日々雑感

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シェイムリアプは満天の星0

2014年04月12日 | Weblog
シェイムリアプは満天の星

「あの山で、蚊に刺されたのです。大丈夫でしょうか。?」彼女の友人が僕にそう尋ねた。
「何カ所も?」
「ううーん。1カ所だけ」
「多分大丈夫。でもマラリアに注意した方が。薬持ってる。?」
「いや」
「そうだ。僕の消毒薬、イソジンをとりにかえってくるからに待ってて」
僕はすぐさま、宿に取りに帰り、引き返してくることを告げて、バイクの兄ちゃんを促した。

 急いでいるときは、気が焦る。だのに真っ暗ヤミの中でバイクは立ち往生した。聞けば、ガス欠だという。そんなばかな。こんな夜になって、スタンドがオープンしているのか?僕は不安になった。2人は黙ってバイクを押して、ガソリンスタンドを2軒訪ねたがどこも、閉まってて人の気配がなかった。しかし彼は少しも慌てない。
 オイオイ。まさか、宿とホテルを歩いて往復するんじゃないだろうなぁ。
僕は焦っているうえに、さらに焦った。
ところがカンボジアの、給油所はガソリンスタンドだけではなかった。
道端で、ガソリンをペットボトルに詰めて売っているのだ。なるほど。だから彼があわてないわけが分かった。販売店といえば大げさで、こういう形での、ガソリン販売は机の上にガソリンを詰めた、ペットボトルを10本程度おいているだけ。よくも、こんな危険な取り扱いをするもんだと感心した。
給油するとエンジンは1発でかかった。ホッ。安心のため息が漏れた。
シエムリアプの町はずれの道は、文字どおり漆黒である。街灯も家々の隙間から漏れてくる明かりもない。
時おり通るバイクのライトが、唯一の明かり。その代わり、空には、吸い込まれそうな満天の星。黙って空を見上げた僕は漆黒の闇に吸い込まれて言葉を失った。
夜がこんなに暗い物だとは今の今まで気が付かなかった。いつも都会の夜に慣れてしまっているので光のない自然の夜の暗さに驚いた。
何時か此の星空を駆けめぐる事が出来たらな 青い大空もよい。真っ暗な星空もいい。僕は全てを忘れて漆黒のヤミを見続けた。時間が止まった一瞬だった。
いや、勝手に流れている。
シエムリアプの漆黒の夜のヤミ。見応えのあるいい物だ。日本ではどこにいても必ず光が在る。余程の所へ行かないと光の漏れて来ない所はない。
文明の光のさしこまないところには、漆黒のヤミが人の眼を閉ざして、心の目を開ける。


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