原作 増田昭一
「満州の星くずと散った子供たちの遺書」「戦場のサブちゃんとゴン」「約束」(夢工房刊)
脚本 永田優子
演出 土井裕泰
出演 松山ケンイチ/二階堂ふみ/加藤清史郎/山田望叶/高澤父母道/森遥野/五十嵐陽向/伊藤かずえ/柄本時生
深田恭子(特別出演)/笹野高史/前田吟/宝田明 (特別出演)/椎名桔平(友情出演)
舞台は1945年、満州。
1945年8月9日───アメリカ軍に長崎にも原子爆弾が落とされたのと同じ日に、
ソビエトが「日ソ中立条約」を破り国境を越え、満州へ侵攻を開始。
日本からの開拓民たちは避難を余儀なくされた。
1945年8月15日――昭和天皇による「玉音放送」により国民へ日本の降伏が公表されるも
開拓民たちに公表されず、ソビエトの軍政が開始される......
物語はその、ソビエトが侵攻してきた日から動き出します。
父が出兵し、爆撃で母を失い、孤児となった佐竹三郎 は駅に向かう水野有希子らと行動を共にする。
駅に向かうも、列車は通り過ぎ、開拓民は取り残され、関東軍は捉えられ、
戦場で生き延びて新京の関東軍司令部まで辿り着いた元関東軍の中尉・戸田英一と
教師の有希子、教え子の三郎らは小学校に設けられた避難所で出会う。
爆撃や病気で親を失い、守る親のいない子供同士、寄り添い、励ましあって生きる中、
それぞれに、大切な家族と交わした約束を守ろうとする。
三郎は父に譲り受けた時計・・・
豊は母に言われた勉強をちゃんとやること・・・
友ちゃんは、独りになってもちゃんと生きる。大人になってお爺さんになるまで生きること。
そしてここを出て、記憶にもない日本へ、
生きて日本に帰る事が、彼らの約束に加えられるのですが…―
「満州に行けば土地が手に入る」 「豊かな人生が待っている」
夢と憧れを抱いて満州へと渡った貧しい日本人開拓団の家族。
幻の「満州国」で敗戦を迎え、散っていった25万もの日本人。
これは、その敗戦後を寄り添って生きた孤児たちと、
子供たちを見守り、懸命に生きた大人たちの物語…―
終戦の翌年までソ連は日本人の帰国を許さなかったこと。
また日本政府も日本人難民の帰還事業に着手するまで1年もかかったこと。
その間、ソビエト軍と中国人による攻撃や襲撃、強姦、略奪などが相次いでいたこと。
開拓移民の男性はほぼ根こそぎ徴兵されていたこと、
逃亡中に、仲間を守るために泣き止まない吾が子を手にかけるとか、
敵に辱めを受ける事を恐れる女性の自決とか、
家族を守る為に、お金で中国人の妻になるとか、、
生きる為に中国人の養子になるとか、、、遠慮がちに盛り込まれています。
ゴールデン枠の、子供の目を意識しての演出になってはいますが、
実際はこの何倍もの悲惨な現状であったことは容易に想像できます。
敗戦後、直ぐに帰国できていれば。。。
そう思わずにはいられないけれど、、、
戦争の残酷さを感じながらも、懸命に、
思いやりと分かち合いの心を持って、生きた子供たちの姿から、
私たち親も、何かを感じ、伝えていかなくてはならないでしょう。
様々な方面への配慮もなされているので、小さいお子さんと一緒でもご覧になれる、
とてもいい教科書だと思いました。
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