サーカスな日々

サーカスが好きだ。舞台もそうだが、楽屋裏の真剣な喧騒が好きだ。日常もまたサーカスでありその楽屋裏もまことに興味深い。

第百三十五話

2013年08月19日 | 夢脳

煙草が吸いたくなったが、最新のおしゃれなホテルなので喫煙ルームがすぐに見つからない。
ポケットをさぐっても煙草が見当たらない。
煙草の販売カウンターをホテルマンに聞いて行ってみる。
そこは、マスターと美しい担当レディが二人いて、バーカウンターのようになっている。
煙草の銘柄はほとんど置いていない。
マスターは静かにこちらを向いて、「こんな吸い方をご存知ですか?」と言って、
マイルドセブンのフィルターを抜き出して、そこにブレンドされた葉を刻み煙草をつめるように
専用の器具で押し詰めていく。
1本吸わせてもらったが、深みがあってうまい。
マスターは、これは特別な人にしか、教えないんです、法律で禁じられてましてね、と言ってニヤリと笑う。
担当レディたちも秘密っぽくこちらを見ている。
「いくらですか?」と聞くと「値段はつけられません」という。
「そのうち、あなたがここに立つことになります」よ、と、マスターは葉を刻みながら、私に宣告する。

図版:空木倒し
 


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