けろっぴぃの日記

最近、政治のことをはじめとして目を覆いたくなるような現状が多々あります。小さな力ですが、意見を発信しようと思います。

もうそろそろ昔の政治とオサラバし、初心に立ち返ろう!

2013-03-01 22:50:40 | 政治
昨日、安倍総理の施政方針演説があった。新聞やテレビでも色々と取り上げられたが、安倍総理が演説の最後で述べた一節についてはあまり取り上げられていない。内容的には当たり前のことが多いが、正直、私はこの施政方針演説を心地よく読ませていただいた。新聞取り上げたのは多分、下記の産経新聞の記事ぐらいだろう。テレビについてはあまり確認はしていないが、今日のひるおびで取り上げていた。

産経ニュース2013年2月28日「貝原益軒の『牡丹の花』の逸話で野党に協力呼び掛け

ここでは貝原益軒に関する逸話を引き合いに出し、「我々が議員になったのは国家、国民のためであって、政争に明け暮れるためではない。足を引っ張り合うのではなく、政党や派閥を超えて前向きに立ち向かっていくべきではないか!」ということを訴えていた。極めて当たり前のことであるし、先日までは野党の最大の仕事は政権を奪取することと言っていたのだから、「お前が言うか?」と言いたくなる人もいても仕方がない。しかし、ここ最近の安倍政権の行動や成果に加え、70%を超える高い内閣支持率を背景に、ここまで危機に陥った日本を再生するためには、もはや選挙を終えたら物事に是々非々で対応し、反対するなら対案を出すなどの前向きで建設的な議論をしなければならない。それを再確認したかったのだろう。

この施政方針演説の全文は上記の産経ニュースに掲載されているので読んでみれば良いが、非常にストンと心に落ちてくる。ひるおびでの解説によれば、通常の総理の施政方針演説では各省庁から言いたいこと(言うべきこと)を吸い上げて、それを短冊状に並べて全体を構成するやり方が一般的だが、今回は安倍総理自身がここで国民に語りたいことの草案を作成し、これを首相官邸から各省庁にばら撒いて「問題があれば指摘してくれ!」とコメントを求めて作成したのだという。もう少し正確に言えば、世耕弘成内閣官房副長官が安倍総理から十分なヒアリングを行い、これを文章にまとめて省庁に照会をかけたのだというが、どちらにしても明確な方向を政治家が示し、官僚がこれをサポートするという政治主導の典型的な例だということである。

だから、この前向きで建設的な議論を行うためには、野党であっても議論を吹っかけるのであれば、まずは自分の立場を明確にし、政府に対して反対の立場を述べるのであれば実現可能な現実的な対案を出さなければならない。しかし、その後の予算委員会の中でも、民主党の玄葉前外務大臣のTPPに対する質問の中で、相変わらず足を引っ張ることに終始した発言があった。

産経ニュース2013年2月28日「玄葉氏よ、お前もか ブーメランの『お家芸』継承

珍しく安倍総理も怒り心頭に発したかのような「政治とは結果だ!今頃になって『そんなの俺たちだってできた』と言っても通らない」と発言をしていた。彼らのやり取りの論点はこうである。まず、日米共同声明は大きく3つのパラグラフで構成されている。まず第2パラグラフでは、主食である米などのセンシティブな項目に対しては交渉の結果として例外となることもあり得ることが日本の要求に応じる形で明文化されている。これに続く第3パラグラフには、逆にアメリカからの要望として、保険や自動車などに関する懸案事項に対しても真摯に取り組む旨が書いてある。この部分に玄葉前外務大臣が噛み付いた訳である。第2パラグラフに関しては、「こんなことは当たり前の話であって、明文化するまでもない。既に自分が外務大臣時代に、米通商代表部のカーク代表から話を引き出していた。」と一蹴し、こんな当たり前のことを書いてもらっても意味がない、全然、明示的に米などが聖域扱いになると約束してもらえてないじゃないかと批判した。更に続けて、第3パラグラフに関しても、「第2パラグラフを書いてもらうことと引き換えに、自動車や保健分野で譲歩することを確約してどうする!」という内容でも安倍総理を批判した。

この議論を振り返る前に、まずは玄葉前外務大臣のTPPに対するスタンスを確認すれば、彼は明らかにTPP参加賛成派なのである。だから、本来は政府が交渉参加に踏み出すことに対しては支持することを最初に表明し、何処に問題点があるかを指摘すると共に、改善提案があれば提案するのが国会議員としての責務である。言うまでもなく、多くのマスコミや有識者が、あの日米共同宣言の第2パラグラフの内容を「当たり前のこと」としながらも、その当たり前のことを中々明文化したがらないアメリカ政府に書かせたことの意義を評価している。それは、参加交渉を前に進めるためには、反対派に対して交渉開始を容認させ得るだけの「何か」を提供せざるを得ない状況にあり、この明文化された言質がその「何か」であると認めているからだ。実際、今日になってJAの会長も、「聖域なき関税撤廃を前提としないという認識に立つのであれば、関税撤廃の例外品目を必ず実現する確約をもらいたい」と僅かではあるが前向きの発言に代わってきた。無条件で絶対反対とは明らかに違うのである。JAの会長ですらその「何か」の存在を認めているのである。

もし玄葉氏がその様な言質に意味がないと考えるならば、何故、民主党政権では自らが外務大臣というTPPに関する鍵を握る閣僚でありながら、その当時に交渉参加の判断が出来なかったのかを語り、そのハードルをクリアするための道筋を示すべきである。しかし、実際のところ彼らがどうしたかといえば、彼らが民主党内の反対派に対して交渉開始を容認させ得るだけの「何か」を提供できなかったがために、決断を先延ばしにしていたのが現実である。民主党政権で出遅れた2年間はもう取り戻せない。その「何か」を勝ち取り、実際に自民党内の反対派が参加交渉容認に転じているのを見せ付けられている最中に、あの様なことを言って国民がどう感じるのかを考えていないのかと、私はその質問をするその精神を疑りたくなる。さらに、第2パラグラフの読み方を「米が聖域になるかならないかは確約されていない(交渉次第)」と解説しているのだから、全く同じ読み方をすれば第3パラグラフも「アメリカの要求する自動車、保健分野も日本が譲歩するとは確約してはいない(交渉次第)」と読むのが常識的な人の読み方である。にもかかわらず、第2パラグラフは「確約はもらえていない」と読みながら第3パラグラフは「確約してあげた」と読むのには無理がある。

安倍総理が施政方針演説の最後に語りたかったことは、まさにこういうことなのだろうと思う。もし民主党が数年後に(かっての安倍総理のように、地獄を見た常態から)不死鳥の様に舞い戻りたいなら、この考え方は根本的に改め直さなければならない。しかし、政権を取るためだけに寄せ集めた集団であるならば、もはや分裂して志を同じくする者で結集して新たな道を模索するしかない。幸いにも、民主党、日本維新の会、みんなの党の有志議員が、TPP推進を求める超党派議員連盟「TPP交渉促進議連」を立ち上げた。いっそのこと、これらの民主党議員は離党してしまったらどうだろう。参議院で補正予算が1票差であっさり可決されてしまった時点で、既に民主党の存在意義がなくなったことが証明された。参院選を待たずに、行動を起こすなら早い方が良い。そして、この様な集団がより前向きで建設的な議論を行うことを私は期待する。

←人気ブログランキング応援クリックよろしくお願いいます