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外来種の脅威に負けずに稲作じいさん/絵本『たんぼのおばけタニシ』

2010-01-11 00:59:28 | 絵本・児童文学
たんぼのおばけタニシ (そうえん社 写真のえほん)
大木 淳一
そうえん社

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 一昔前、新聞広告などに、ジャンボタニシ(スクミリンゴガイ)の養殖で高収入を獲得しよう、なんて文句の広告をよく目にしました。淡水で、一般人でも容易に繁殖できるなんて触れ込みでした。この貝には、他にもニックネームが付けられていたようです。
 しかし、日本人の味覚に合わなかったことや、広東住血線虫という寄生虫の発見により、スクミリンゴガイの繁殖業者は次々と廃業に追い込まれました。でも、そうして買われていたものが、ペットも含めて、自然界に拡大していってしまいました。この貝は、若くて柔らかい植物を食べることから、田んぼで植え付け後2、3週間の期間、稲の苗を食いつくす害を及ぼしています。
 色々と駆除方法が試されていますが、絶滅させることは不可能のようです。

 千葉県の九十九里町に住む76歳のおじいちゃんが、2歳のなった孫のキョウちゃんに語りかけるように、稲作の話をしていきます。写真と共に、1年間の稲作の様子がえがかれますが、その中に、不気味なピンク色のお化けタニシの卵の写真が登場します。成長し、稲の苗を食い尽くそうとする写真も出てきます。
 今では、地元の子どもにとって、田んぼのピンク色の卵の塊も、当たり前の風景になってしまったようです。

 外来種が在来種を駆逐すること、また、稲作の方法が変わったことや、農薬の使用等で、在来種が滅びる可能性が高まっています。

 お化けタニシを見つめながらも、稲作を続けるおじいさんの姿を通して、日本の農業について考えてしまします。

 また、従来の稲作が、豊かな生物の多様性を形成していたことを再認識させられます。

 お化けタニシの存在が、当たり前の風景でなくなるためには、先ずは人間の自然に対して行った愚かな行為を見直すことから始める必要がありそうです。