はどうなったのか。会場でマスクをしている人をほとんど見なかった。小生は会場を出てすぐうがいした。それほどの喧騒だったがもう感染症に人の意識が行ってなかったように思う。
会場を出て、東京たま未来メッセという建物をしばし楽しんだ。外へ出てやっと寛いだ。
若葉が建物の鏡のようなガラスに映って美しい。「映ったものを書いてもろくな俳句にはならんぞ」と湘子にたしなめられたことを思い出していた。
そう思っても見ておくことが大事。「捨て目」である。そのとき句材にならなくてもあらゆるものをきちんと見ておけということ。大相撲でいう「3年先の稽古」に似る。見ておけばいつか句にひらめくことがあるという教えである。
この景色を見たのが救いであった。