トッペイのみんなちがってみんないい

透析しながら考えた事、感じた事。内部障害者として、色々な障害者,マイノリティの人とお互いに情報発信したい。

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「祈り」とは何か/絵本『おじいちゃんと森へ』

2010-01-30 00:34:12 | 絵本・児童文学
おじいちゃんと森へ
ダグラス ウッド,C.W. ニコル
平凡社

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 おじいちゃんと孫との交流を描いた作品で、孫の発する「祈りとは何か」という質問に対するおじいちゃんの答えが素晴らしい。森の中の全ての存在が祈りを行っている。石も音のない祈りを、水の流れも、音をたてたり、無音だったり、他のものに対しての変化を含めた祈りを行っている。

 キリスト教というよりは、ネイティブインディアンが、全ての存在に精霊の存在を認めた事につながっていくような祈りの定義。

 少年は、おじいちゃんの言った「祈りの意味」がなかなか理解できなかったが、おじいちゃんの死後、森の中で「祈り」―「地球の祈り」が聴こえるようになった。おじいちゃんも、いつもそばにいるような気がした。

 おじいちゃんの言葉は、心に残るもの。
「木や草や岩やあらゆるものが、じっとしていて、黙ったまま、天に向かって静かにお祈りをしている」
 何かのために祈るのではなく、何かを欲しいとお願いして、返事を期待して祈るのではなく「生きている、そこにあるということが、お祈りなんだよ」
 「お祈りは問いかけじゃないんだよ。お祈り自体がその答えの場合もあるんだ。世界を変えるためにではなく、自分自身を変えるためにお祈りをするんだ。自分自身が変われば、世界も変わるんだよ」

ケータイ小説「セルフレイティング」有害情報対策で実験/気になるニュース

2010-01-30 00:13:09 | その他
ケータイ小説「セルフレイティング」有害情報対策で実験(朝日新聞) - goo ニュース

ケータイ小説にR-18のような格付け「サイバー特区」で実証実験(INTERNET Watch) - goo ニュース

 感想につき、投稿予定。項目「サイバー特区」「ケータイ小説家のラベル付の真実性への疑問と、検索利用者の回避ツール仕様による効果がないという指摘」「コンテンツの爆発力期待」「1年間に国家予算1億円」「二次利用、二次創作の著作権フリーの限定されたネット世界の構築によるクリエーターの育成」等の問題点、期待されている点あり。世界に向けてのコンセプト発信を目指したバーチャル空間での、実証実験。

古典に親しむ絵本/絵本『>海女の珠とり―海士 (お能の絵本シリーズ (第1巻)』

2010-01-30 00:05:30 | 絵本・児童文学
海女の珠とり―海士 (お能の絵本シリーズ (第1巻))
片山 清司
アートダイジェスト

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 能の「海士」を元にした絵本です。原曲は、身分の違いと、女性は成仏できないという、二つの差別が基本にある話です。右大臣藤原不比等(謚は淡海)と海女との関係、これは愛に基づくものなのか、打算に基づくものかは、定かではなく、観客の解釈にまかされます。ただ、母親の命をかけた愛情は、不比等との間に生まれた息子に対するものとして、心を打つものがあります。
 女性が成仏できないという思想は、当時は常識的な考えでした。本曲の中でも、供養を受けた海女の霊が、龍女となって登場します。これは、法華経の提婆逹多品の中に書かれた龍王の娘が仏道を修めた上で、成仏した話を受けています。ただし、経典の中でも、女性の身では成仏できず、男性に変化してから成仏を遂げています。変成男子の考え方です。

 絵本では、話が、子どもが読みやすいように、変奏曲となっています。

 藤原房前(ふささき)は、死を前にした不比等の枕元に呼ばれて、実母の話を初めて聴かされます。(原曲では、不比等の死というエピソードがありません)。その昔、藤原家の大事な宝の珠を龍王に盗まれたことがありました。不比等は、珠を取り戻すべく、讃岐の国志度の浦房前という場所に出かけていきます。そこで、海女と出会い、二人の間に生まれた子どもが房前でありました。

 房前は、母を探しに志度の浦に出かけていくのでした。そして、そこで房前も一人の海女に出会います。その海女は、かつて、命をかけて宝の珠を取り返した海女の話をするのでした。海女は、珠を取り返すために、龍王のいる海に潜ります。やっとのことで、珠を取り戻しますが、珠を護る八大竜王に追われます。覚悟を決めた海女は、持っていた剣で、乳房の下を切り開き、そこへ宝珠を埋め込んだのでした。龍王たちは、血を嫌います。海女の傷から大量に流れる血のために、龍王たちは追いかけることができなくなります。
 船の上に引き上げられた海女は、不比等に、自分達の息子を跡継ぎにすることを約束させて息絶えるのでした。

 こうした経緯を話した海女が、自分こそが房前の母親の霊であることを告げて、息子のあった故に、この地に留まる必要がなくなったと姿を消します。

 房前は、志度寺の僧侶を集めて、母親の供養をします。やがて、美しい母の姿が海の向こうから見えてきます。母親は、房前の供養によって、他の海で死んだ霊たちとともに成仏出来たと告げて、昇天していったのです。

 なお、日本画家の岡村桂三郎氏の絵は、抽象画のような所もあり、読み手の想像力を呼び起こすものです。