日々雑感

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三途川物語り

2009年12月24日 | Weblog
三途川物語り

三途川
後から思えばアレは三途の川のことである
この川は、小川でもなければ大川でもない 。堤防から河川敷かあって中程には水が流れている。
河川敷はススキなどの雑草が生い茂ったているが、人が通るところには自然と道がついていて、それを歩いていくと、川面に出た。川幅から見ると中央部は深いかもしれないが渡って歩けそうでもある。

僕が川岸について時は 向こう側へ渡るために多くの人が待っていた。
人をかき分けて船に近づいてみると、そこではに要領の悪そうな、小役人が人の群れをさばいていた。人々は彼の指示に従って、舟に乗り込んでいく。
その様子を見ていてこの小役人の 人さばきがいかにも要領が悪いので、僕はイライラして早くしろとどなった。
彼はきっとなってこちらを振り向きながら
「自分の一存では渡すことはできないのだ。すべては閻魔さまの、指示に従って
一人ひとり送り込んでいるまでだ。」と冷静にいった。

僕は閻魔という言葉を聞いてギクっとした。川を渡るのに何が閻魔か。 閻魔は人の生前の言動を調べ上げて、現世から死の世界に行くときに、どの道を通るか指示をするという。つまり6道の行き先を決めて命令すると聞いている。

実際に閻魔の調べた通りかどうか、これは本人が弁明できるシステムになっている。ところが閻魔の調査能力は抜群で人の生前の行いや言動は本人が知らないくらい、正確を極めるという。
閻魔かどのように判定するかは別にして、どの道を通っても、天国か、地獄かいずれかにいかなくてはならないが、その采配に従っていった先が天国と地獄では大違いである。

僕は、閻魔に、尋問される前に自ら十善戒を素早くチェックしてみた。チエック項目は他にもたくさんあると思うが、何せとっさのことでもありすぐには思いつかず、真言宗の日常勤行に使っている十善戒をさっとチエックしてみたのである。
1,不殺生
2,不ちゅうと
3,不邪淫
4,不妄語
5,不綺語
6,不悪口
7,不両舌
8,不瞼貪
9,不しんに
10不邪見

まず不殺生であるが、基本的に人間の命が、動植物を食べることによって支えられている。 これはすべて人間以外の動植物の、命の犠牲の上に成り立っていることである。
殺生するなという戒めがあってもそれを守っていたら自分の、生存はおぼつかない。だから不殺生が 文字どおり自分の命以外の、命の殺生は許さないと、いうことではないだろう。
自分の命を守るためにばんやむをえない時には、他の動植物の命を犠牲にすることによって成り立っている事を考えれば不殺生は無理な戒めだ。この戒めは僕の様なストレートな解釈ではなくてもっと別な解釈の仕方が有るはずだ。

2,不ちゅうと
人の物を盗んではいけないという戒めだと解釈しているが常識的にいってもこのルールは当たり前のことである。生まれてこのかた盗みをしなかったかとうか。多少は、覚えがあるので我が身は潔白ではない。少々の罰は覚悟している

3,不邪淫 奧の深いこの問題ではどの程度までのことを邪淫というのか、分からないが
僕の意識の中では不邪淫によって子供の命作ったり、奪ったことは1度もない。これは天地神明に誓って断言できる。僕と関係を持った妻に出来た3人の子供の命は大切に育ててきたつもりである。わかりやすく言えば妻が1人、子供3人の生存に責任を持って来たと言うことである。それ以上のことは差し障りが出ると困るので、ここでは伏せておく。

4,不妄語
妄言、迷い事は言わないように、心がけてきた。ただ、自分が確信の持てることであったとしても よくよく考えてみればそれは迷いが言葉であるというケースもある

5,不綺語 わからない。


6,不悪口
学者だか作家だか忘れたが、どじょう鍋と人の悪口ほど美味しいものはない、といったという。
実にこの通りで、多少の色合いは違っても人の悪口を言わない人には出会ったことがない
悪意に満ちたものから、ほんの軽い愚痴まで、ストレスの発散やコンプレックスの埋め合わせなどの為に人は恒常的に悪口を言う。
ぼくも、普通の人間で、どじょう鍋ほどではないが 無意識のうちに口に出して悪口を言うことに気がついて、はっとすることがある。

7,不両舌 何でも正直に言えばそれで事足りるほど、人間社会は単純には出来ていない。毎回ではないにしても、自分の都合がよいように、2枚舌は使うものだ。

8,不けんとん いちいちコメントするのが 面倒くさくなってきた 。で、以下略

9,不瞋恚

10,不邪見 真実を真実としてみる。理解する。根性のひん曲がった見方はしない。

船に乗って川を渡るときに、付き添い人として小役人は同道して、向こう岸にわたると
私を寺のような建物の前に連れていった 。その縁側みたいなところに座る人に対して私は縁側の下に正座した。それはちょうと時代劇に出てくるお白州場で裁きを受ける罪人みたいな光景である。僕は、裁きの場に引き出された、罪人のをような気分になっていた。
しばらくすると、奥の方から何かいかめしい格好をした人間の姿が現れた。
はは~ん。之が噂の閻魔さんか。彼がどの程度のことを正確に知っているのか知らないが、ひとつ試してやろうじゃないかという気は全く起こらなかった。というのは人間の姿をしていると言えども、閻魔さんは神さんか仏さんの一種だろう。そんな得体の知れない者に初めからテストを試みるほどの度胸はもちあわせてはいない。
第一声はなんなのか。僕は耳を皿にした。いきなり怒鳴られてどやしつけられるのか。それとも猫なで声で優しくささやかれるのか。緊張の一瞬である。
じっとこちらをにらみつけていた閻魔様は急に元来た方にスーッと引っ込んでしまった。
あれよ?と思ったら目が覚めた。
なんだ夢だったのか。かなりリアルだったが、三途の川を渡るには未だ早いのだろう。
じゃついでに、この世にいる内にもうすこし楽しい思いをしておこうか。
僕はそう思った。三途の川を渡るまでには時間があるにしても、渡る日が来ることは間違いないから。