担当授業のこととか,なんかそういった話題。

主に自分の身の回りのことと担当講義に関する話題。時々,寒いギャグ。

<読書感想文08018>方丈記

2008-09-05 23:01:07 | 
簗瀬一雄訳注,方丈記 付現代語訳,角川文庫2453,十三版 (1989).


方丈記を通して読んでみたことはなかったが,文庫本にして30ページと実に短いのに驚いた。
本文以外に,補注,現代語訳,参考資料,鴨長明の年表,解説,詳細な索引が付されている。
こうした古典の単行本には,編者の研究の粋がこめられているので,誠に研究に値する文献に仕上がっているのだが,残念ながら今回は精読は見送り,全く表面をそっとなぞらえるだけにとどめた。

前半は火事,大風,地震などの京を襲った災害の様子ばかりが述べられており,暗い話ばかりで息が詰まる。まさに末法の世のありさまである。

半ばくらいに著者の身上が語られ,年老いた独り者で,実に質素なその日暮らしをしている身だが,そのために返って俗世の些事に心を乱されることのない平穏な日々を過ごせている,というよりも,過ごせるはずだ,といった著者の信条が後半にかけて述べられている。

夢も希望もなく,ただただ寂しくなるようなことばかり書いてあるので,こういうのを中高生などの青春真っ盛りの若者に読ませるのはいかがなものかと思う。

年老いた暁にまたじっくりと味わってみたい書である。
そのためには歴史や仏教の知識をしっかり蓄えておきたいものだ。
そうした「常識」が読み手に備わっていないと,深く理解することなどできないであろう。


ところで,この本はBook ○ff で見つけた。
いざ探してみると,全訳や注がついた古典文学の本は結構あるものだ。
ほぼ全文に品詞分解や活用形の注が付けられている決定的なシリーズもある。
それは,中道館という出版社から出ていた。
「枕草子」の全文に対してそれがなされていたりする。
玄人向けの岩波文庫よりもそちらの方が僕のような未熟者には相応しい。
かなり欲しいのだが,どうやら新品を手に入れるのは難しいようだ。
いつか暇を見て古書店ツアーにくりだそうか。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする