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英語と子育て

英語を通して子どもたちの夢をサポートするブログです

電子化の弊害を考える

2012-08-24 | 教育一般
 大学で教え始めて8年になりますが、当初一番最初に驚いたのは「電子辞書」の出現でした。

 ちょっと難しい単語を口にすると、学生たちが机の上に置いてある電子辞書の蓋をぱかっとあけて、キーを打ち始めるわけです

 恥ずかしながら、私はそれまで「電子辞書」をほとんど使ったことがなく、学生時代から愛用している「コンサイス」「中辞典」(但し、買い替えている)そして「ジーニアス」あたりの紙の辞書を用途に応じて使い分けています。

 息子たちは高校に入る時に、電子辞書を入学祝いで贈りましたが、それまでは徹底的に紙の辞書を使わせました。

 理由はひとつ――脳を鍛えるためです。

 紙の辞書は電子辞書より「面倒臭い」かもしれませんが、その不自由さゆえ、脳が働きます。なんでも便利なのがいいってことはありません。便利すぎると脳が働かなくなって退化するんです。

 電子化は便利ですが、ほかにも様々な問題が起きています。

 たとえば、私は大学でレポート課題を出しますが、自分が考えたのではなく、おそらくインターネットで調べたものをそのまま写したというものが多々あります。私たち専門家である講師側からすれば、読めば一発でわかります。

 これは「盗用」―英語では「プレジャリズム plagiarism」と呼ばれ、アメリカの大学でこれをすると退学という厳しさです。「引用」なら出所を明らかにしなくてはいけません。

 酒井邦嘉氏が書いた新刊「脳を創る読書」で、氏はこのように述べています。

「宿題でもレポートでも、自分で苦労して考えるからこそ意味があるのに、今は考える前に調べ、見つからなければ質問サイトに投稿する時代なのだ。答えに出会った時点で、一切考えることをやめてしまう。それは、人間であることを自ら否定しているようなものだ。人間が創ったものによって人間が堕落するのを見るのは、耐えがたい。」(p.184-185)

 同様に、子どもの教育面でも電子化の弊害は増えてきています。

 ワープロによる簡単な漢字変換機能で、漢字が書けなくなっている
 インターネットで膨大な情報にアクセスできる反面、考える前に調べてしまい、調べただけでわかった気になってしまう。結果、自分で考えない。

 どうですか? これでは、電子化で脳が進化するわけがありません。

但し、単に「電子化」が悪いわけではなく、使い方が悪いのだと思います。

 児童期にはしっかり文字を書く練習をする。英語なら筆記体まで練習する。手がかりとなる情報だけ与え、それをもとに集中して考える時間を持たせる・・・そうした工夫で、「電子化」とうまく共存していきたいものです。


  「人間は考える葦である」 by パスカル


「電子」か「紙」か?

2012-08-18 | 教育一般
スクールの生徒募集チラシを新聞織り込みに入れようと思って、地域の販売部数を新聞販売店に尋ねて耳を疑いました。

「えっ!?たったそれだけですか?」と思わず聞いてしまいました。

 10年前に比べると三分の一くらいに減っている。要するに新聞をとる家庭が少なくなったということです。まわりは新しいマンションが建って、若い世代が住んでいる地区では、固定電話より携帯電話、新聞よりネットニュース、という家庭が増えているのでしょう。

 新聞というのは、ぱらっと広げてみて、目にはいってくるものから、どの記事を読もうかな?と考えます。最初興味がなくても、読んでみて興味がわいてくるものもある・・・言い換えれば「脳を使っている」わけです。

 さらには今自分が関心のある言葉(情報)を目が探し出しますーこれは脳の働きによるものなのですが、たとえば新刊図書に興味のある人であれば、脳がベストセラーが広告で掲載しているような箇所に目を向けるようにします。脳の働きってすごいです。

 それに対してネットニュースは、クリックするとトップニュースから目にはいってくるわけで、この時点で選択の余地がないわけではないですが、雑学的な知識はあまり身に付かないように思います。映像から入るあたり、受け身であることはまちがいありません。

 書籍業界においても変革が急速に進んでいます

 電子書籍リーダーデバイスの「キンドル Kindle」がアマゾンでも販売開始となり、日本でも読書は電子書籍でお手軽に、という時代が進みそうです。

 確かに、持ち運びは簡単、いつでもどこでも好きなものが読める、本が増えない、という利点はあります。

 が、しかし、「紙の本」が好きな私には、それなりの理由があります。

1。本の内容同様、表紙のデザイン、装丁、あとがき、著者のバックグラウンド、すべてを楽しみたい。好奇心を持ちたい。
2。気に入った箇所、気になる箇所にマーキングをしたり、ページのはしを折ったりして、簡単にページを手早くめくって読み直すことができる。
3。電子に比べて、目に優しい。

 言語脳科学者である酒井邦嘉氏が書いた新刊「脳を創る読書」には、脳のデータとともに、「紙の本の優れている点」が記されています。

「紙の本か電子書籍か」という審問を私がうけたとしたら、きっとこうつぶやくことだろう。「それでも紙の本は必要である」と。(本書、はじめに、より)

 紙の情報から遠ざかっている人には是非読んでいただきたい本です。

 
 さて、みなさんはいかがですか? 紙派? 電子派?