けろっぴぃの日記

最近、政治のことをはじめとして目を覆いたくなるような現状が多々あります。小さな力ですが、意見を発信しようと思います。

北朝鮮の権力闘争を張成沢は乗り切れるのか?

2013-03-14 22:36:28 | 政治
下記の2件の記事を見ていただきたい。

■中央日報2013年3月14日「張成沢の引き止めにも金正恩が核実験強行

■中央日報2013年3月14日「北朝鮮軍部、金正日の遺訓掲げ党と内閣の穏健派を制圧

これまでの報道では、金正恩政権の中で張成沢氏の相対的な立場が強まりつつあるという話が聞こえてきたが、実際にはドロドロの権力闘争が繰り広げられているということだろう。昨日の時点で報道があった金正恩排除の動きに関連して、北朝鮮の対南工作を総括してきた偵察総局内部で昨年勢力争いに伴う銃撃戦があったという。この銃撃戦というのは尋常ではない。常識的に考えて、ある程度神格化されている金一族のお膝元でクーデターを思わせるような行動は、ことの如何にかかわらず死刑に直結する可能性がある。にもかかわらず銃撃戦というのだから、権力争いは余程のことだろう。張成沢氏が全権を掌握しかけたところへの反動なのだろうが、軍部の必死さがひしひしと伝わってくるニュースである。しかし、その際に軍部が利用した錦の御旗として金正日の遺訓があるということは、軍部も金正日の血を受け継いだ金正恩を持ち上げざるを得ず、金正恩の足元が揺らいでいることを直接的に意味しない。不安定ではあるが、それでも金正恩を中心に物事が動いているということなのだろう。

ところでこの記事を読んで面白いと思ったのが張成沢氏の読みである。彼は3回目の核実験に反対したと言うが、それは金正日の遺訓をないがしろにするものではなく、「既に我々は核を手にしているのだから、3度目の核実験で中国を怒らせて核を手放さなければならないリスクよりも、現状維持の方が寧ろ金正日の遺訓に適う」というロジックを組み立ててのことのようである。状況は不確定の部分が大きいが、概ね彼の読み通りに進みそうな気がする。しかし、実際には軍部の強硬派を抑えきれずに暴走し、その結果、次のシナリオを描けずに混沌とした状況にある。

この状況を考えれば、確実に張成沢氏は現在の北朝鮮の中では中国の意に沿った人物であり、中国がこの事態を打開しようと思えば彼を利用するのは当然だろう。しかし、これは金正恩の北朝鮮からの追放のキーマンになる可能性を示唆するものであり、北朝鮮内で見れば真逆の評価になりかねない。あまり時間をかけると軍部の謀略で金正恩の怒りを買って張成沢氏が粛清される恐れもあるから、中国がソフトランディングとして彼を中心とする集団指導体制を狙うのであれば急がなければならない。北朝鮮の下っ端の兵士が弾けて局地戦でも起きようものなら、それをきっかけに中国が重い腰を上げるかも知れない。ポイントは、最近のブログでも書いてきたように最初のきっかけが北朝鮮側にある場合にのみ、中国は金正恩排除のカードを切れるということである。くれぐれも韓国、アメリカは「直接的な軍事的攻撃行動を伴わない挑発」に乗らずに、常に専守防衛を徹底する自制行動が求められる。

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