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透析しながら考えた事、感じた事。内部障害者として、色々な障害者,マイノリティの人とお互いに情報発信したい。

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医療・福祉の貧困に関する気になるニュース

2010-01-14 18:03:51 | 政治
医療機関の倒産が過去最高を記録(医療介護CBニュース) - goo ニュース

 小泉政権下の新自由経済主義の下、外資系の保険会社などの意向を受けて、国民皆保険制度の変容が図られようとされた。混合診療・自由診療の拡大を目指そうという動きが強まった。この頃は、毎日のように、テレビで民間保険会社の医療保険のCMが垂れ流されたことが記憶に新しい。最近は、あの頃に比べれば、かかるCMの量は減っている。その代わりに、薬まがいの「健康食品」のCMが垂れ流し状態である。有効成分とされる物も、消化器官で分解されないのかと不思議に感じている。有名タレントが宣伝するという、権威付けの販売が行われている。かなりの高額商品であるが、健康に対する不安感に漬けこんで、販売量を増やしているのだろう。あれだけの広告に対する費用は、馬鹿にならない額であるはずで、その広告費は、結局は購買者がかなりの額を負担していることになる。あくまでも食品なので、医療品のようなエヴィデントが要求されることがない。「利用者の声」なるものが、根拠となりえない根拠もどきとなっている。少し前は、コラーゲンのサプリメントが流行っていたことがあったが、コラーゲンも身体の中に入れば消化、、分解するから、その接種の有効性を謳うことは、疑似科学の範疇であった。
 こうした物が盛んに売られるのも、医療の貧困が、背後に見え隠れる。

 ニュースによると、1008年度の病院と診療所の倒産が過去最高を記録したと報じられている。
 『病院と診療所別の内訳は、病院が11件、診療所(歯科を含む)が41件。特に診療所の倒産が07年の30件を大きく上回り過去最高を記録した。帝国データでは「年々施設数が増加しており、競争激化に伴う淘汰的要素の強い倒産が多いと考えられる」としている。
 一方、病院の倒産は、07年に前年の5件から急増して過去最高の18件となり、08年が7件、昨年が11件と推移しているが、帝国データでは「昨年は診療報酬引き下げを要因とする倒産が主体となっており、これまで中心となっていた『過去の設備投資負担』『放漫経営』といった倒産と大きく質が変化していることは注目すべきポイント」としている。』

 病院の倒産の原因が、診療報酬引き下げによるものというには、看過できないことである。
 また、政権交代により、後期高齢者医療制度の廃止が公約通り廃止されるかと思いきや、廃止が先延ばしされたことも無視することができない。廃止まで、保険料の増額が懸念される。

老人福祉事業の倒産件数、3年で4.6倍(医療介護CBニュース) - goo ニュース

未届け有料老人ホーム、全国に389施設―厚労省が追跡調査(医療介護CBニュース) - goo ニュース

 介護保険制度も、真面目に施設を運営しようと思ったら、赤字覚悟というリスクを背負うことになる。制度導入で、多くの民間業者が、異業種からの参入も少なくなかったが、儲かるという思惑が外れたようである。また、福祉介護職についている若者も、学生時代は使命感で燃えていたのに、低い賃金ゆえに、結婚等の現実に、意に反して離職するケースも少なくない。男性の賃金も、他の業種と比べて低くなっている。

 また、無届の老人施設が多数存在することも、利益を目指したものなのだろう。切りつめた経営から、手厚い介護を要求することは無理な話で、夜間の管理体制などは、火事等の事故等が起こった場合のリスクを考えると恐ろしくなる。

 派遣切りなどで、職を失った若者たちを、福祉介護職に就かせようとする動きがあるが、厳しい労働条件、経済条件を考えたら無理な話ではないのか。
 職安などで、講習のための費用の支給目的のために、介護を不本意で学んでいる者がいることも指摘されている。

貧困ビジネス経営者らを告発 2億円脱税容疑で国税局(朝日新聞) - goo ニュース

 ホームレス等を集めてきて、自分達の運営する「無料」簡易宿舎に連れて行き、生活保護申請をさせ、受給された生活保護費を搾取している「貧困ビジネス」も、行政は、真剣に取り締まろうとしていない。むしろ、こうした施設の実態を知りつつ、紹介する行政の福祉窓口があるのが現実のようだ。行政側で
、シェルターを運営することより、安易な「不当な」施設に入所される方が楽なのだろう。彼らも共犯といっていい。

 「貧困ビジネス」は、未届けのものも含めたら、全国に多数存在するようだ。「タコ部屋」という言葉が昔あったが、実態は「貧困ビジネス」に続いている。

 去年の暮れから、新年にかけての「公設派遣村」も問題が多かった。東京都の知事がいったように、国から言われたので仕方なくやったというのが本音なのだろう。スタッフも、休日に嫌々やらされたというのが本音かも。アルバイトの要因を使ったり、他の団体への丸投げもあったようだ。
 なお、東京都の場合、2万円を支給された「村民」が、200人以上が無断外泊をしたということが、ゆがめられたニュースとして報じられたことには、気を付ける必要がある。

アフガニスタンの未来は誰のために?/『もしも学校に行けたら―アフガニスタンの少女・マリアムの物語』

2010-01-14 01:33:08 | 戦争と平和
もしも学校に行けたら―アフガニスタンの少女・マリアムの物語
後藤 健二
汐文社

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 アフガニスタンで、2009年に武力攻撃・衝突で死亡した子どもたちが約1050人に上り、2001年の対タリバンへの開戦以来最悪の数字となったことが、アフガニスタンの民間人権組織「アフガニスタン・ライツ・モニター(ARM)から発表された。同年の子どもへの著しい人権侵害も、少なくとも2080件の事例が報告された。自爆兵や歩兵としての利用、レイプ、強制労働等が報じられている。
 紛争の一番の犠牲者は、本来は、自分達の国の未来を背負っていくはずの子ども達であるかも知れない。
 アメリカのオバマ政権による軍隊の増兵方針は、この国の平和を一層悪化させるものとして、少なくない人々の失望感を深めている。
 「テロとの闘い」を錦の御旗にしようとも、現地での戦闘は激しさを増し、アメリカ兵の死亡、ジャーナリストの死亡が報道されている。
 タリバンも、元々はアメリカが対ソ連占領のために育てた組織としての一面も持っている。最近では、又、勢いを復活させている。
 誰のために行われている闘いか、アメリカとタリバンの視点からの情報の報道が中心となっており、アフガニスタンの民衆のためのビジョンは置き忘れられている。殺人、強盗といった犯罪による市民生活における治安もとみに悪化しているという。

 30年以上も戦争が続いている国、著者は、タリバン政権崩壊の2001年に、真っ先に首都カブールに取材のために向かった。この試みも容易なことではなく、先に出発していた外国人ジャーナリストのコンボイが、タリバンに襲われ、2名の死者を出していた。その事件の直後、意を決してカブールに入り、アメリカの空爆により家を破壊された母子家庭のグルマカイさん一家を取材する。彼女の家の働き手であった長男は、アメリカ軍の爆弾投下により死亡している。こうしたアメリカ軍による民間人の殺害も、現地では問題とされることもなく、補償も行われることもない。
 この家の少女マリアムも、最初は、頑なに心を閉ざしていた。

 タリバン政権では、多くの制限が国民に対して課せられた。音楽や踊ることを禁止した。また、女子の教育も否定した。こうした原理主義も、根拠はコーランには書かれていない。

 少女達の初めての教育開始を、マリアムの姿を通して、作者が温かく描いていく。学校開校の日に、多くの少女たちが集まった。マリアムは、勉強がしたいが、母親は、長年のタリバンの政策により、学校も教育ということも、詳しい内容が理解できなかった。著者の働きかけで、マリアンが開校式に行くことになった。しかし、当日には、教科書もノートも十分に渡すほど数がなかった。それだけ、多くの少女たちが、勉強したいという思いで集まったのだ。
 マリアンは、途中、誤解から学校へ行くことを止めてしまうが、著者の働きかけで再び通学できるようになる。この時に、校長や教頭の前で、マリアンが示した学習への意欲は驚くべきものであった。
 勉強をしたいというマリアンをはじめとする少女たちが、アフガニスタンの未来を作るのだ。しかし、未だ、国民の中には、女子が教育を受けることを否定するものも多く、妨害行為すら行っている。

 現在、首都カブールは、見た目には、復興が進み、経済も向上しているように見えるが、貧富の差は大きく、帰国した難民たちの生活水準も難民時代とそう変わっていない。

 本書で、最悪とも言える状況の中でも、勉強をしたいというマリアムの姿を通して、真のアフガニスタンのための将来のビジョンが見えるようになることを祈らざるを得ない。