サーカスな日々

サーカスが好きだ。舞台もそうだが、楽屋裏の真剣な喧騒が好きだ。日常もまたサーカスでありその楽屋裏もまことに興味深い。

mini review 11537「言えない秘密」★★★★★★☆☆☆☆

2011年09月09日 | 座布団シネマ:あ行

アジアのトップスター、ジェイ・チョウが監督デビューを果たした切ないラブストーリー。運命の恋に落ちる恋人たちを待ち受ける皮肉な運命を衝撃の展開でみせる。本作でジェイ・チョウは監督、脚本、主演、音楽の4役を担当し、その天才ぶりをみせつけた。彼の相手を『藍色夏恋』のグイ・ルンメイ、父親を香港の名優アンソニー・ウォンが演じている。劇中で披露されるジェイ・チョウの神業のようなピアノの腕前と、確かな存在感に圧倒される。[もっと詳しく]

ジェイ・チョウの才能は、限りなく開花していく。

たしかにいろんな情報で、ジェイ・チョウはアジア圏の大スターであるということは聞いていた。
彼が提供している楽曲はよく聞くし、行ってはいないが08年の武道館コンサートはチケットが初日分は30分で完売ということも聞いていた。
今年の6月には東京国際フォーラムでファンミーティングを開き、収益はすべて東北震災チャリティーとしている。
台湾で両親が教員の息子として生まれ、小さい頃から音楽を学んでいる。
そしてピアノ・チェロ・ヴァイオリン・ギター・ジャズドラムをこなせるらしい。
日本のコンサートでは琴や津軽三味線にも挑戦したらしい。
そしてこの『言えない秘密』という作品は、ジェイ・チョウの初監督作品であり、出演・脚本・音楽もこなしている。
そのこともすごいが、作品の中で彼のピアノ演奏を見ることで、コンサートに行っていない僕のようなものでも、改めて彼の音楽の才能を知ることになる。



僕が最初に彼を意識したのは『頭文字D THE MOVIE』(05年)である。
日本の大ヒット漫画を原作とするこの作品で、『言えない秘密』と同じくアンソニー・ウォン(豆腐屋の親父役)と親子関係で登場するのもご愛嬌だが、榛名山でのヘアピンカーブを「公道最速」を目指すその走りはなかなか見事なものだった。
それでも、その時は、イケメン度においては、共演したエディソン・チャンやショーン・ユーなんかには負けるよなぁと思っていたが、知名度や人気ではすでにレベルが違っていたのだ。
ジェイ・チョウの人気のパロメーターはいろいろ報告されている。
『言えない秘密』(07年)以降に限っても、Wikipediaから抜粋すると、次のようにその評価の高さが記されている。



●07年上海コンサートでジャッキーチェンやアンディ・ラウを超え、過去最多集客数を記録。
●09年中国版紅白歌合戦で95.6%の瞬間最高視聴率。
●09年米CNNテレビの「アジアで最も影響力のある人物25名」で台湾人から唯一選出。
●10年中国圏CM33社となり、新記録達成。
●10年米ビジネス誌が選ぶ「ビジネスシーンで最もクリエイティブな100人に選出。歌手ではレディ・ガガ、jay-zとともに、中国圏では唯一選出。
●10年フォーブズ中国版で「中華圏におけるセレビリティランキング」でジャッキー・チェンに続き二位選出。
●11年米TIME誌で「世界で最も影響力のある100人」のオンライン投票で2位。



多才さが十分に、これらの評価でも伺われる。
『言えない秘密』であらためて音楽の才能に加え、脚本・監督の才能を発揮したと思ったら、『カンフーダンク』(08年)では本人も好きだったバスケッットボールの才能を披露し、『酔拳/レジェンドオブカンフー』(10年)ではカンフーの技と肉体を披露している。
そしてハリウッド映画『グリーン・ホーネット』(10年)では、以前にブルース・リーがハリウッド進出で獲得したカトー青年の役を、ジェイ・チョウが射止めている。
ここでは主役のセス・ローゲンを完全に喰ってしまい、華麗なテクノロジーを操る天才青年をコミカルに演じている。
この才能を世界が放っておくわけがない。



『言えない秘密』には映画の完成度がどうのという以前の問題として、豪華なスタッフが結集した。
中国発の大作映画には欠かせない製作のビル・コン、共同脚本は『SPIRIT』などを手掛ける女性脚本家のトー・チーロン、そして撮影はホオ・シャオシェン作品などでお馴染みのリー・ピンビンだ。
誰もがジェイ・チョウと仕事をしたがっている。
若くして莫大な財産を手に入れたであろうジェイ・チョウ。
ゴシップの世界はよくわからないので知らないが、スクリーンで見る限りでは、生真面目さとお茶目さが同居しながら、天賦の才能だけではなく、与えられたミッションをプロフェッショナルにこなしていくことを禁欲的に自分に課しているように見える。
そしてなにより、周囲やファンに対しての謙虚さを持ち続けているように見える。
イケメンのスターはこれからもどれほども輩出してくるだろうが、彼の位置を脅かす存在は、ここしばらくは出そうにない。

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頭文字D THE MOVIE


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