けろっぴぃの日記

最近、政治のことをはじめとして目を覆いたくなるような現状が多々あります。小さな力ですが、意見を発信しようと思います。

戦略的亀の歩みに拍手!

2013-03-19 22:24:29 | 政治
少し前の記事だが、実は個人的に非常に気に入った記事がある。

日経新聞2013年3月15日「米上院委、『攻撃用銃器』禁止法案を可決 銃乱射事件受け

何てことはない記事だが、実はこの様な歩みが重要であるというその典型のような記事だと思った。ご存知のように、アメリカでは最近、銃による無差別大量殺人の事件が多発し、銃の規制を求める声が高まっている。日本人の感覚からすれば、直ぐにでも銃規制への流れが出来ても良さそうだが、実際にはそうはいかない。その最大の理由は、アメリカ合衆国の憲法の修正第2条に「規律ある民兵は、自由な国家の安全にとって必要であるから、人民が武器を保有しまた携帯する権利は、これを侵してはならない。」と明確に規定しているのだ。もともと西部劇の舞台になったようなアメリカの地では、一般市民が銃を持つことで組織的な安全保障が図れると考えられ、極端な言い方をすれば(銃規制反対派の人達からすれば)基本的人権などと同列に語られるほどの人が生まれながらに持つ基本権というような議論するまでもない当然の権利とみられている。だから、銃を規制することは憲法違反にもなりかねないから、本来ならば憲法改正などとセットで語られるべき程の重たい問題となる。しかし、日本と同様に捻じれ国会的に不安定な状況が続くアメリカだから、その他の財政の崖などの重要な課題が多く残される状況で、とてもではないが無理などできる状況にはない。財政の崖問題を最重要と位置付けるなら、その峠を越えるまではとても無理はできないはずなのだが、しかし実際にオバマ大統領は着実に歩みを見せているのである。

それは、言われてみれば当然のアプローチかも知れないし、実際にクリントン政権時代に成立したことがあるというのだが、通常の拳銃などと異なり、明らかに限度を超えた戦争用の武器である自動小銃などの「攻撃用銃器」の使用を限定的に禁止しようというものである。さらに、銃の個人売買でも購入者の犯罪歴照会を義務付ける法案や、学校の警備強化の法案などを可決しているというから、少しづつ外堀を埋めて、亀の様な歩みかも知れないが、将来の銃の完全廃絶に向けた着実な歩みと言える。

これはよくよく考えると、安倍総理の最近の行動に通じるものである。TPPにしても、国益に反する例外なき関税撤廃というハードルをクリアするための日米首脳会談での言質を取り、それだけで既に着実な歩みと感じていたが、会談から1週間以内にTPP交渉参加宣言を出すかと思ったら、3週間以上の時間をかけてちゃんとした手続きをアピールしながら、国民の多くが「ここまでやればいいだろう」という頃合いを見計らって最終判断を下す。竹島問題も、政府からは竹島の日の式典に内閣府政務官を一人だけ出席させ、一方では小泉進次郎青年局長を出席させることで国民への自民党のスタンスをアピールする。こちらも亀の歩みだが、確実な歩みである。国民の全てにとって異論のないデフレ脱却へのロケットスタートとは異なり、失敗が許されず確実な歩みが求められる課題には、亀でも良いから確実に歩みを進める。重要なのはその使い分けなのだが、その使い分けには用意周到な戦略が裏に潜んでいる。

オバマ大統領は2期目の就任演説でも銃規制の強化を訴えていた。医療保険制度改革にしても、銃の場合と同様だが日本人からすれば当たり前すぎてその必要性を議論する気にもならないようなことが、アメリカでは決して常識ではない。それでも前に進めてきたその戦略性が、やはりオバマ大統領には伴っているのだろう。

細かな一つのことで全てを語るのは危険ではあるが、個人的にはこれだけ重要な課題に関する戦略的亀の歩みに私は拍手を送りたい。まだ、法案の成立までには乗り越えるべきハードルがあるのだろうが・・・。

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