サーカスな日々

サーカスが好きだ。舞台もそうだが、楽屋裏の真剣な喧騒が好きだ。日常もまたサーカスでありその楽屋裏もまことに興味深い。

迫力/石岡瑛子(アートディレクター)/73歳

2012年01月27日 | 毎日がメメント・モリ

国際的アートディレクター、石岡瑛子さん死去

読売新聞 1月27日(金)11時29分配信

 【ニューヨーク=柳沢亨之】AP通信などによると、国際的なアートディレクターの石岡瑛子(いしおか・えいこ)さんが21日、東京都内で、膵臓(すいぞう)がんのため、死去した。

 73歳。

 1961年、東京芸大卒。66年、資生堂のCM用に前田美波里さんのポスターを制作。さらに前衛的な「パルコ」の広告を主導した。

 日米両国の舞台や映画など幅広い分野で活躍し、87年にジャズトランペッター、マイルス・デイビスの作品「TUTU」のジャケットデザインで日本人女性初の米グラミー賞を受賞。93年にはフランシス・コッポラ監督の映画「ドラキュラ」の衣装で米アカデミー賞を受賞した。現在ニューヨークで上演中のミュージカル「スパイダーマン」の衣装も担当していた。

石岡瑛子さんは1938年生まれだから、10数歳上なんだが、日本のアートディレクターでこの人ほど「迫力」を感じた人はいなかった。
最初の出会いは、資生堂時代の前田美波里のポスターである。興奮したユーザーにどんどん剥がされて話題になった。田舎の学校で、僕もこっそりと薬局から剥がしたひとりである。
その後は、70年代のパルコの「女の時代」を先取りした数々の宣言ポスターが時代を引っ張って行った。
角川の「野生時代」の表紙も彼女のディレクションだったし、ミヤケ・イッセイとのコラボレーションや、彼女が好きだったレニ・リーフェンシュタールの西武劇場での「ヌバ展」なども懐かしい。
フェイ・ダナウェイのCMもあった。
けれども、彼女の本当の「闘い」はこれからである。
日本の枠から飛び出して、あるいは女性という枠から飛び出して、彼女が必要とされるその時点での世界で一番ホットな場所に、単独で闘いに出向いたのだ。
それがブックデザインであれ、スポーツのコスチュームデザインであれ、舞台のセットデザインであれ、レコードジャケットのディレクションであれ、映画のアートディレクションであれ、世界が彼女を必要としたし、彼女はそこで闘った。
たとえば、映画の世界だけをとってみても、日本ではもちろんワダ・エミと石岡瑛子ということになるのだが、アカデミー賞を取ったコッポラの『ドラキュラ』のコスチュームデザインにはぶったまげたものだ。
そして『ザ・セル』(00)『落下の王国』(06)と、僕の大好きなターセム監督とのコラボが続いた。
これは、石岡瑛子のアートディレクション、コスチューム・デザインを生かしたいがために撮った映画ではないかと思えたほどだ。
そんな彼女を指名したのが、北京オリンピックの総合演出をしたチェン・カイコーだ。
世界中の目をくぎ付けにしたオープニングのコスチュームデザインは、石岡瑛子だ。
なんら妥協をせずに、アートの前線で闘った不屈の精神に・・・合掌!

最新の画像もっと見る

コメントを投稿