1983年に放送されたテレビドラマ、「早春スケッチブック」を観る。
12話、10時間以上の作品だが、眼の不調も考えずに観続けてしまった。
原作・脚本は山田太一。
この人の脚本には無駄がない。背景・セリフ・しぐさ、そのどれ一つ削っても
作品は成り立たない。
例えば、山崎努が煙草に火を点ける時のかすかな指のたゆたいで、
視力がかなり悪くなっていることが分かる。
山田太一は恵まれた道ばかりを歩んで来たのではないのだろう。
人間の持つ弱さ、そう生きざるを得なかった弱者への視線、
心の奥底に潜む、出来れば見ずに済ませたい感情、
そういったものを丁寧に掬い取っている。
ドラマの良し悪しは、脚本によって決まる。
山田太一は、日本一の脚本家だと思う。
またキャスティングがいい。
山崎努・・・言わずもがなだが、 観ていて腹が立つほど身勝手な男の内面の
弱さや純粋さ、可愛らしさを見事に演じ切っている。
日本一の役者だと思う。
岩下志麻・・・横顔がとても美しい。
河原崎長一郎・・・信用金庫の課長役はこの人しかいない。
平凡に生きることが、どんなに厳しいことか。
樋口可南子・・・最初に登場した場面で目を見張った。
彼女のみずみずしい美しさは忘れられない。
鶴見辰吾・・・これは私感だが、彼の育ちの良さが現れていると思う。
役柄は複雑なのだが、彼の育ちの良さに救われる。
二階堂千尋・・・当時は14歳だと思うが、何気ないふるまいが実にうまい!
ドラマの中で普通に呼吸し、ドラマの中に生きている。
何より芝居の勘がいい。
こんなにうまい役者は、その後どうなったのだろう。
こんな役者を使わないのは、テレビ界の損失だ。
私はこのドラマはてっきりTBSで放送されたものだと思っていた。
だが1983年に、フジテレビで放送されたものだった。
「楽しくなければテレビじゃない」と言うお偉いさんがいたが、
何という傲慢な言葉だろう。
この先、死が私に近づいて来た時に、私はこのドラマを思い出すだろう。
山崎努のせりふ、しぐさを身に染みて味わうだろう。
テレビは時に、魂に訴えかけてくるものだ。
追記1
山田太一原作・脚本の「岸辺のアルバム」も素晴らしい作品だった。
よかったら観てください。
↓
https://blog.goo.ne.jp/keichan1192/e/3147a7f277388263df582ca9567c3d88
追記2
私は毎週、TBSラジオ番組「東京ポッド許可局」を楽しみにしている。
だいぶ前から聴いているが、時々放送時間が変わる。
4月からは日曜1:00~2:00(土曜深夜)
マキタスポーツ、プチ鹿島、サンキュータツオの3人が
とりとめのないおしゃべりをする。
3人は年代も環境も職業も違い、個性的で面白く、
思わず声を出して笑ってしまう。
何より3人はいろいろな分野をよく知っている。
6月1日(5月31日深夜)は「岸辺のアルバム」を取り上げていた。
おしゃべりを聴きながら、「そうそう」と言って嬉しくなった。
今週いっぱいラジコで聴けます。
(2025年6月2日 記)
12話、10時間以上の作品だが、眼の不調も考えずに観続けてしまった。
原作・脚本は山田太一。
この人の脚本には無駄がない。背景・セリフ・しぐさ、そのどれ一つ削っても
作品は成り立たない。
例えば、山崎努が煙草に火を点ける時のかすかな指のたゆたいで、
視力がかなり悪くなっていることが分かる。
山田太一は恵まれた道ばかりを歩んで来たのではないのだろう。
人間の持つ弱さ、そう生きざるを得なかった弱者への視線、
心の奥底に潜む、出来れば見ずに済ませたい感情、
そういったものを丁寧に掬い取っている。
ドラマの良し悪しは、脚本によって決まる。
山田太一は、日本一の脚本家だと思う。
またキャスティングがいい。
山崎努・・・言わずもがなだが、 観ていて腹が立つほど身勝手な男の内面の
弱さや純粋さ、可愛らしさを見事に演じ切っている。
日本一の役者だと思う。
岩下志麻・・・横顔がとても美しい。
河原崎長一郎・・・信用金庫の課長役はこの人しかいない。
平凡に生きることが、どんなに厳しいことか。
樋口可南子・・・最初に登場した場面で目を見張った。
彼女のみずみずしい美しさは忘れられない。
鶴見辰吾・・・これは私感だが、彼の育ちの良さが現れていると思う。
役柄は複雑なのだが、彼の育ちの良さに救われる。
二階堂千尋・・・当時は14歳だと思うが、何気ないふるまいが実にうまい!
ドラマの中で普通に呼吸し、ドラマの中に生きている。
何より芝居の勘がいい。
こんなにうまい役者は、その後どうなったのだろう。
こんな役者を使わないのは、テレビ界の損失だ。
私はこのドラマはてっきりTBSで放送されたものだと思っていた。
だが1983年に、フジテレビで放送されたものだった。
「楽しくなければテレビじゃない」と言うお偉いさんがいたが、
何という傲慢な言葉だろう。
この先、死が私に近づいて来た時に、私はこのドラマを思い出すだろう。
山崎努のせりふ、しぐさを身に染みて味わうだろう。
テレビは時に、魂に訴えかけてくるものだ。
追記1
山田太一原作・脚本の「岸辺のアルバム」も素晴らしい作品だった。
よかったら観てください。
↓
https://blog.goo.ne.jp/keichan1192/e/3147a7f277388263df582ca9567c3d88
追記2
私は毎週、TBSラジオ番組「東京ポッド許可局」を楽しみにしている。
だいぶ前から聴いているが、時々放送時間が変わる。
4月からは日曜1:00~2:00(土曜深夜)
マキタスポーツ、プチ鹿島、サンキュータツオの3人が
とりとめのないおしゃべりをする。
3人は年代も環境も職業も違い、個性的で面白く、
思わず声を出して笑ってしまう。
何より3人はいろいろな分野をよく知っている。
6月1日(5月31日深夜)は「岸辺のアルバム」を取り上げていた。
おしゃべりを聴きながら、「そうそう」と言って嬉しくなった。
今週いっぱいラジコで聴けます。
(2025年6月2日 記)
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