日々雑感

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愛染さんじゃ 宝恵かご

2007年12月06日 | Weblog
大阪の夏の風物詩、愛染祭りは6月30日、7月1、2日の3日にわたって行われる。愛染さんは大阪の3大夏祭りの魁でもある。この日を境に浴衣を着始めるので浴衣祭りともいわれる。

元禄時代に花街芸者衆がカゴに乗って、いい旦那にご縁がありますようにと願を掛けたのが始まりとか、つまり色欲(愛欲)と金銭欲(貪欲)の両方の願いを成就してもらおうと、きそってお参りしたという。いつの世も変わらない人間の欲望を、あらわに出して願かけするところが関西向きで、面白い。かっこつけもいいけれど、そのものずばりは迫力があって説得力がある。

愛染さんじゃ、宝恵かご、 愛染さんじゃ、宝恵かご。

おはやしもにぎやかに、今里新地の芸者衆がのった駕篭を若衆が威勢良くかついで行く。谷町筋を練り歩いて、愛染さんのある四天王寺別院・勝 (まん)院・愛染堂に寺(宮)入するのであるが、特に宵宮は沿道に露店が出て、夜店の豆球に照らされて、娘さんの浴衣姿のなまめかしさは、何ともあでやかで、一種独特の雰囲気を醸し出している。夏の夜にふさわしいフアンタジーである。愛染祭りが、大阪の夏の風物詩になるのも納得が行く。

時が流れて、どんなに時代が変わろうとも、祭りに寄せる人々の思いは、うきうきしたもので、そのハレの気持ちが、また新しい活力を生むことにつながって行くのを考えるとき、いつまでもこの愛染さん(愛染明王・仏様)をかついで、祭りがますます盛大になることを願わずにはいられない。

愛染堂の入り口には赤門があり、愛染さんはその奥の赤御堂に鎮座まします。朱塗りも鮮やかなこの寺のご本尊・愛染明王は、大日如来を本地として衆生済度のために3つの目と6本の腕で身を現し、愛敬開運を授ける仏様である。序でながら、この勝まん院愛染堂は愛染さんを祭っている寺が集まって作った愛染さん巡拝ネットワークの出発点、第1番の札所でもある。

人気商売の芸能人は山田五十鈴を始め、芦屋雁ノ助、三田寛子など有名無名を問わず、また商売繁盛を願う商売人、出世を願うサラリーマン、さらには必勝合格を祈る受験生、などさまざまであるが、特に目を引くのは、縁結びを求める人たちの多いことである。愛染さんの面目躍如たるところある。たぶんご利益をもらう人が多いのだろう。そうでなければ、計算高い関西人のこと、愛染さんに無関心な人も多いと見るのは、私のひがみか。

そんなことに関係なく、ひょんなことから、私は愛染さんにご縁をいただいた。聞けば終戦直後の人出に比べて参詣人は減少傾向にあるという。この話を聞いて、おっちょこちょいの私は奮い立った。よーしやるぞ。それから3カ月ほど掛けて私は構想を練りあげ、祭りの仕掛け人兼プロデュサーをかって出た。
何よりも、一人でも多くの人々に来てもらう仕掛けを考えなければならないと思い、鳴り物とお色気を柱にして、イベント計画をねった。

調べてみると、愛染さんにまつわる歌は既に存在する。
「野崎参りは、屋形船で参ろう、どちら向いても菜の花盛り、、、、」 今中、大村コンビの作品に東海林太郎が直立不動のスタイルで歌った、往年の名曲、「野崎小唄」と、全く同じ調子、同じメンバーで[愛染まつり小唄]ができている。早速聞いてみたが、ちょっと古い。

そこで自分で愛染音頭、愛染サンバ、を新しく作りかえた。これに踊りを振り付けて、愛染音頭の方は熟年ギャルチームに浴衣姿で踊ってもらうことにし、愛染サンバは池田青年会議所が主催する池田サンバチームのピチピチギャルとOSKのプロダンサーによるものとの2チームを編成し、四天王寺から谷町筋を練り歩き、愛染堂まで行進することにした。

パレードが通る約2時間ほど交通量の激しい谷町筋の車線を1車線にして交通量を制限してもらうように警察の協力をお願いした。
次にお色気の演出である。桂の木にかずらがまとわりつく事から、縁結びの花として造花を作ることにした。これを、公募した愛染娘に、特設舞台で福笹ならぬ、カズラの花売りをさせ、また彼女たちに浴衣を着せて、造花のかずらの花を持たせ、宝恵かごに乗せた。かつぎ手は四天王寺国際仏教大学の学生に協力してもらうことにした。勿論従来からの色街の芸者衆宝恵駕篭も出してパレードの列に加わって貰った。

新聞は大阪の夏の風物詩として、祭りが近くなると書きたててくれる。従来と違って今年はマスコミにたいしても、積極的にPRさせてもらった。愛染祭りの垂れ幕を車の横に張って、新聞各社は勿論のこと、テレビ局も、大阪府庁にも愛染むすめが、かずらの造花を配って愛敬をふりまいた。

マスコミ報道のお陰で、パレードに参加したいとの申し込みも多数あり、700人の大部隊になった。 女性の祭りにふさわしく、宝恵かごを初めとして、愛染音頭の踊り子の熟年ギャルたち、サンバのヤンギャルたち、先頭のブラスバンドも女性が多く、制服がピシッときまっている。そろいの帽子からはみ出ている髪が宝塚スターを思い起こさせる。

そんな隊列に愛染音頭や、サンバを流すスピーカー付きの車を踊りチームの頭に配置して午後2時かっきりに四天王寺の中の門を出発した。初めてのことで事前に十分PRできていない面もあったが、パレードそのものはにぎやかに、華やかに繰り広げられた。ブラスバンドは元気よく力の限り吹きまくり、踊りのための音楽を鳴らすスピーカーは音量を最大にして谷町筋を練り歩いたから、ちょっとした車の渋滞が起こった。警察は渋滞が起こらないように、隊列を手早く通そうとするが、隊列の、血気盛んな若者は規制も何のその、出来る限り派手に宝恵かごのかつぎあげをする。かつぎ手の頭より高く宙にたかだかとかつぎ上げられた愛染娘はこわがってきゃっきゃ悲鳴を上げている。それが面白くかつぎ手は何回もかつぎ上げをする。

車のわき見運転も当たり前の話。警察の巧みな車さばきでなんの事故もなくパレードは無事終了した。露出度90パーセントのサンバチームの若さ発散度はうっとしい梅雨空を突き破って参加者全員の心のもやもやを吹き飛ばし、参加者総数700名の大部隊は疲れも忘れて今日1日を楽しんだ。

終わってみれば何のことはないのだが、私はこのイベントを行うについて、トイレの問題だけには音をあげた。700人の大部隊にあてる女性用トイレの事が計画からすっかり漏れていたのである。男便所は割に簡単に見つかったが、700人近くの女性用トイレの準備は半端なものじゃない。これには困った。四天王寺は勿論のこと、天王寺駅、アベチカなど頼めるところは皆頭を下げて回った。手足となって協力していただいた、世話役が走り回ってくれたお陰で一件のトラブルも事故もなく終わった。

本来なら事前に救急車出動のお願いもしておくべきだったのだろうが、なんせ初めてのことで、そこまで気が回らなかった。とまれなんのトラブルもなく700人の大パレードが無事終了した事はそれだけでも大役を果たせたとほっとした気持ちだった。

梅雨のころになると愛染音頭が頭の中で鳴り出す。そして梅雨があがるとあの暑い夏がくる。

ハアー 愛染さんは愛欲(愛)と貪欲(欲)

かなえてくださる仏様

愛敬和合の御本誓(おんちかい)

御手の弓矢は 知恵方便

ソレ ホーイット ホーイット ホイサッサ

愛染さんだ ホイ サッサー








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