かぜねこ花鳥風月館

出会いの花鳥風月を心の中にとじこめる日記

よみがえる伊藤新道を歩ける日が来るのかな

2021-12-30 11:09:08 | 日記

年末、グレートトラバース特集や黒部源流紀行など山岳関係の特番を楽しんでいるが、12月28日NHKBS1で放送があった-「黒部の山賊」北アルプス秘境の山小屋に生きる-は、北アルプスの三俣山荘や雲ノ平山荘の主人たちの熱意が感じられて、とても興味深く視聴させていただいた。

番組後半は、この山荘を60年前に建てた伊藤正一さん(1923-2016)が、昭和31年に完成させた「伊藤新道」の再興の様子が描かれていた。

伊藤新道は、三俣山荘に到る最短ルートとされていたが、残念ながら架けられていたつり橋の崩落などで昭和58年頃に廃道状態なっているが、現三俣山荘のオーナーで正一さんの長男の伊藤圭さんが、親が開いた新道を何としてでも再興したいと、道の整備やつり橋の再建などに取り組んでいる。

「道を整備しても登山者が歩かないとすぐ廃れていく」と登山者の増加を期待しているが、ふもとの登山道に沿って流れる湯俣川に架かっていた五つのつり橋が、現在1つのみ再建されたばかりであり、まだまだ、一般登山者が通行できる状態ではなさそうだ。

だが、毎年小屋閉めの際には、スタッフ一同この伊藤新道を下るのを恒例としているようで、番組では、圭さんの中学生の長男や小学生の長女も加わって楽しく湯俣川を渡渉していたみたいで、増水さえしていなければ、それほど通行困難な道ではないのかもしれない。

ただ、登山口の高瀬ダム近辺まで、現在バスが走っておらず、タクシーだと信濃大町から1万円以上かかるということで、今は選択肢に入らないが、つり橋の再建やオンデマンド型の乗合タクシーなど、利便性と安全性が整えば、あるいは、オイラの目の黒いうちに、この温泉があり、美しい沢があり、上部の展望もよいという黒部源流への最短ルートを歩ける日が来るのかもしれない。圭さんがんばってね。

伊藤新道今昔

2018年8月、前日雲ノ平のテント場のテントが大雨でずぶ濡れになったので、オイラはこの三俣山荘に一泊お世話になり、ついでに小屋の周囲のハイマツに濡れたテントや寝袋を広げて乾かしたことを懐かしく思い出した。

この番組の前半では、小屋明け直後に、小屋のスタッフが周囲のハイマツに色とりどりの布団を干している様子が描かれていたが、当時も小屋の布団が干してあったので、オイラもそれを真似て寝袋などを干したことを思い出した。

「ハイマツには申し訳ないが、三俣山荘の周りのハイマツって人の背丈より低く、しっかり密生しているので、ものを干すのにいいんだよね。」

昨年・今年と全国の山小屋は、さらに厳しい経営環境に陥っているという。そんななかでも、番組の若き主人たちは、さまざまなアイデアで復興を果たそうとしているが、ぜひ熱い思いを実らせてほしいな。

「伊藤新道再興基金」なんてクラウドファンディングあったら、つり橋の単管1本分でも寄付したい気持ちになっている。(セコイか)

 

 

 

    

     三俣山荘前から眺めた槍穂の夕景がわすれられない。(2018.8)

 

 

   

     槍をバックに、山小屋の布団たちが干されていた。気持ちよさそうだった。

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