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透析しながら考えた事、感じた事。内部障害者として、色々な障害者,マイノリティの人とお互いに情報発信したい。

冬の日に怪談を/『番町皿屋敷 (よみがえる講談の世界)』

2009-12-16 23:59:46 | 読書
番町皿屋敷 (よみがえる講談の世界)

国書刊行会

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 日本人は、怪談が好きなのかもしれない。最近も、一時期、ホラー映画が流行り、ハリウッドまで進出した。僕も、ホラー映画は大好きである。

 さて、怪異の中に、人間の欲望や怨念を描いた作品では、江戸の四大怪談が名高い。「東海道四谷怪談」「累ヶ淵」「牡丹灯籠」「皿屋敷」である。

 怪談は、夏に相応しいのかもしれないが、冬に観賞するのも、又、楽しである。
今年、8月にいのうえひでのり演出で上演された「怪談牡丹灯籠」が、11月27日にNHK教育テレビで放送された。先日、溜まっている録画の中からその作品を観てみた。原作は、大西信行で1974年に文学座で上演されている。今回は、瑛太、伊藤蘭の出演ということで話題になっていた。テンポのある展開で、原作者の三遊亭円朝が、狂言回しとして登場した。
 ※なお、人形劇団プークで上演された牡丹灯籠は、新宿の紀伊国屋ホールで観ている。この時は、先代の林家正蔵(彦六)師匠が人形を絡んで、劇中で噺をしていた。師匠は、芝居噺を伝える名人であった。

 さて、テレビの怪談に続いて、本書を読むことになった。明治31年1月に東京博成堂より刊行された「怪談 番町皿屋敷」(放牛舎桃湖講演、転々堂吟竹速記)による。
 この作品は、岡本綺堂による歌舞伎も名高いが、江戸時代にすでに民間の間に伝承されていたと思われる、廃屋と没落する家もイメージを伴っている作品が元になっているようだ。没落の原因は、奉公人が主人の理不尽さから殺害されることになっている。また、この話は、仏教における因縁話として、説教僧により、民衆に広められたようだ。

 前段は、「吉田御殿」の話になっている。豊臣秀頼に嫁いだ千姫、後の天寿院は、ニンフォマニア(色情狂)で、美形の男を吉田御殿に誘っては、用が済んでからは殺害し、遺体を井戸に投げ込んでいた。
 この屋敷跡は、後に旗本の青山主膳が拝領し、屋敷を設ける。盗賊改め役だった青山が捕縛したのが、盗賊の向崎甚内で、その娘お菊が、その後、手違いから青山家に奉公することになり、家宝の皿を一枚割ってしまい、中指を着られる羽目になり、後の井戸の中に身を投げて自害というのが、後段の話となる。お菊の呪いで、青山家は断絶。その後も、井戸から皿を数える女の声がする。
 話の終盤では、伝通院の三日月了誉上人によるお菊の成仏譚が語られる。これは、浄土宗の説教僧による影響であろう。9枚までしか数えられぬお菊に、10を加えることで救う話は、一連のパターンがあるようだ。雨月物語の青頭巾の救いを思い出した。

 なお、サイドストーリーとして、首切り役人・粂の平内兵衛のエピソードが語られているが、彼の出身が武州八王子で、今でいえば、ファンキーモンキーベイビーと同じことになる。兵内兵衛の祖父が信長の足軽で、主君の死後に八王子に居を構えたということになっている。地元に関することなので記しておく。
 
 さて、この講談本は、先の「安倍清明」同様、付録に四代目旭堂南陵講演のCDが付いている。※「安倍清明」の時は、三代目旭堂小南陵であったが、2006年に南陵を襲名している。
 CDにより、実際に講談の講演を聴くことが出来る。


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