けんけんブログ -guide diary-

国際山岳ガイド近藤謙司の冒険案内記!
“ハイキングからチョモランマまで”

隊員からのメッセージ

2005-09-23 21:27:49 | チョーオユー
ブログをご覧の皆さんとの時間が限られてきました。

今まで、コメントしてくれた人も、見てくれていた人も、みんなみんな
本当に感謝しています。ありがとうございました。

それにしても、いつの間にかできた“応援隊”、
素晴らしい人間の和に改めて感動をし、私たちは大きな勇気をもらいました。
皆さんのためにも、私たちは私たちなりの答えを出すべく、
それぞれの思いを胸に山頂へ向けて出発します。

計画通りに登頂ができれば、10月1日には、ティンリに下りられるでしょう。
(たぶんABCには衛星電話を持っているような隊は残っていません。)
そうしたら、公衆電話屋(開いてたら)からAGに電話を入れます。

また、つながるかどうかわからない衛星携帯を持って山頂にあがります。
もし、登頂が成功したら28日には、山頂からAGに無言電話をかけてみますね。
(大蔵さん!スラヤは使えてないんですよ!ちゃんとブログ見てください!)

ではでは、隊員からのメッセージです。


応援隊の皆さん!ながちゃん!
皆さんのメッセージひとつひとつを私たちは、胸を熱くして読んでいます。
アタック日も迫っています。応援ありがとうございました。
私自身のためにアタックします。家族に感謝して!
                                  クムジュンコ

「マジック6」本気(マジ)ですか!?
俺の登頂より先に優勝するなよタイガース!
願わくば28日に登頂&タイガース優勝と行きたいですね。
と、いうことでランナーさんにお願いです。いつものあの熱い語りで、
岡田監督を“28日優勝”ということで説得してもらえないでしょうか?
こちらも28日登頂に向け全力でガンバリますんで…。(^◇^)
                                  サシロー

私は山登りが好きな小川誠です!
山は学生時代におぼえ、40数年間続けている1940年生まれ。
8000m峰には、いつか登ってみたいと考えていたが、長期間の休みが
取れないので諦めていた。40代の頃、家族にエベレストに登りたいと
話しをしたこともあった。仕事をリタイヤした現在は時間もあり子供達も独立。
子供達に8000mに登りたいと話したら「父さんは歳を取ったので無理」だと
言われ「でも父さんが行きたいのなら行ったら!」と加えられた。
今回AG隊に参加し、登山隊としては、調度良い人数で隊長の人柄で
チームも良く纏まり、参加者3人の高度順化、コンディションも順調です。
昨日C1を往復。4日程前より天気もよくなり、私たちが頂上へ往復する
頃まで天気も安定するという話です。登頂日、天気が良いことを祈ってます。
                                  マコロじい 

というわけで、3人3色、いい感じでしょ?
彼らを応援してください。彼らの夢に手が届くまであと5日です。

昨夜から、パルマ・マンが倒れてしまいました。
SPO2が50以下になったり、ラ音が軽く聞こえているような。
本人は、ABCに居たいと言ってますが、下に下ろそうと思います。
私は、キッチンジャックして何かつくります。なに作ろうかな?

オンジェもC2への2個目のアイスフォールで右足が痙攣し動かなくなり、
パサンにABCに下ろされてきました。
(今年のルートは、アイスフォールを2回越えなくてはなりません)
でも、復活して今一生懸命に上部のシェルパのためのチャパティを作って、
明後日に控えています。

世界最強のロールワリン・シェルパたちにも応援を!


それにしてもですねぇ!前にも言ったとおり、
ブログのコメントは私が読んで聞かせてるんです!
(わかってるでしょ!ランナー!<`ヘ´>)
今日のコメントは、もう声に出して読めませんでした。
私が詰まっちゃったので、クムジュンコが助けに入って読んでくれて、
でも、クムジュンコも詰まりそうで、サシローがフォローに入ってくれて…、
って、そうですよ!マコロジイは、助けに入りたくても、
字がちっちゃくて読めないですよ!(ToT)

チョー・オユー2005年秋も、「笑い」と「涙」で包みます。

食欲ですか?はは~ん、これは天からの指令ですかね。
大丈夫です!心配無用!楽しんでます。
10日間くらい食わなくたって、私のガイディングへの支障は微塵もありません。
「シャリばて」と言ったことがあるあなた!
そんなもの、この世の中に無いことを教えてあげましょう!
すべては「人間力」です。

ではみなさん、また明日ラッセルに接続させてもらえることを祈って!

PHOTO:C1のテント脇からはじまる急斜面で講習する隊員

C1の朝食。それぞれの表情。

2005-09-23 14:24:11 | チョーオユー
今日は、休養日です。
昼間から、つながせてもらっています。
もうすぐでラッセルも帰ってきますので、
この衛星端末も忙しくなって、なかなか使わせてもらえないからね。
今日の昼間のうちにいろいろと送ります。

6400m C1からの帰還

2005-09-23 00:06:42 | チョーオユー
隊員たちは、皆無事です。15時頃にABCに帰着。
今は、音も無く各個人テントで全員撃沈しております。

3人とも、相当疲れた様子です。
パルマが作ってくれたララ・ラーメンを食べられたのは、マコロ爺だけでした。
とにかくお茶をたくさん飲んでもらって、よろよろとテントに向かいました。
ですから、たぶん強制的にトイレに起きるでしょう。

外は、昼ごろからの雪がしんしんと降り続いています。
このところ午後は、いつも雪ですね。少し見慣れましたが、感傷的な景色です。

さて、昨日からの話をしますね。2日分、濃くて長いですよ!

登頂日程をなんとか天気に合わせるため、
荷上げ(ちなみに“荷揚げ”は、船の荷揚げらしい)を急ピッチで進めてます。
シェルパたちだけでは、間に合わないのでアイゼンの必要ないC1までは、
チベッタンの協力を利用することにしました。

ABCには、各国隊から荷上げを請け負うためのチベッタンが常駐してます。(笑)
AG隊は、6人雇いましたが、荷上げ量でもめて、バタバタと…
ま、パサンが纏めましたが。

隊員は、無事に自分達の荷物が出発したのを見届け、昼前頃に出発。
前回のデポ往復よりは、歩調は良かったですね。
でも、クムジュンコは、ちょっと辛そう。
呼吸と歩調のリズムが合わないらしい。というか、わかっていない。

ぴったり一緒に歩いて、大げさに呼吸をして、
歩くリズムと呼吸のリズムの掛け合いが、大切なことを感じてもらう。
だんだん調子が出てきて、デポまで休みも含めて2時間30分くらいで来られた。

歩き出しは、リズムがつかめないらしく、しばしば立ち止まってしまうが、
そのうちに調子が出てくる、他の2人の男性を引っ張る感じだ!いい感じ!

急斜面のガレ場をもくもくと登る。前方を歩いている外国隊を抜かした!すごい!
雪が降ってきて、風も出てきた。ジャケットを着て、手袋を厚めのものに換える。
こんなところでも、凍傷にはすぐなる。身体に抵抗力が無いから、5分くらいで簡単になる。
隊員がどのくらい冷たいのか私にはわからないから、しつこく強めに、
「手が冷たくないですか?冷たいのをほっといてませんか?」と聞く。
そのたびに、隊員は、思い出したように手をマッサージする。グローブの中でグーを握る。

C1のテントが見えてきた。雪雲が一瞬切れて、青空が見える。
その青空の中から、オンジェがテルモスをもって駆け下りてくる。
顔の表情を変えるのも大変ですが、とても嬉しい瞬間でしょう。

C1は、まさしく空中都市。ガレた斜面を抜けると、
反対側は、氷河です。大きなクレバスがどかーんと一個口を開けています。
そのクレバスの対岸にも分譲されています。大変な数のテント!
今年のAGの分譲地は、C1では一番C2に近い場所!って事は、
一番高いところ!そこは、毎年、ラッセルの隊がいますが、その更に上!
テントのすぐ上から、急な雪稜が始まります!

隊員は、テントに入るなり、バタンキュー!
キューは、困るので、お茶を飲んでもらったり、テント内の整理をしてもらったり。
比較的元気な、サシローとマコロ爺がひとつのテント、クムジュンコは、僕と一緒。
夕食を作り、尾西のパックライスが配られるけど、1パック食べ切れたのはサシローだけ。
マコロ爺は半分、クジュンコは、一粒も食べられない。

とにかく水分を摂ってもらおうと、スープやお茶をどんどん作るが、
その間に気を失ってしまう!あららら、「はい、起きて!スープ飲んで!深呼吸して!」
声をかけていないと、違う世界に行ってしまうー!「おーい、しっかりー!」
そんな繰り返し。もうひとつのテントも心配なので、大声で「元気ー?食べてるー?」
って声をかける。明るく元気そうな声が返ってくるけど、やはり眠たくてしかたないそうだ。

もちろん夜には眠ってもらうんだけど、C1到着後すぐに、
しかも胃腸に体液が集中している食後すぐに、高所順応がある程度できあがる前に、
積極的に意識的に呼吸ができなくなってしまう睡眠に入るのは危険なんです。

そこで、「はい、じゃー今日の話題!マコロ爺がどうして山岳写真家になったか!」
という事で話し始めてくれましたが…………長かったぁ…カメラを手にするまでが…。
クジュンコは、頑張って、「へー、そうですかー」とか言ってたけど、撃沈の繰り返し。
俺も、お湯作ったり、クムジュンコつついたり、たぶんサシローも含めて、
もう一度、話してもらわないと、誰も覚えてないかも。でも30分以上は、過ごせました!
ありがとう、マコロじい~!6400mの語り部でした。

食事が終わってもクムジュンコは、ぜんぜんトイレに行かない。困ったなぁ~。
まだ、7時だし、よ~し、「ちょっと薬のもう!おしっこでやすくなる薬!」って事で定番のヤツ。
意識もうろうとしているクムジュンコに更にお湯やスープをかわるがわる。
そして、いろんな話をして、なんとか起きててもらい、食器をわざと拭かせたり…。
ふと3人の息子達の話をしはじめだすと、意識がハッキリしてきて、元気に!
「私トイレにいきたくなったわ」って、良かったぁー!やったー!息子たちに感謝!

もう、9時になってました。隣のテントでは、出たり入ったりする音が聞こえてたし、
なんとか夜を迎える準備が整ったかな~と判断。
でも、クムジュンコには、パルスオキシメーターをつけたまんまで、横になってもらう。
12時くらいまでは、心配なので声をかけてました。
自分が寝ちゃ困るので、寝袋に入らないで横になって。そーすりゃ寒さで起きるでしょ?

外は、静かで雪も風も無いんです。月明かりだけ。
作戦通りに、クムジュンコも夜中の2時頃に強制的にトイレに行ってました。

というわけで、C1の一晩があけました。翌日のSPO2も問題なし。
元気にC2荷上げのシャルパたちを送り出し、その後に朝食。かなり控えめの。

食後に、高所ブーツ、ハーネスをつけて、フィックスのレクチャー。
出だしの急斜面は、誰もフィックスを張っていないくせ、ぼこぼこ皆スリップして落ちてくる。
ついでだから、この斜面にフィックスを張って、練習しました。

テントを整理して、シェルパたちの水をコッヘルいっぱいに作ってあげて下山。
また、雪が降り出して、ABCまでは、寒いトレッキングになりました。
私は、石を拾いながら、歩いてきました。白い石にガーネットの2mm位の結晶が入ってるヤツ。
ブログ見てくれたひとに、プレゼントしちゃおうかな。

おやおや、調度、夕食の時間です。
隊員たちは、テントからうめき声のような「ふぁ~い、行きむぁ~す」(笑)
皆食べられると、いいなぁ。俺も早くバカ食いできるようになりたいなぁ。
あ、早く来いって言われてる!
では皆さん。また。
おやすみなさい。

PS:写真送れないかも。それと、ラッセル達が本日登頂しました。素晴らしい。
でも、明日ABCに戻って、そのまま撤収になりますので、もうPCはつなげないかもしれません。AAIも撤収に入ります。残念。

PHOTO:空中都市C1分譲中!一番手前、アライテントがAG!