担当授業のこととか,なんかそういった話題。

主に自分の身の回りのことと担当講義に関する話題。時々,寒いギャグ。

更新情報。(6/19)

2008-06-20 11:58:12 | Weblog
これを書いているのは20日ですが。

数学I演習のプリントをいくつか補充しました。
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<読書感想文08014>「高校数学でわかるマクスウェル方程式」

2008-06-20 11:57:02 | 
竹内淳,高校数学でわかるマクスウェル方程式 電磁気を学びたい人,学びはじめた人へ,講談社ブルーバックスB-1383,2002.


高校の物理で習う電磁気の知識を再整理し,電磁場の基本法則を積分形で表し,その意味するところを再解釈し直して大学で習うレベルの電磁気学への橋渡しとするのが主な目的と思われる。

第1部では平賀源内とエレキテルの話からマクスウェルの登場まで,電磁気に関する人類の認識の発展を歴史的に概観する。扱われている話題はおそらく高校物理の知識を超えない。

第2部では第1部で紹介された個々の物理法則を積分を用いた数式によって表現する。高校物理で扱われるような基本的な例題に積分形の法則を適用し,その威力を示してくれる。そのように法則を整理したことの重要な帰結として,電磁波の存在の理論的な予言とヘルツによる実証が挙げられている。

随所で最新の科学技術の話題について触れられており,その部分は勉強になった。
IH(電磁誘導で加熱する火を使わない料理器具)の原理,コンピュータの記憶装置の仕組み,ブラウン管の原理,ラジオのアンテナの種類,半導体に関する簡単な説明等々である。高電子移動度トランジスタや青色ダイオードの発明など,日本人研究者の貢献も積極的に紹介されている。

第3部では,科学研究の進め方に関する著者独自の見解が述べられている。平賀源内がエレキテルの研究を行ったにもかかわらず,その後の日本で電磁気学が発展しなかったのはなぜか。その疑問に対する,著者の回答なのだろう。そして,若い人たちへのメッセージもこめられている。「議論に基づく真理の探究」が重要だという主張に対しては僕もおおむね賛同なのだが,それは議論の大切さについてのみであり,探求すべき「真理」というものが僕にはよくわからないので,その点については判断を保留しておく。

p.125 に,ガウスの法則の証明についていけず,それを理解しないまま卒業してしまう学生が多いといったようなことが書かれている。著者は物理系の学科で教鞭をとられているので,これは物理を専門に学んでいるはずの学生達のことを指していると見てよいだろう。なんとも頼りない話であるが,僕はそのダメ学生の典型例だったのでこれ以上何も言えない。


高校物理の復習をし,電磁気学のさらなる理論を学ぶための心構えを作るには適当な本であろう。
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