「痛みとの闘い」なんて書くと,すごく辛そうな雰囲気があるかもしれないが,単なる歯痛である。
あれはちょうど「ホワイトデー」だったので,日付を覚えている。
夜歯を磨いていたときに左下の奥歯の詰め物が欠け,歯にぽっかりと空いた空洞が露(あらわ)になった。
翌日にでも歯医者に駆け込めばよかったのだが,あいにく精神的に余裕がなかったため,結局一ヵ月近く放置した後,ようやく今日,歯医者に行ってきた。
穴が出現した時点ですでに冷たいものが沁みたり,寝る時など鈍くズキズキ痛むなど,ヤバそうな予兆を呈していたので,放置してさらに悪化してしまった場合,手遅れなら最悪抜歯も覚悟しなければならないと思っていた。
この歳で虫歯で歯を一本失うというのは辛いことだが,だからといって放置し続けてはもっと悪い事態になることはあっても,良くなることは決してない。
こうして一旦起こってしまったことであるから,現実をありのままに受け止めなければならない。大事なことは,与えられた現実において,ベストを尽くすことである。
つべこべ言わんとさっさと歯医者に行けという簡単な話であるが,まあ,大げさに言えばそういう考えに基づいて数ヵ月前に治療に通った歩いて2分のところにある歯科医院を訪ねた。
いざ治療が始まると,歯科医が問題の箇所を見てこう言った。
「うわー,こりゃ大きな虫歯だなー。(シュー)沁みますか?(コンコン)これは響きますか?」
正直に「沁みます」とか「響きます」というと,こちらとしては望ましくない結末を迎えそうな悪い予感がして,真実と虚実をないまぜにして返答した。
これはもう,ある種の「駆け引き」と言ってよいだろう。
「麻酔しますね。」
と,歯茎に二箇所,麻酔注射を打たれた。
注射の間,何かの液体の変な味がするので,ちゃんと麻酔液が歯茎に送り込まれているのか,いつも心配になる。
麻酔が効いてるはずだから,ということで,それから遠慮なく危ないポイントをいじりまくろうという魂胆だろうから,麻酔がちゃんとなされていないと地獄を見ることになる。
さっそく治療が始まった。キュイーンとうなる何かで危険なゾーンへアタックし始めた。
麻酔を打たれたとしても,痛いときは痛い。
油断していると,とてつもなく痛い箇所を触られてしまうので,治療中の歯に全意識を集中して,大事になる前に訴えられるよう,備えておかなければならない。
そのままいくと,めちゃくちゃ痛いゾーンに行くのではないか,という緊張の瞬間は,額に汗がにじむのを感じる。
デンジャラス・ゾーンに触れられたときには,顔をしかめてアピールする。
「痛いですか?」
「ふぁい。」
「うーん,神経までギリギリだなぁ。神経を抜かなくちゃいけなくなるかもしれないけど,もったいないしなぁ。」
この歯科医の先生は,こちらにとって嬉しくなるようなポジティヴなことはまずめったに口にしない。
たいていは,「うーん,これはひどいなぁ。」とか,「どうしようかなぁ。」とか,患者が不安になるような,ネガティヴな感じのことばかり呟くのである。
この歯科医に通い始めた頃は,ため息まじりで不安にさせるようなことばかり言うこの先生が好きでなかったが,何しろ家からとても近いくて便利なので,他を探すこともなくなんとなく通い続けているうちに,この先生の腕は確かなのかもしれないと気付き,今では信頼している。ややネガティヴな感じの呟きも慣れた。これはこの先生のスタイルなのだと受け入れてしまった今となっては,特になんの不満もない。
それに,なるべくなら神経は残そうという,こちらにとっては望ましい方針でもって治療に当たってくれていることがわかったので,安心してお願いしようという気になれた。
おそらく虫歯の治療薬を詰めて,何か柔らかいパテのようなもので穴をふさいだのだろう。
それで本日の治療は終わった。
麻酔が切れたら強く痛むかもしれないということで,一回分の痛み止めを付けてくれた。
来週,次の治療の時まで痛みがひどいようだったら,その時は神経を抜かなければならないかもしれないと言い渡された。
いつ麻酔が切れるのか気がかりだったが,その後,一時間ほど経った頃だろうか。治療後からすでにジーンと痛かったが,急激に痛みが強まった瞬間があった。おそらくあれが麻酔が切れた瞬間だったのだろう。
その痛みは慣れたせいかどうかよくわからないが,すぐに弱まった。けれども,代わりにむずがゆいような感じも伴い始めた。
そういう状態が続いたまま,今に至る。
痛いといえば痛いが,我慢できないほどではない。
原因不明の痛みというのは,不安もあいまって耐えがたいものであるが,治療をしたからと原因がわかっており,また治療をしたから大丈夫という安心感もあれば,治療前よりも痛みは増しているものの,どうにか耐えられるものである。
一週間後の判定がどうなるか心配ではあるが,なるようにしかならないので,静かにその時を待つとしよう。
まあ,すでに今ずっと痛いわけだから,神経を抜くのが順当だろうなぁ・・・。
あれはちょうど「ホワイトデー」だったので,日付を覚えている。
夜歯を磨いていたときに左下の奥歯の詰め物が欠け,歯にぽっかりと空いた空洞が露(あらわ)になった。
翌日にでも歯医者に駆け込めばよかったのだが,あいにく精神的に余裕がなかったため,結局一ヵ月近く放置した後,ようやく今日,歯医者に行ってきた。
穴が出現した時点ですでに冷たいものが沁みたり,寝る時など鈍くズキズキ痛むなど,ヤバそうな予兆を呈していたので,放置してさらに悪化してしまった場合,手遅れなら最悪抜歯も覚悟しなければならないと思っていた。
この歳で虫歯で歯を一本失うというのは辛いことだが,だからといって放置し続けてはもっと悪い事態になることはあっても,良くなることは決してない。
こうして一旦起こってしまったことであるから,現実をありのままに受け止めなければならない。大事なことは,与えられた現実において,ベストを尽くすことである。
つべこべ言わんとさっさと歯医者に行けという簡単な話であるが,まあ,大げさに言えばそういう考えに基づいて数ヵ月前に治療に通った歩いて2分のところにある歯科医院を訪ねた。
いざ治療が始まると,歯科医が問題の箇所を見てこう言った。
「うわー,こりゃ大きな虫歯だなー。(シュー)沁みますか?(コンコン)これは響きますか?」
正直に「沁みます」とか「響きます」というと,こちらとしては望ましくない結末を迎えそうな悪い予感がして,真実と虚実をないまぜにして返答した。
これはもう,ある種の「駆け引き」と言ってよいだろう。
「麻酔しますね。」
と,歯茎に二箇所,麻酔注射を打たれた。
注射の間,何かの液体の変な味がするので,ちゃんと麻酔液が歯茎に送り込まれているのか,いつも心配になる。
麻酔が効いてるはずだから,ということで,それから遠慮なく危ないポイントをいじりまくろうという魂胆だろうから,麻酔がちゃんとなされていないと地獄を見ることになる。
さっそく治療が始まった。キュイーンとうなる何かで危険なゾーンへアタックし始めた。
麻酔を打たれたとしても,痛いときは痛い。
油断していると,とてつもなく痛い箇所を触られてしまうので,治療中の歯に全意識を集中して,大事になる前に訴えられるよう,備えておかなければならない。
そのままいくと,めちゃくちゃ痛いゾーンに行くのではないか,という緊張の瞬間は,額に汗がにじむのを感じる。
デンジャラス・ゾーンに触れられたときには,顔をしかめてアピールする。
「痛いですか?」
「ふぁい。」
「うーん,神経までギリギリだなぁ。神経を抜かなくちゃいけなくなるかもしれないけど,もったいないしなぁ。」
この歯科医の先生は,こちらにとって嬉しくなるようなポジティヴなことはまずめったに口にしない。
たいていは,「うーん,これはひどいなぁ。」とか,「どうしようかなぁ。」とか,患者が不安になるような,ネガティヴな感じのことばかり呟くのである。
この歯科医に通い始めた頃は,ため息まじりで不安にさせるようなことばかり言うこの先生が好きでなかったが,何しろ家からとても近いくて便利なので,他を探すこともなくなんとなく通い続けているうちに,この先生の腕は確かなのかもしれないと気付き,今では信頼している。ややネガティヴな感じの呟きも慣れた。これはこの先生のスタイルなのだと受け入れてしまった今となっては,特になんの不満もない。
それに,なるべくなら神経は残そうという,こちらにとっては望ましい方針でもって治療に当たってくれていることがわかったので,安心してお願いしようという気になれた。
おそらく虫歯の治療薬を詰めて,何か柔らかいパテのようなもので穴をふさいだのだろう。
それで本日の治療は終わった。
麻酔が切れたら強く痛むかもしれないということで,一回分の痛み止めを付けてくれた。
来週,次の治療の時まで痛みがひどいようだったら,その時は神経を抜かなければならないかもしれないと言い渡された。
いつ麻酔が切れるのか気がかりだったが,その後,一時間ほど経った頃だろうか。治療後からすでにジーンと痛かったが,急激に痛みが強まった瞬間があった。おそらくあれが麻酔が切れた瞬間だったのだろう。
その痛みは慣れたせいかどうかよくわからないが,すぐに弱まった。けれども,代わりにむずがゆいような感じも伴い始めた。
そういう状態が続いたまま,今に至る。
痛いといえば痛いが,我慢できないほどではない。
原因不明の痛みというのは,不安もあいまって耐えがたいものであるが,治療をしたからと原因がわかっており,また治療をしたから大丈夫という安心感もあれば,治療前よりも痛みは増しているものの,どうにか耐えられるものである。
一週間後の判定がどうなるか心配ではあるが,なるようにしかならないので,静かにその時を待つとしよう。
まあ,すでに今ずっと痛いわけだから,神経を抜くのが順当だろうなぁ・・・。
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