上野健爾,砂田利一,深谷賢治,神保道夫著,
現代数学の流れ1,岩波講座 現代数学への入門19,岩波書店,1996.
誰しも一度は夢見るのではないだろうか。
「入門シリーズを全部読破してみたい!」
「現代数学の基礎知識を一通り身に付けたい!」
これまで夢想することはあっても,実際に取り組んだことはなかった。
そろそろ,数学の知識の幅を広げるためにこうした事業に本格的に取り組もうかと思い立った。
そこで,対象として10年ほど前に企画・刊行された岩波書店のシリーズを選んだ。
理由は,現代数学の最先端の話題も豊富に取り込まれているように見えたことと,一冊あたり200ページ前後で分量としてほどほどであることである。
とはいえ,「現代数学への入門」だけで20冊,「現代数学の基礎」は34冊,「現代数学の展望」は24冊もある。合計78冊。いくら日本語で書いてあるとは言え,相手は専門書である。
1年間で50冊も読めなさそうな読書スピードで,斜め読みで済ませたとしても78冊も読むには1年以上はかかる。問いなどにきちんと取り組み,ある程度きちんと理解して読み進めるつもりならば,その三倍以上の時間がかかりそうだ。
そういうわけで,もはやライフワークと言っても過言ではない分量な気がしてきた。
対策として,興味のあるものだけ眺める,ということにする。
せっかく読む以上,わかったという実感を得るため精読したいのもやまやまだが,そこまで欲を出すのは慎もう。
ただ,あまりにもいい加減に読み進めると,途中から何が書いてあるのかさっぱりわからず立ち往生してしまう危険が高い。
そこで,「現代数学への入門」シリーズだけは紙と鉛筆を使いながら読み進めて行くことにする。
数学の歴史にも興味があるので,そうしたことも踏まえた「お話」的な記述で読み易そうな本分冊をとっかかりに選んだ。
しかし・・・。結局字面を一通り眺めただけに終わり,どの章もほとんど何もわからなかった。ただ,第5章の可積分系の理論の歴史は,数式などはよくわからなかったが,異なった分野でソリトン方程式と呼ばれる種類の偏微分方程式が次々と発見され,それらの関連が明らかにされていくというドラマチックな展開には息を飲んだ。
まあ,代数や幾何などを学んでから,もう一度この本を読み返すことにしようと思う。その時にはきっと今よりずっと理解が進むことを期待して。
それに,第2章を読んだおかげで,自分で考えていたある定理の証明に「選択公理」と呼ばれる強力かつ不思議な公理を使っていることに気付くことが出来たので,その点でも本書を斜め読みした意義があったというものだ。
さて,次は「現代数学の流れ2」を読むとしよう。こちらも気楽に数式にこだわらず字面だけ楽しむことにする。
なお,これらの本はI戸川先生にお借りしている。申し出たら,快く貸して下さった。実にありがたいことである。
現代数学の流れ1,岩波講座 現代数学への入門19,岩波書店,1996.
誰しも一度は夢見るのではないだろうか。
「入門シリーズを全部読破してみたい!」
「現代数学の基礎知識を一通り身に付けたい!」
これまで夢想することはあっても,実際に取り組んだことはなかった。
そろそろ,数学の知識の幅を広げるためにこうした事業に本格的に取り組もうかと思い立った。
そこで,対象として10年ほど前に企画・刊行された岩波書店のシリーズを選んだ。
理由は,現代数学の最先端の話題も豊富に取り込まれているように見えたことと,一冊あたり200ページ前後で分量としてほどほどであることである。
とはいえ,「現代数学への入門」だけで20冊,「現代数学の基礎」は34冊,「現代数学の展望」は24冊もある。合計78冊。いくら日本語で書いてあるとは言え,相手は専門書である。
1年間で50冊も読めなさそうな読書スピードで,斜め読みで済ませたとしても78冊も読むには1年以上はかかる。問いなどにきちんと取り組み,ある程度きちんと理解して読み進めるつもりならば,その三倍以上の時間がかかりそうだ。
そういうわけで,もはやライフワークと言っても過言ではない分量な気がしてきた。
対策として,興味のあるものだけ眺める,ということにする。
せっかく読む以上,わかったという実感を得るため精読したいのもやまやまだが,そこまで欲を出すのは慎もう。
ただ,あまりにもいい加減に読み進めると,途中から何が書いてあるのかさっぱりわからず立ち往生してしまう危険が高い。
そこで,「現代数学への入門」シリーズだけは紙と鉛筆を使いながら読み進めて行くことにする。
数学の歴史にも興味があるので,そうしたことも踏まえた「お話」的な記述で読み易そうな本分冊をとっかかりに選んだ。
しかし・・・。結局字面を一通り眺めただけに終わり,どの章もほとんど何もわからなかった。ただ,第5章の可積分系の理論の歴史は,数式などはよくわからなかったが,異なった分野でソリトン方程式と呼ばれる種類の偏微分方程式が次々と発見され,それらの関連が明らかにされていくというドラマチックな展開には息を飲んだ。
まあ,代数や幾何などを学んでから,もう一度この本を読み返すことにしようと思う。その時にはきっと今よりずっと理解が進むことを期待して。
それに,第2章を読んだおかげで,自分で考えていたある定理の証明に「選択公理」と呼ばれる強力かつ不思議な公理を使っていることに気付くことが出来たので,その点でも本書を斜め読みした意義があったというものだ。
さて,次は「現代数学の流れ2」を読むとしよう。こちらも気楽に数式にこだわらず字面だけ楽しむことにする。
なお,これらの本はI戸川先生にお借りしている。申し出たら,快く貸して下さった。実にありがたいことである。