姪っ子メグ ちょっとぐずついたお天気なのに、小町通は人がいっぱいね。
キミオン叔父 ああ、いやだよなぁ。俺たちもまあ週末のブラブラ歩きだから、偉そうなこといえないけどさ、なんかおのぼりさんに媚を売っているような店がほとんどだろ。
濡れせんべいやお団子をパクついてるのはいいとしても、クレープは何とかして欲しいわよねぇ(笑)。
3、4軒、あったよね。あと、清里によくあるようなメルヘンな小物屋さん。似たようなカフェも乱立してるなぁ。早く、裏筋に入り込もうや。
鎌倉は、駅を反対側に出て、御成町あたりのほうが、落ち着くわね。
雪ノ下に昔知人がいてさ、ちょっと入り込めば、迷路のようになっていて、住むには風情がある日本家屋もあるんだけどね。
でも、ちょっと新しいスペース群もできてるわね。ちょっと気取ったスゥィーツのお店が中心だけど。ちょっと、おじさん向きじゃないわよねぇ(笑)。
一個600円ぐらいする奴だろ。オジサンは1本100円のみたらし団子でいいよ。
鏑木清方の美人画っていいわよねぇ。
昔はさ、こんな日本画になーんの感動もなかったけどさ、なんか年を食ったせいか、素直にいいなあと思えるようになったよ。現代に通じる美人画では、やはりこの人と上村松園が双璧だな。
清方は13歳ごろから新聞を発行していたりしていた文化人であった父親の意向で、先生について絵を学んでいる。で、父親の新聞などの挿絵画家として十代で名をあげるのね。
明治、大正、昭和とまたがって活躍した人ではあったけど、今回の切口でもある「東京」に対しても強烈なノスタルジーを持ってるね。挿絵画家からはじまって次第に美人画に向かうようになる。美人画も初期は、「一葉女史の墓」がいいね。「たけくらべ」の主人公である美登利が小説から抜け出して一葉の墓に参りに来る。なかなか珍しい構図。あと「孤児院」という作品もよかったね。明らかに山の手のお嬢様が孤児院に慰問に来ているんだけど、清方は下町だからさ、逆にお嬢様に対する憧れもあったんだろうな。
大正時代になると、やっぱり大正ロマンというか、柔らかな感じになる。「朝涼」の三つ編みの娘さんなんかも清楚で可愛らしいね。おじさんの好きなタイプでしょ。
うん、まぁ・・・。戦後はさ、日展とかの大きな出品会には参加しなくなるの。ひたすら、庶民が楽しめるような喪われ行く東京下町の慕情を思い出しては、作品にしている。神田生まれで、下町で育ったから、とくに築地川あたりの庶民の生態を、興味深げにスケッチしている。佃とかね。
製作工程もわかりやすく説明されていたわね。下絵を木炭でデッサンして、その後朱筆で確かめながら線描し、最後は墨筆で、精密に仕上げている。その下絵とかが残されているのも興味深い。
敗戦時に空襲で東京が破壊されている。戦後は、その廃墟から、いきいきしていた江戸の時代に思いを寄せているんだね。
ちょうどいま、サントリー美術館でも、鏑木清方展を開催している。メインの大作はそちらに運ばれているかもしれないけど、(鎌倉に寄贈されたわけだけど)小さな町の美術館もいいものね。
この人は、やっぱりいい意味で挿絵作家から出たということで、大衆性を持ってるんだね。展覧会でも、美術館でもなく、個人の家で自分の絵を、たとえ印刷物であっても愉しんで欲しい、という気持ちを持っている。そこが愛されるところなんだろうな。
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TB&コメント、ありがとうございしたm(__)m
昨年12月の同時期に行かれたみたいですね^^
初めて訪れたのですが、そのキッカケは
サントリー美術館で開催されていた「鏑木清方展」でした。
作品が入れ替わるので2度行きました(笑)
その後樋口一葉とのつながりや、被写体として木村伊兵衛のカメラに収まる清方を見ました。
縁は不思議なものですね~♪
かわいらしい小さな公立美術館ですけどね。
なんとなく清方が持っていた「失われていく」情景への目配りが好きですね。