最近では古くから使われてきた駅名を観光目的で変更する動きが全国的に広がっているが、京都・滋賀の駅名変更の話題3件について紹介する。
1) 京福電鉄の例
昨年3月、京福電鉄は開業百周年記念行事の一つとして、全20駅中の7駅の名称を一挙に変更して世間を驚かせた。京福電鉄の嵐山本線・北野線には難しい名の駅が多かったが、使い慣れた歴史を刻んだ名称の変更については違和感を持った住民が多かった。しかし、観光客の増加が経営面での最大の課題であった京福電鉄の願望は実現された。
旧名 新名
太秦 (うずまさ) → 太秦広隆寺 (うずまさこうりゅうじ)
車折 (くるまざき) → 車折神社 (くるまざきじんじゃ)
竜安寺道 (りょうあんじみち)→ 龍安寺 (りょうあんじ)
御室 (おむろ) → 御室仁和寺(おむろにんなじ)
高雄口 (たかおぐち) → 宇多野 (うたの)
三条口 (さんじょうぐち) → 西大路三条(にしおおじさんじょう)
嵯峨野駅前(さがのえきまえ)→ 嵐電嵯峨 (らんでんさが)
2) 京阪電車の例
今年の10月19日から京都中心部の3つの駅名が変更されることになる。この変更は下表に示すように旧駅名に近隣の寺社名を乗せた変更であるが、大きい反対運動は無かったようである。私は、鴨東運河の散策ルートとして京都地下鉄蹴上駅(京阪・阪急・JRに直結)から入って京阪丸太町(京都地下鉄・阪急・JRに直結)から帰るコースが混雑を避けることができると考えていたので、疏水の観光面では期待できそうである。
また四条駅と五条駅の名は、京都地下鉄に同名の駅が存在し、混同を避けるという理由も掲げられた。
四条駅 → 祇園四条駅 (祇園に近い)
五条駅 → 清水五条駅 (清水寺に近い)
丸太町 → 神宮丸太町駅(平安神宮に近い)
3) JR湖西線の例
JR湖西線の西大津駅と雄琴駅の名称が今年の3月15日から変更された。この名称変更の問題(西大津駅)については、9年前から地元の住民の要望として動きがあり、平成16年には改名問題が大津市議会にて満場一致で採択され、JR西日本に対し要望を続けた課題であった。また、西大津地区は琵琶湖疏水の取水口のある場所で、疏水を“大津京と平安京を結ぶ水の道”と位置付ける「琵琶湖疏水とさざなみの道の会」という大津のグループとも交流があったので、「大津京」への改名は望ましい課題であった。
ところが、JRとの交渉がまとまり実行段階になって、「大津京」の呼称は学術的に問題があるという反対論が出て大きい話題になった。両派の学者も登場する論争になったが、改名の方針は変わらず、今年の3月15日に両駅において記念式典が行われた。
旧名 新名
西大津駅 → 大津京駅
雄琴駅 → おごと温泉駅
大津京駅の改札内広場にある おごと温泉駅前に新設された
鈴木靖将氏の万葉絵画 無料足湯施設
私は平成7年に「JR神足(こうたり)駅」が「長岡京駅」に改名し、歴史都市として順調に成長してきたと同地に住む友人から聞いている。また近鉄奈良駅周辺では平城京遷都1300年(2010)記念として「平城京駅」の設置が検討されていると聞く。また、ネット上の話題ではあるが、「京都駅」を「平安京駅」に改名してはどうかの提案もある。
今後西大津地区が「大津京駅」の名にふさわしい町として成長していくことを心から期待している。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます