日々雑感

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八方にらみ

2009年12月03日 | Weblog
八方にらみ

今年秋の連休に11月1日二日三日の三連休。.関西地方は1日が晴れ、2日が曇り、3日が雨だった。

2日に嵐山に行った。人混みがすごくて銀座四丁目顔負けの混雑でまともに歩けなかった

渡月橋を渡ったら、ひばり会館前は大勢の人だかり。目と鼻の天竜寺まで行くのに十分ぐらいかかった

天竜寺は大入り満員である。皆紅葉狩りにやってきたのだろうが、まだ紅葉しているのは広い境内でわずか数本だけ。

方丈に上がったが、庭を見るくらいで、建物自体は特別なものを感じなかった。方丈では大勢の人が池を挟んで対岸にある岩石の配置の妙を楽しんでいる風情。くたびれたのか、大勢の人が腰掛けている。特に早く切り上げる必要はないのだが、池の周りを散策したら秋の、自然をを満喫した気分になった。

天竜寺のお目当ては法堂にある雲竜図。
法堂と方丈は渡り廊下でつながってはいるが、特別拝観中で別料金をとられた。

寺は経済的には、非生産的なところだから、維持費や管理費を参拝客の入場料や寄進によらないと手入れもままならないものである。今日のように毎日が混雑するならば寺も楽々と維持するお金を集めることができるであろうが、一年中でこのように混雑する日は少ないだろうとは思った。

さて今日の圧巻は八方にらみの龍である。どういう手法が用いられているのか分からないが、右下でも真下でも左下でも、天井の竜は自分をにらみつけている。

こういう龍は生まれて初めて見たので、なかなかおもしろく、龍の下を何回も行ったり来たりして、目の合う具合を確かめた。s

アンコールワットのすぐ隣にあるバイオンへ行った時のことである。この石造り寺には石の塔がいくつも立っていて、塔の先には東西南北、四面に仏の顔だけが刻まれている。
世間ではこれを四面仏というらしいが、境内に入ると塔から仏たちが自分を見つめているようで面食らった経験がある。

これらは一つ一つの仏の顔が数多く、なんでも200近くあるらしい。どこにでも、どんな角度からでも、こちらを向いているような気がする。多数の観音さまが僕一人を見ていてくれるような作りになっている。
それにひきかえて、天竜寺法堂の天井にある直径9mの円の中に書かれた竜の目は場所を移動しても常に自分を見つめているという感じがした。
一匹の龍が、多くの違った場所にいる人に対して、にらみを利かしている、というのがこの龍である。
それにひきかえ、一人の人間を大勢の仏たちが見守るという構図がバイオンではとられている。

いずれにせよ仏の教えが、天竜寺では一人のお釈迦様が大勢の人に向って説法し、仏法の光を当てているというのに比べて、バイオンでは多くの菩薩が一人の人間を見守るというそんな気がした。

いずれも仏の教えの功徳があまねく世の中に行きわたる。そのために釈迦が直接民衆に語りかけるか、それとも大勢の菩薩が一人一人を温かく見守って釈迦の教えを垂れたまうか。その辺のちがいだ。

方丈からまっすぐに石畳が通じている。道の左側にはこの寺の支院があり、道端に沿ったもみじは枝の上の方の葉っぱは、紅葉し下の方まだ緑に輝いていた。