サーカスな日々

サーカスが好きだ。舞台もそうだが、楽屋裏の真剣な喧騒が好きだ。日常もまたサーカスでありその楽屋裏もまことに興味深い。

第七十六話

2011年08月16日 | 夢脳

夕暮れの街を、私は駆けている。
周囲は瓦礫が積み重なっており、暗く沈んでいる。
隣に居るのは、大学時代に違う大学だが、いっしょに闘争をやった奴だ。
もう何十年も会ってないのに、昔とまったく変わっていない。
私たちは、カーキ色の軍服のようなジャンパーを着て、倉庫の中に入る。
そこには爆薬が隠されている。銃器もある。
彼がそれらをかき集めて、ズタ袋に詰め込んで私に渡す。
「ヤバイ」と思ったが、私はなんとなく受け取り、倉庫を出て走り出す。
こんなところで誰かに会ったら嫌だな、と思っていたら、細い露地の先で、
警官が待ち伏せている。
私たちは、隠れるように広い車庫に潜入する。
そこでとりあえずズタ袋を隠すのだが、周囲は包囲されているようだ。
彼は、なるようになるさ、と不敵に笑っている。
私は、とにかくここを脱出しなければ、と一心に集中する。
サイレンの唸りの中で、突然私と彼は空中に浮遊する。
どこにいくのかはわからないが、私は集中を切らさないようにして、瓦礫の町を飛び続ける。

図版:逢魔時(おうまがとき)


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