十一面観音のすぐ横にある大きなヨノミの木は、私が子供の頃からすでにこの程度の大きさがあったように思える。試しに木の周囲を測ってみると、丁度3mあった。一体樹齢は如何ほどなのだろうか? 我が地区には、このような大きなヨノミの木が数本みられる。
「ヨノミの木」と言うのは正式名称ではないようで、熟した果実のことを「ヨノミ」あるいは「ヨノキ」というようで、樹木そのものは「エノキ=榎」と言うのが正式のようだ。
このエノキ、大和地方では神木とされているようで、そればかりでなく、古来より人間の具体的な生活に密接に役立っていたようだ。例えば、一里塚に植樹され、旅する人にオアシスを提供するなどしていたとのことである。確かに、たくさんの枝が四方に伸びており、夏ともなれば青々とした葉っぱをたくさんつけ、木の下はいかにも涼しげである。
ヨノミは、秋に果実が赤褐色に熟し、甘くて美味しい。子供の頃、ムクの実とともに良く食べたものである。
そして、もうひとつヨノミで思い出されるのは、実が熟す前の緑色の時にこれを採り、鉄砲(竹でっぽう)の弾として遊んだことだ。だから、この鉄砲のことを「ヨノミ鉄砲」と呼んでいたような気がする。ところで、あの鉄砲はどうやって作っていたかなあ・・・。
材料は竹であり、先っぽ(砲身?)は節のない空洞部分を使い、手元側は節を残しておき、そこに竹ヒゴなどを削ってきつく差し込めば出来上がりだったように思う。思い出しながら、絵を描いてみました。
≪ヨノミ鉄砲の作り方≫
でも、この鉄砲の弾として、ヨノミは上等で、私はみかんの皮を使っていたことが多いように思う。それは、ヨノミは木の高い箇所に実をつけるので、小学生低学年の頃の私には、木によじ上って、その実を採るということはなかなか難しかったからだと思う。だから、上手に木に上って実を採ることのできる年長の人に分けてもらっていたように思う。
みかんの弾は、みかんの皮に竹鉄砲の砲身(?)を押し付けて皮をくりぬくものだ。でも、みかんの皮の発砲音は『ポーン』という感じで、ヨノミのほうは『パーン』という音で、こちらのほうが断然いい音をしていた。そして、当たった際にもこちらのほうが痛かった。