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透析しながら考えた事、感じた事。内部障害者として、色々な障害者,マイノリティの人とお互いに情報発信したい。

科学する心と自然の多様性/『マリモを守る。―若菜勇さんの研究』

2009-08-22 00:57:06 | 読書
マリモを守る。―若菜勇さんの研究
千葉 望,荒谷 良一,若菜 勇
理論社

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 自然界の多様性を、阿寒湖のまりもの保護活動を通じて認識できる児童・生徒向けの適所である。
 阿寒湖のまりもの生息地も今や4か所から2か所に減ってしまった。このまりもを保護するために、北海道大学から藻類の研究者の若菜勇さんが呼ばれた。若菜さんは、それまでに日本では、本格的にまりもの研究がなされてこなかったことから、まりも保護のためにも、まりもの科学的調査を本格的に始めた。エヴィデンスによる科学的研究が、それまでの神秘的な存在にすぎなかったまりもの生態を明らかにする事に貢献し、それが、まりもの保護につながるのである。

 まりも自体は、世界中に生息するが、丸くなるのは、阿寒湖の特殊な自然環境がもたらすものである。それは、湖だけではなく、湖を取り巻く森林も関係する。しかし、現在の白樺林は、本来の原生林ではなく、生物にとっても、多様性を保つ環境ではない。本来の原生林は、明治以来の開発により伐採され、その後に植林されたのが白樺であった。アイヌは、自分たちの生活の分しか自然からの恵みを受け取らなかった。それは、自然環境と共存し、生物の多様性を侵すこともなかった。

 丸い阿寒湖のまりもは、ある意味で奇跡的な存在である。まりもを保護することは、周りの環境も含めて自然界の多様性を保証することにつながる。本書は、そうした多様性を知る上で、科学の目から見た最適の本であろう。


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