喜久家プロジェクト

日本一細長い半島、四国最西端「佐田岬半島」。 国内外からのボランティアとともに郷づくり「喜久家(きくや)プロジェクト」。

田舎者の飲み会の流儀 ~道後山の手マリアージュ・ガーデンプレイスにて~

2017-08-19 | 感動
 知り合いが今夜、道後にある「山の手マリアージュガーデンプレイス」で飲むらしい。
 なつかしい、すてきな場所だった。
4年前に一度飲んだことがあり、ブログをめくってみた。



 久しぶりに松山の街での飲み会。
田舎にはない飲み会がしたい。
 でもまちで特別な存在感を示しているのは、田舎風な空間や時間が流れているところ。
それは、建物にしても食べ物にしても。
まちに出て、田舎のすばらしさを改めて感じる。

 飲み会までの空いた時間に道後散策を続ける。
浴衣姿の観光客が、カランコロンと下駄をならし歩いている。
とても良い雰囲気。
さすが行って良かった日本の温泉ランキング8位の道後温泉。(全国約3500カ所の温泉のなかで)

 ところが観光バスや自動車の音が耳障り。
もっと落ち着ける空間や時間がほしい。
そんなことを感じながらブラブラする。

 道後温泉から少し離れた小高い所に山の手マリアージュガーデンプレイスという店がある。
田舎者には敷居が高そうな響き。
 地下通路をくぐって進むと、パッと開ける。
建物の前に広がる池。それを抱きこむような緑。

 ここでは、先ほどまでの喧噪も消えている。
チョロチョロと流れる水の音。
体と心が居心地のよさにすぐに反応する。
 この雰囲気をこわさないように池の周りを静かに歩く。
田舎者にとって自然は壊すものではなく、いっしょにあるもの。
自然の中に人も暮らしもとけこむ。


 

 時間が早いせいかお客さまは、まだ少ない。
池の畔の特等席に腰かける。
目の前のコンクリート建物がなければ、田舎そのもの。
 やがて日は落ち、あたりがだんだん暗くなる。
それとは逆に闇を照らす灯りが輝きをはなつ。



 久しぶりの街に田舎にないものを求めたが、結局心にとまったのは田舎にあるものが多かった。
「田舎に、ないものはない!!」
そんなことを改めて感じる。

 ただし田舎の良さを少し都会風・洋風にアレンジするとちがったカタチとして感じることができる。
例えば、付け出し。

 

ピーマンとキュウリをソースにつけて食べる。
サラダをお皿ではなくグラスに盛りつけ。

 食材は田舎にある。
でもその見せ方、食べ方をアレンジ。
まさにまちと田舎のコラボレーション。
 付け鉢にあるキュウリの漬け物もいいが。

 サラダをグラスに盛りつけるなど、亡くなった祖母から言わせるととんでもないこと。
お茶碗やコップ、湯飲みは、油物といっしょにしない。

 ありえなかった違いがとけ合う。
まさに違いは、豊かさにつながる。

 若い清潔な男性従業員がさまざまなサービスをしてくれた。
田舎者の私には1つの流儀がある。
それは、ひとこと声をかけ、お互いに楽しい関係をつくること。
「ありがとうございます。」
「とてもおいしそうですね。こんなもの、初めて食べます。」
そうすると従業員の方からも笑顔で
「ありがとうございます。これは○○の食材をオリーブオイルで混ぜ合わせたものです。
ごゆっくりとおめしあがりください。」


 こんなふうに言われると余計においしく感じられる。
農家の私には食材を一生懸命に作る気持ちがよくわかる。
それをおいしく調理してくれる料理人、それをお客さまに差し出すウェイター。
それ以外にも多くの人が、私が口にするサラダにも関わられている。

 物語とは。
ありふれた物に、それにまつわるさまざまなことを語らせる。
そうするとみごとに輝く。
それが物語。


 大切な食べ物や飲み物。
また、それに関わるたくさんの人たちとの語らい。
感謝、感謝。

 これが田舎者の流儀。

 店を出ると、道後の夜空にきれいな満月。
全てが満たされた時間だった。

                 岬人(はなんちゅう)



コメント
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