かぜねこ花鳥風月館

出会いの花鳥風月を心の中にとじこめる日記

比叡山を駆け下りながらワルターの第九を聴いていた日

2021-12-26 19:14:19 | 日記

年の暮れの風物詩である全国高校駅伝を毎年TVで見て応援している。いつ頃だったか、この駅伝を現地で応援しようと、青春18キップか夜行バスを利用して京都まで出かけたことがあった。

せっかくだから駅伝のコースを知っておこうと考えて、午前中の女子駅伝が始まる2時間ぐらい前に、スタート会場となっている西京極の陸上競技場をスタートし、コース沿いの歩道をジョギングしながら、女子の折り返し地点となっている10キロ過ぎたあたりで待機して、選手たちが走ってくるのを待った。

女子駅伝の応援を終わったら、さらに10キロ先の男子折り返し地点となっている国際会議場までジョギングして、男子選手が駆けてくるのを待って、最後の選手まで応援した。

国際会議場には地下鉄駅があったので、それで駅方面に戻ればいいものの、当時は時間と体力があったからか、ラジオのイヤホンでレースの行方を聴きながら、折り返して京都駅方面までジョギングした記憶がある。仙台育英高男子が優勝した2007年頃だったかな。(不明)

京都には、正月休みや春の18キップ利用期間などを利用して何度か訪ねている。古寺巡礼が中心だが、全国のトレランにチャレンジしていた頃には、これに合わせて、トレーニングもかねて「京都1周トレイル」コースを歩いて、走った。

コースは、京都市街を東~北~西方向に馬蹄形に取り囲む尾根上に整備されていて、京都エキナカの観光案内所で手に入れた地図を片手に、オイラは四度に分けて全コースを踏破した。東山の大文字や北山の神社仏閣もコース上に現れ、1000年の歴史の重みを感じながら原生の森も残されていて、とても気持ちよく辿れて、京都市民をうらやましく思いながら歩いた。

いつ頃の年の瀬だったか、京都駅からバスでお気に入りのお寺「大原三千院」までバスで行って、参拝したあと、大原から京都1周トレイル「北山・東部」の地図を片手にコースを時計回りに10数キロ歩き、比叡山延暦寺を詣でた時があった。雪は降らなかったが、凍えるような山上には終日深いガスが立ち込め、霧の中から時おり姿を現す堂宇や杉木立のシルエットに、ただならぬ神さびた気配を感じた。

延暦寺の梵鐘を高らかに打ち鳴らし、東日本大震災の犠牲者に手を合わせたあと、延暦寺の表参道(本坂)を小走りに滋賀県坂本方面に下った。

この下る間、オイラはウォークマンにつないだイヤホンから流れる「第九」を聴いていた。フルトヴェングラーでもカラヤンでもなく、その当時気に入っていたブルーノ・ワルターの「第九」だった。第三楽章の静謐が比叡の深い森にマッチし、その後に訪れる歓喜の歌を一緒に口ずさみながら、山を下る間ずうっと興奮していた。精神医学上は「躁状態」だったのかもしれない。あのように興奮して聴いた第九は、あれ以来二度とやってこない。

あの明智光秀さんの城のあった坂本の街は、比叡山の玄関口でもあるが、下りてから蕎麦の街でもあると知った。古い街並みの老舗の蕎麦屋で、冷たい蕎麦と熱い蕎麦湯で割った焼酎をいただき、その年の年越しそばとした。

 

     

 

 

 

コメント