けろっぴぃの日記

最近、政治のことをはじめとして目を覆いたくなるような現状が多々あります。小さな力ですが、意見を発信しようと思います。

金正日の亡霊を振り払らうには金正恩の排除しかない!

2013-03-08 23:56:32 | 政治
流石という他ないが、韓国の諜報機関なのだろうか、金正日が2011年12月に死去する直前に残した遺訓の全文を入手していたという。私は産経新聞の報道で今日になって知ったのであるが、韓国の中央日報では1月末に報道されていた内容である。

中央日報2013年1月29日「金正日『核保有を認めさせ、米国との心理戦は…』遺訓全文を初公開

多分、それは最大級の国家機密であり、流出させたことがばれたら確実に死刑なのだろうが、それでもその様なものが流出するというところが北朝鮮という国なのだろう。

さて、実際にはその遺訓全文をそのまま公開している訳ではないから要約しか分からないが、その内容は極めて理にかなったものである。44項目からなっているということだが、例えば以下の様なことが書かれている。

●核と長距離ミサイル、生化学兵器を絶えず発展させ十分に保有することが朝鮮半島の平和を維持する道である。核があれば世界と対峙できる。
●6カ国協議をうまく利用すべし。この会談を我々の核をなくす会議ではなく、核保有を世界に公式化する会議にすべきである。
●核保有国になれば、国際制裁を解除し経済発展に向けた対外的条件を勝ち取ることができる。
●協議するなら李明博の次の政権と行うべし。経済、文化交流を手始めに統一問題を解決する。ただし思想的に優位に立ち、軍事的に制圧した状態から始めよ。
●対日交渉では拉致問題を絶対に協議するな。韓国に対しても同じだ。

私は金正日のことを単なるスケベ親父かと思っていたが、要所要所をしっかりと押さえ、まだまだ若い金正恩に対する道しるべを示して亡くなったことになる。北朝鮮では超憲法的な位置づけであるという。

ただ、一方でそれが理にかなっているからこそ、ついついイケイケどんどんで調子づいてしまったのだろう。北朝鮮にとって理に適っているということは、つまりは敵対する国にとっては受け入れがたい内容となる。それは、友好国のはずの中国にとっても同じである。国連での制裁決議が全会位置でなされた後、中国の国連大使は記者団の取材に対して極めて厳しい雰囲気を漂わせながら、制裁の実効性を高めるべきだと語っていた。相当、中国はメンツを潰されたことに怒りを覚え、自らに対しても核の牙を向けられることに対する不快感を隠そうとはしていない。

ところでこの遺訓が最高レベルの国家機密であろうというのは容易に理解できるが、北朝鮮がこれを他国に知られてはいけない理由は明確である。この遺訓の中に、様々な対北朝鮮の外交交渉のヒントが示されているからである。多分、中国が厳しい内容の国連決議に賛成した背景には、先の金正日の遺訓を同じように入手している中国において、少なくとも超憲法的な位置づけの遺訓を破り核を放棄することがあり得ないと確信したことがあるのだろう。つまり、6か国協議などを続けても全く意味はないのである。

さらに重要なことは、仮に朝鮮半島の非核化を実現したければ、それは金正恩の排除が前提となるという事実である。言い換えれば、国連決議に賛同して本気度を示した中国は、(それが単なるポーズでしかなければ話は別であるが)本気で核の放棄を迫ろうと思うのであれば、本気で金正恩の排除を実現するための方策を考えるはずである。ここである程度の時間的猶予を北朝鮮に与えてしまえば、更なる核の小型化と大量のミサイルへの搭載を実行してしまい、金正恩の排除の際の返り血を激しく浴びるリスクはさらに高まる。中国が「今しかない!」と強く確信する理由は容易に理解できる。

同様のことは日本にとっても同じである。安倍総理は自らの政権で拉致問題を解決すると言ったが、そのためにはやはり金正恩の排除が前提となる。あれだけ超憲法的文書に明文化されてしまっていたら、誰がどう考えても金正恩のもとで遺訓を無視した解決などある訳がない。核問題も同様だが、拉致問題についても金正恩を排除し、金正日の亡霊を振り払わなければ解決の可能性はないのである。

多分、薄々は北朝鮮内部でもその様な事に気が付いている者はいるのだろう。中国がその様な者に救いの手を差し伸べ、金正恩を中国ないし第3国に亡命させて平和的な政権移譲を試みるのは目に見えている。しかし、「ロッキー」などアメリカ映画好きな金正恩であれば、映画「ゴッドファーザー」において、身内のマフィアのボスが敵対する組織と手打ちする話を持ち込んできたとき、「最初に手打ちの話を持ち込んできた者(身内)が裏切り者だ!」というストーリーを思い出し、早期にそいつを粛清してしまうかも知れない。こうなるとドツボにはまり身動きが取れない。

答えは簡単なのだが、それを実現するのは至難の業で命がけなのである。命を懸けて仲介する使者は北朝鮮内に現れるのだろうか?

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