神なる冬

カミナルフユはマヤの遺跡
コンサドーレサポーターなSFファンのブログ(謎)

SFマガジン考課表2008年9月号

2008-09-16 23:53:23 | SF
SFマガジン2008年9月号

中国SF特集。
どれも名作級だけど、これは厳選されたせいなのか?
中国SFは科学啓蒙小説としての側面が強いらしいが、本誌で紹介されたものはそれほどでもない。
科学的におかしいものを発表すると、とたんにモヒカン族(ネット用語)に会うというのが、笑える。
『シヴァの舞』でウィルスという名の細菌が出てくるのも、途中で誰かの突込みが入ったせいか。
日本だと、SF仕立てのホラーとか、途端に餌食になりそう(ワラ)
精神汚染! 精神汚染!

また、世界でも有名なSF雑誌「科幻世界」の発行元が“四川省科学技術協会”というお役所なのが笑える。
さすが共産主義。

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『水棲人』韓 松
+1.5
中国ではないどこかである必要性があったのか、なぜか日本(?)が舞台の人間改造SF。最終戦争とか人種差別とか、背景もいろいろ深い。

『さまよえる地球』劉 慈欣
+2.0
膨張する太陽から逃げ出すために、地球にエンジンをつけて飛び出そうというバカSF。
内容はいたってシリアスだが、太陽爆発直前のエピソードなど、喜劇的なバカさ加減がすごい。

『シヴァの舞』江 波
+1.5
滅亡の先にある脱出と再生の二本の道。ブラッドミュージックだったり、ワンの絨毯だったり、ラジバンダリ。

『5017』草上仁
+0.5
ネタが途中でばれたので、減点。

『綺幻燈玻璃繪噺』今日泊亜蘭
+1.5
この方も亡くなっていたんですよね。今年は訃報が多すぎる。
旧仮名使いで読みづらいかと思いきや、リズム感のある文章で読みやすい。

『閃光ビーチ』菅浩江
+1.5
お化粧SF第2弾。メイクも深いですね。勉強になります。

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9月号は平均点高いです。
バックナンバーで購入もお勧め。


[昔話] 漫画禁止でも読めたコミック

2008-09-16 22:54:19 | Weblog
うちの親は漫画嫌いでコミックはまったく買ってくれなかったが、不思議とアニメを見るのはまったく問題が無かった。
たぶん、TVアニメは只だったからかもしれないけど。

そんななかで、唯一買ってくれたコミックが学研ひみつシリーズだった。
最初に買ってもらったのは『恐竜のひみつ』だった。これは本が分解するぐらいに何回も読んだ。
ブロントサウルスとか、今じゃ嘘になっちゃった知識もあるのが残念だけど。改訂版とか出ているのかな?

『宇宙のひみつ』も持ってたけど、圧倒的に『恐竜のひみつ』が好きだった。

昔、宇宙派/恐竜派の話を聞いたことがあるのだけれど、googleで検索しても宇宙恐竜ゼットンしか見当たりません。
宇宙派/恐竜派というのは男の子のロマンがどっちに向かうかという方向性で、宇宙や星が好きなタイプ(天文部に入っちゃうような人)と、恐竜やアトランティスが好きなタイプ(考古学とか民俗学とか)に分かれるという説。こうやって書くと、S(Science)派とF(Fantasy)派にも重なるんだけど、自分は恐竜好きのS派なので、特殊なんだろうか?
宇宙系もエイリアンや宇宙生態学(火星や木星の衛星ではどのような生物が可能なのか、とか)に興味はあっても、ロケットを飛ばすこと自体や、光速宇宙船を作る方法にはあんまり興味が無いかも。

結局なんだかんだで、小学校卒業くらいまでに、20冊以上そろえたような気がする。
最後の方で姉が買った『科学実験のひみつ?』(←タイトルうろ覚え)では、サンダー杉山とかが出てたくらいだから、相当なものでしょ(って、何が?)。

この「ひみつシリーズ」のおかげで、似非科学セールスにも負けない、立派な“科学の子”が育ちました。
本当にありがとうございます。

実は「科学シリーズ」(学研のおばちゃんが持ってくる「×年の科学」)も買ってたんだけど、あれはどっちかというと科学付録よりも、コミックのコーナーを楽しみにしていて、科学の子よりもオタクの子を育てたような気もするけど。

親がコミック解禁だったら、科学の子じゃなく、マンガオタクになってたかもね。

[SF] ゼロ年代の想像力が単行本化された

2008-09-15 23:01:16 | SF
あえてSFカテゴリで書く。

SFマガジン2008年9月号の宇野常寛インタビューを読んだ。
『ゼロ年代の想像力』でやりたいことはわかったが、やっぱりこいつはどうして自分の言説が批判されているのかわかっていない。

学園ドラマは少なくとも僕らにとっては“敵”ではないのだよ。
それが物語ではなく、アイドルとして消費されていたとしてもだ。
北乃きいってかわいいよね、とか、中島美嘉の『LIFE』ってかっこいいよねとか。
だが、逆に言うと、それこそが東浩紀の言うデータベース的消費ではないのか?

こいつのダメなところは、“流行”の取り上げ方が恣意的で、ソレを支持した層がどこにあったのかをまったく考慮していないところにある。引き籠りニートに受けたものと、DQNやキャバ姉ちゃんに受けたものが同じ価値観で評価できるわけがなかろう。

また、原作つきのドラマに関しても、ドラマ放映当時の議論が多すぎて、原作が出版された時代の考慮が乏しい。それではドラマばかり持ち上げてといわれても当たり前だろう。たとえば、『1ポンドの福音』が連載されたのは1987年で、ドラマ化の20年前である。これが同じレベルで語られるから、話がおかしくなる。ちなみに1987年とは、『機甲戦記ドラグナー』でサンライズアニメが打ち切られた、冬の時代の始まりである。

最後まで読むと、この違和感の出所がわかる。
こいつはサークラーでイベンターだ。
つまり、時代的にもスーパーフリーの和田さ~んの仲間だ。

つまり、我らがSF読者の敵は、決断主義でもDQNドラマでもなく、宇野常寛本人だ。
こいつは、冬の時代が続けば、SFなんぞを歯牙にもひっかけなかったであろう。
切実に“物語”を必要としている人間を切り捨て、ようやく二度目の夏を迎えようとしているSF/ファンタジーにたかる蚤野郎だ!


[昔話] ラインサッカーが好きだった頃

2008-09-15 17:12:58 | Weblog
ラインサッカーって、まだ小学校の体育でやってるんでしょうか?
僕が小学校の頃は、さすがに釜本のメキシコオリンピックよりは後ですが、フットサルやサロンフットボールなんて言葉も存在せず、Jリーグなんて影も形も無い頃でした。
そのころ、サッカーゴールは学校のグラウンドに1セットあればいいくらいで、体育の時間にみんなで使うこともなかったのです。
そこで、体育の授業でやっていたのがラインサッカー。小さなフィールドに白線でラインを書き、これがゴール代わり。基本はボールを転がして、このラインを通過すると得点というものでした。(ボールもサッカーボールじゃなくてドッヂボールだったかも)
じゃあ、上ははどこまで有効かというと、これが記憶に無いんですが、たぶん、関係なかったと思います。なぜなら、当時はまともなサッカーの試合を見たことがある児童が少なくて、ヘディングすらまともに知りませんでしたから(ワラ)
ちなみに、「キャプテン翼」の連載も開始されていなかった頃の話です。

で、なんでラインサッカーが好きだったかというと、逆に他の球技が嫌いだったのです。
身体が小さくて力も無かったので、ドッヂボールなんてただの的、バレーもバスケ(ポートボール)も話になりません。
それでも、サッカーだけはなんとかなったのです。そもそも、ボールを“蹴る”ということが少なかった時代です。みんな同様にヘタッピでした。そんな中で、ちょこまか動きながら、ゴールを決めることができました。キーパーは逆に大柄でどんくさい子がやっていたので、彼はサッカーが嫌いだったようです(ワラ)
それ以来、サッカーは唯一得意な球技となったのでした。

今だと、小学生が翼のマネをしてオーバーヘッドの真似事とかしてそうで、運動の得意な子の独壇場かもしれません。
運動が苦手な子供でもルールを覚えさえすれば運動が得意な子に勝てるスポーツというと何でしょうか。タッチラグビーとか?

[映画] ハンコック

2008-09-15 16:23:35 | 映画
『ハンコック』 - goo 映画

実は中ほどで気持ち悪くなったので、あまり良い評価ではないのはそのせいかも。
3D酔いみたいな症状だったんだけど、そんなに揺れてたかな。

内容としては、なんとも言いがたい感じ。
細かい突っ込みどころはありますが、そりゃおかしいだろうという展開も無く、逆にこれはすごいというところも無く……。

物語は2部構成になっていて、この二つがまったく別物。ある意味度肝を抜かれます。
しかし、違う脚本を二つくっつけたのではないかというくらい、繋がりがありません。
片や、宣伝どおりに、不人気のアル中ヒーロー更生物語。片や、スーパー種族同士の悲恋物語。
どっちかに絞って、深く掘り下げれば、いい映画になったと思うんだけど、片方のアイディアだけでは間が持たなかったのでしょうか?

フランケンシュタインの映画の半券も、意味深でステキな小道具だと思うんだけど、生かしきれておらず、もしかして第3の脚本の名残かとも思えるくらい。

原作つきの映画なら、この手のまとまりの無さは良くあることですが、映画オリジナルでこれって、なんなのでしょうか?
スタッフの力の無さの証明?

なんにしても、いろいろ惜しい映画でした。

[SF] 新しい太陽のウールス

2008-09-15 15:55:57 | SF
『新しい太陽のウールス』 ジーン・ウルフ ハヤカワ文庫SF

我らがコンサドーレとともに、豪雨の三ツ沢で水没した書である(ワラ)
乾いた後も本の歪みっぷりはすごいことになっていて、どの方向にも直立しません。

乾かすために2週間かかったせいで、イエソドの途中で間があいて、なおさらわけがわからなくなってしまいました。
思いっきり消化不良です。口当たりだけは楽しみましたが、未消化で栄養には全然なっていません。
汚い話ですが、この文章は下痢みたいなものです。

「数々の謎が解き明かされる」という売りですが、想像もしていなかったような物語の大どんでん返しには気付きませんでした。無かったのではなくて、気付きませんでした(←これ重要)

謎の解明よりも、イエソドでの裁きの後にウールスへ戻り、時間を越えて旅をすることにより、主要キャラ大集合のお祭り的な展開が楽しかったです。That's 太陽の書 グラフティー(ワラ)

なんだかよくわからないんですが、セヴェリアンは何度も死んで、そのたびに生き返らされているのでしょうか。
自分の死体らしきものがいくつか出てきますが、母親の生んだ肉体の他にアンドロイドのような身体があって、今生きているのはそこにプログラムである魂(アニマ)を格納したものということでしょうか。

光子帆船っぽく見えてタキオン速度(?)で飛ぶ船やら、量子力学やらブラックホールやらホワイトホールやら、なんだかよくわからない説明が出てきます(しかも語り手のセヴェリアンがわかっていないので、さらにわけがわかりません)が、結局セヴェリアンは黄泉の国であるイエソドから帰還し、魂として復活した後にウールスのいろいろな時代へ旅をしたのでしょうか。

1巻から4巻が、ファンタジーの衣をまとったSFだったのに対し、本書はSFの衣をまとったファンタジーというか、神話なのでしょうか。
天界からのお導きにより、なんだかんだでノアの大洪水で、最後は新しい神様になるという。

うーん。やっぱり消化不良で駄目すぎですね。
老後に1巻から5巻まで通読してみたいと思います。

[FT] ラス・マンチャス通信

2008-09-14 19:01:53 | SF
『ラス・マンチャス通信』 平山瑞穂 角川文庫

2004年ファンタジーノベル大賞受賞作の文庫化。
帯が森見登見彦で、解説が大森望。

以上の情報だけで興味を惹かれた方は、ひとつ。

ホラーなんだかダークファンタジーなんだかよくわかりませんが、爽やかな気持ちにはなれません(ワラ)

見ない振りをする、我慢するということがキーワードなのか。
現実を見ない振りができず、我慢できなかった主人公は、その現実を打破しようとし、あるいは偶然に壊してしまい、さらに悪夢の深みにはまっていく。
こうやって書くと、長いものには巻かれろ的な教訓を与えてくれそうな小説だが、けしてそんなことはなく、逆に長いものに巻かれるおぞましさで堪らなってくる。

暴力的な結末にカタルシスを感じる程度で、後はネガティブな感情のみがフツフツと沸いてくる最悪な小説。
いや、皮肉ではなく、褒めているんですが。

おぞましい現実に見て見ない振りをするのか、現実を打破しようとしてさらに深みにはまるのかは、自由だぁ!
現実 is フリーダム
人生 is フリーダム

清水 3-1 札幌

2008-09-13 23:18:39 | コンサ
関東講演会のバスツアーで、清水に行って来ました。
往路で渋滞に巻き込まれて遅れそうになったり、天気予報は曇りだったのに、すごい雨が降ったりで、みなさんお疲れ様でした。

うまかったよね。マグロ。

いや、マグロ喰いバスツアーですから。
主役はマグロですから。

でも、依然食べた店よりも、高い割りに落ちる感じで、ちょっと残念。
観光客向けの店だったかな。

試合?
だから、マグロ喰いバスツアーだって(泣)



サッポロビール 赤ラベル

2008-09-11 23:32:53 | Weblog
赤ラベル買った。

コンビにのみで発売中。

こんなうまかったっけ?
苦味が弱くてうまみが強い感じ。

居酒屋で時々みかけるけど、ビンビールのみなので、めったに頼まないんだよね。

ラガーが苦いなんてイメージ、キリンのまずいビールのせいです!

輸入ビールでもGrolsch Premium Lagerとか、苦味が少なくてすごく飲みやすい。
ラガービールが苦くて苦手という人は、一度、サッポロ赤ラベルか、輸入のラガービールを試してみてください。キリンがいかに日本のビールをおかしくしたか、わかるから。



SF Japan 2008 Summer号考課表

2008-09-07 15:14:51 | SF
『SF Japan 2008 SUMMER』 (徳間書店)

日本で出版されているSF専門誌といえば、早川のSFマガジン。
それともうひとつ、長く続いた雑誌が徳間のSFアドベンチャーである。しかし、SF冬の時代を前に、1993年に廃刊。
SF雑誌復刊を目指して2000年に季刊として再開されたのが、このSF Japan。
しかし、いまでは年3回の不定期刊に変わり、雑誌ではなく書籍扱いである。

これも一応創刊号から買っているので、SFマガジンぽく考課表なんぞをつけてみました。

--- 以下は読切小説 ---

『新ミルキーピア物語 へのへのもへじがころんだ!』東野司
+0.0
 名前だけが一緒の別な話。うーん、オチもイマイチ。
 よく考えてみたら、ミルキーピア物語もそんなに好きじゃ無かったよ。

『続シオンシステム(前編)』三島浩司
+0.0
 『パラサイト・イブ』系バイオホラーの系譜。
 前作の結末からつながってんだから、あらすじでネタバレ気にすんな。
 シオンシステム読んでないと意味不明。この先、どっちへ行くのかも五里霧中。これだけでは評価になりません。

『心中少女』石持浅海
-1.0
 先に挿絵を見ながら小説を書く問題小説連動企画その1。SFじゃないし、面白くも無い。

『産医、無医村区に向かう』谷甲州
-0.5
 先に挿絵を見ながら小説を書く問題小説連動企画その2。無理矢理すぎ。
 これって、企画倒れじゃない?
 どっちかっていうと、問題小説に載った小林泰三のが読みたい。

『我は獣にあらず』谷口裕貴
+0.5
 読みきり第2回。でも、前回のがぜんぜん印象にない(ワラ)
 短編でやるには設定を詰め込みすぎ。

『ユニット・プランタ』杉本蓮
+0.0
 SFマガジンのリーダーズストーリーで読んだような話。

『カミが眠る島』八杉将司
+0.5
 新本格科学ミステリィ(ワラ)
 最後にSFになるのが無理やりすぎ。ミステリィのままでいいじゃん。

『DOGDAYS』五代ゆう
+0.0
 「アバタールチューナー」(女神転生シリーズのプレイステーション2用ロールプレイングゲーム)の原案者によるノベライズ(?)
 これまた元ネタを知らないと、設定がよくわからない短編。

『サバトパンク』川上亮
+0.5
 オカルト系ファンタジー。鼠に取り付いてスパイするなんて、『Y氏の終わり』をパクったでしょ!

--- 以下は連載小説 ---

『スーサ』あさのあつこ
+0.5
 本当は怖い昔話風ファンタジー。

『愚かな薔薇』恩田陸
+0.0
 だんだん枚数少なくなってますが……

『地獄で見る夢』森岡浩之
+0.0
 まだ事件の発端なので評価無し

『百万光年のちょっと先』古橋秀之
+1.0
 “百万光年のちょっと先、今よりほんの3秒むかし”で始まるショートショートシリーズ。
 1001篇目指してがんばって欲しい。

『蘆野原偲郷』小路幸也
+0.5
 妖怪みたいな“事”を祓う一族の、ちょっとほんわかした物語。こういうのが間に入っているとほっとします。
 内容はなんてことないものなんですが。

『火星のプリンセス・リローデッド』火浦功
+1000000.0
 セカイ広しといえども、火浦功の新作が読めるのはSF Japanだけ!
 っていっても、また1ページしかないけどな。

--- ここまで ---

うーん。連載陣は悪くないんだけど、読切が……。モノによっては同人誌レベルじゃないかと思われ。
いや、ファンタジー系が多いので、単純に好みの問題なのかもしれないんですが。

SF Japanは日本SF大賞と、日本SF新人賞の発表媒体でもあるわけで、海外SFのハヤカワに対抗する日本SFのトクマであって欲しいんですよ。
でも、日本SF新人賞出身者の活躍って、新潮社のファンタジーノベル大賞や、角川書店のホラー大賞に比べ、少ないですよね。小松左京賞出身者よりも少ないくらいじゃないですか?

どこかで見たようなファンタジーや、設定ばかりに凝った小説ばかりで、SFファンにも非SFファンにも楽しめない雑誌になってしまっているように思います。(あと、憑依都市シェアワールドは企画倒れでおしまい?)

まずは、星雲賞日本短編部門賞をSF Japanから出すことを目標に、編集方針を見直したほうがいいんじゃないでしょうか?