けろっぴぃの日記

最近、政治のことをはじめとして目を覆いたくなるような現状が多々あります。小さな力ですが、意見を発信しようと思います。

「調教方式」にハマる日本、ハマらない台湾

2013-03-04 23:59:22 | 政治
今日は少し時間が経ってしまったが、一見関係なさそうな二つの記事について考えてみたい。

ひとつ目は、読んでみると非常に説得力のある主張である。これは下記の記事で紹介されている中国の政治・軍事研究者であるコロンビア大学のアンドリュー・ネーサン教授、ランド研究所のアンドリュー・スコベル上級研究員の「中国の安全保障追求」という本の中身についてである。

産経ニュース2013年2月26日「『中国はアメとムチで日本を調教、反日感情も政策に利用』米の大学教授ら

本の中身は読んでいないので記事の受け売りだが、確かに「調教方式」というのは言い得て妙である。言うまでもなく日本は民主主義の国だから、色々な立場の人がいる。性悪説を前提とする人もいれば、性善説を前提とする人もいる。個人対個人であれば、相互の信頼関係を築いた後では性善説を前提として良いのだろうが、民主主義から程遠い国で一党独裁の共産党が中国の国益のみを考えて行動するとき、それを性善説で捉えるのは明らかに無理がある。しかし、民主主義の日本では時の政権には冷ややかに接するのを良しとする一方、諸外国に対しては北朝鮮に対しても好意的に接しなければならないと誤解している人がいる。このような人は時の政権が中国政府と対立したとき、敵?の敵は味方とばかりに中国政府を擁護することが善だと考える傾向がある。そんな時、中国政府はその様な人(組織)に思いっきり「アメ」を与え、日本政府に逆らい中国政府を擁護するのがビジネスの上では得だと勘違いさせてしまう。反日デモで思いっきり建物や色々なものを破壊された経験を積んでも、それでも中国政府の言うことを聞いていれば自分だけは被害を受けずに済むのではないかと感じてしまう。前中国大使などは、日本政府に対峙して中国政府の言うことを聞くことが、中国駐在の邦人の安全を確保することに繋がると信じてしまっていた。まさに、目先の「アメ」が欲しければ、長期的な国益を捨てなさいと中国に諭されて、「では目先のアメを下さい」と犬が尻尾を振ってなつくように「アメ」を求めるのである。勿論、政権に批判的な立場を取ること自体は全く問題はないが、国益が何であるかは常に考えなければならず、例えて言えば「交通違反で罰金を払わされたから警察なんか嫌いだ!だから、俺はやくざ、暴力団の味方をする!」という短絡的な発想では困るのである。

この調教方式は何も日本だけに対するものではないらしく、アメリカなどその他の国々に対しても中国は採用している。ノーベル平和賞に激怒してノルウエーに制裁を加えたりしたのもその一例である。しかし、その様な調教方式に世界中の全ての人が尻尾を振って従うわけではないらしい。下記の記事が面白い。

日本経済新聞2013年2月24日「iPhone増産凍結…鴻海、中国離れの背景

経営不振のシャープとの資本提携で話題となった台湾の鴻海に関する記事であるが、中国が近隣諸国に対して覇権主義を貫こうとする政治リスクを考慮し、(だるまさんが転んだ方式的な緩やかな撤退かも知れないが)中国からの「アメ」の誘惑を断ち切り、フェードアウトしようとしているということである。それは極めて合理的な考え方で、単に労働者の賃金の高騰という視点からではなく、鴻海らしいIT関連のサプライ・チェーンの確保の視点から、様々な部品の安定供給のためには中国のウエイトを下げざるを得ないというものである。特にこの記事の中では、中国外務省は比較的ハト派という位置づけで見ているようであるが、その外務省までがグローバルな世界共通の常識を覆し、経済力を盾に外交的な屈服を世界各国に強いるようになり、もはや公正な競争はできないと諦めたということらしい。

160万人もの従業員を持つ世界最大の台湾企業の経営者の辣腕ぶり、その無茶さ加減は、トイレで幹部役員の尿の色を見て「血尿が出ていないようでは働き方が足りん!」とつるし上げる如何にも嘘っぽい噂話からも想像できるが、しかしそれだけの厳しさの中を勝ち抜いている経営者の物の考え方は、明らかに日本の経済界の重鎮の考え方とは違うらしい。この考え方は、私の様な素人にも短期的な視点か長期的な視点かという分かりやすい言葉で説明がつく。長期的な視点に立てば、調教方式に屈することは決して理にかなってはいない。日本の経済再生のためには、少なくとも経団連などの中核となる人にはこの様な長期的な視点で決断できる人が求められるのだろう。産業界にも、この様な人による政権交代が必要である。

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