青本和彦,加藤和也,上野健爾,高橋陽一郎,神保道夫,難波完爾,
現代数学の流れ2,岩波講座 現代数学への入門20,岩波書店,1996.
第1章で連立1次方程式の話からAbelの積分方程式の話まで扱われ,無限次元への入り口に案内される。
第2章ではRieman予想とその変形版について,整数と多項式の関係が語られる。
第3章では対称性と群について述べられ,Lie群やLie代数についても触れられている。
第4章は第1章とつながりを持ち,無限次元の話題,特にFourier級数論やFredholmの行列式,確率論の話題などが紹介されている。
第5章は第3章と第4章とつながりを持ち,Fourier級数の話に始まり,佐藤幹夫によって創められた超局所解析と線形偏微分方程式について述べられている。
第6章は独立した章で,述語論理の導入から,Gödelの不完全性定理などまでに至る話題がさらっと扱われている。
前回読んだ「現代数学の流れ1」と同様,文章や数式の吟味を怠り,表面的な内容をなぞったに過ぎず,ほとんど理解はできなかった。
超局所解析は気になる話であった。いつかきちんと学んでみたい。
第6章で興味を覚えたことは,順序対 (a,b) を非順序対を用いて {a,{a,b}} と表せることである。
そして,論理式の同値変形 P∨Q→R ≡ (P→R)∧(Q→R) などを,「指数法則」と読んでいたのが非常に印象的だった。
つまり,A→B を BA ととらえ,論理積,論理和をそれぞれ数の積,和に対応させると,P∨Q→R は RP+Q に相当し,これは指数法則により RP×RQ に等しく,これを論理式として解釈しなおすと (P→R)∧(Q→R) になるということである。
誰が気付いたのかは知らないが,実に覚えやすい解釈である。感心するばかりである。
本書は,数学の基礎的な内容をきちんと学んでから,もう一度じっくりと読み味わうべき書物であろう。そのときを楽しみに待ちたい。