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手話通訳準備せず裁判員不選任 高知地裁、要望見落とす/気になるニュース

2010-01-20 19:07:34 | 法律・裁判
手話通訳準備せず裁判員不選任 高知地裁、要望見落とす(朝日新聞) - goo ニュース

聴覚障害の裁判員候補者に手話通訳準備せず(読売新聞) - goo ニュース

 国民による刑事裁判への関与として始まった裁判員制度も、今年で2年目を迎えることになった。
 裁判員には、障害者が選任されることも当然想定され、導入開始にあたっては、聴覚障害者の木村晴美さんが参加して、手話通訳を配した模擬裁判が行われている。その際には、木村さんから、模擬裁判時の感想及び要望が述べられている。

 今回、聴覚障害者が裁判員候補者となるものの、手話通訳が裁判所側のミスにより準備されずに、結局、裁判員に選任されることがないという事態が起こっていたことが判明した。
 
 ニュースでは、次のように、事実関係などが紹介されている。

 『高知地裁で19日に始まった強制わいせつ致傷事件の裁判員裁判で、裁判員の選任手続きに出席した耳の不自由な女性候補者が手話通訳を求めていたにもかかわらず、地裁が準備していなかったことが分かった。事前に送った質問票の回答を地裁側が見落としていたためで、女性は結局、裁判員に選ばれなかった。地裁は女性に陳謝した。

 高知地裁によると、地裁は昨年11月30日、裁判員候補者100人の中から辞退者らを除く65人に「呼出状」を発送し、辞退希望や介助の有無などを尋ねる「質問票」を同封した。この女性の回答は同年12月9日に地裁に届いた。

 女性は質問票の中の「必要なお手伝いについて」という項の「手話通訳」という欄に丸をつけていたが、地裁職員が見落としていたという。

 19日の選任手続きに出席した女性は、ペンで白いボードをなぞる磁石式の筆談器を使ってやりとりした。「手話通訳を用意してくれないのですか」と申し出たが、地裁側は質問票の記載を見落とし、手話通訳者を準備せず筆談器を使って対応した。女性は地裁を出る際「事前に要望していたのに。裁判所を嫌いになりました」と書いたメモを地裁職員に見せたという。

 最高裁によると、障害のある裁判員候補者から事前に配慮を求められた場合、各地裁で障害に応じた措置を取ることが制度の前提。ただ、そうした配慮は義務づけまではされておらず、最終的には各地裁の判断に委ねられている。

 裁判員制度に詳しい園田寿・甲南大学法科大学院教授(刑法)は「ハンディキャップのある人たちへの配慮が各地裁の裁量任せになっている制度の欠陥が表に出たケースだ。全国民が参加する裁判員制度の趣旨に立ち返り、制度を見直すべきだ」と話した。 』(朝日新聞)

『高知地裁で19日に始まった裁判員裁判で、同地裁が聴覚障害のある女性に裁判員候補者として出席させながら、手話通訳者を手配していなかったことが分かった。

 女性が事前に通訳が要ると書類で求めていたが、同地裁が見落としていたという。

 女性は裁判員に選ばれず、同地裁は女性が帰った後、ファクスで謝罪文を送った。

 同地裁によると、女性は19日、裁判員の選任手続きに呼び出され、出席した候補者31人のうちの1人。呼び出し状に同封されていた事前の質問票に、女性は「手話通訳が要る」という欄に印を付けて返送していた。同地裁の複数の職員が質問票をチェックしていたが、見落としたという。女性は補充を含む9人の裁判員には選ばれなかった。

 女性が帰り際、職員に「事前に要望していたのに手配をしてくれなかった。私は裁判所が嫌いになりました」と書いたメモを見せたことから、チェック漏れが判明した。

 同地裁の近藤英彰総務課長は「候補者に大変迷惑をかけた。二度とこういうことがないようにしたい」と話している。

 最高裁広報課によると、裁判員候補者の聴覚障害者が手話通訳を希望した場合、裁判所は通訳者などを手配することが制度の前提になっている。同課は「実情について詳しく話を聞いたうえで、再発防止に向け、チェック体制を強化するよう全国の裁判所に周知徹底したい」としている。

 高知県聴覚障害者協会は「聴覚障害者が制度に参加できるよう適切な対応をお願いしたい」として、近く地裁に文書で要望する。』(読売新聞)

 今回の出来事で分かったことは、事前に要求した聴覚障害者に対する手話通訳者を配することが、義務規定がなく、各地裁の裁量に任されているということであった。他の障害者が、裁判員候補者になった場合の裁判所の配慮も同様の扱いとなっている。
 また、質問票のチェックが複数の職員により行われていたのにも関わらず、見落としてしまったシステム上の不備も反省の上、改善の必要がある。

 政権交代をきっかけに、障害者基本法の廃止が政府から表明され、この法律に変わる障害者基本法の制定が、障害当事者も参加することで進められる方針となった。
 この基本法とは別に、聴覚障害者や高齢者のためのコミュニケーション保障のための「情報保障法」の制定も、当事者から求められている。※手話通訳、要約筆記、筆談等の障害者に合わせた情報保障。
 今回の、裁判員制度でみられた不手際のニュースを聴いて、「情報保障法」の一日も早い成立の必要性を強く認識した。
 また、この「情報保障法」が成立する時は、その中に、「手話はろう者の母語であり、公用語とする」という条文を入れてもらいたい。


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