平安神宮の「左近の桜」の狂い咲き

2010-11-01 23:47:17 | 植物と動物

 10月19日のNHK朝の放送で、平安神宮の「左近の桜」の花が50輪ほど咲いたと報道した。また、9月24日の京都新聞では、府立植物園の桜林でもソメイヨシノ中心に異変が起き、9月下旬から落葉が目立ち、まるで初冬のような風景と報道した。その原因の一つが夏の猛暑である。専門書を読むと、一般に桜は4月に咲いたあと、夏に蕾ができて休眠状態に入り、冬に入って一定の寒さがつづくと休眠から目覚めて開花の準備を始め、翌年春に開花すると言われている。
 今年は、猛暑に加えて雨が少なく早く落葉し、落葉によって蕾の休眠を維持するホルモンが失われて、秋に狂い咲きを起こしたと説明されている。若干の予備知識を持って24日に平安神宮を訪れて見学した。
  
    10-10-24-8  両側の低い位置に桜が開花               10-10-24-13  左近の桜の全景

 朝9時過ぎの訪問であったが、驚いたことに開花した桜の写真を撮る行列が出来ており、あわてて撮影したのでピンボケとなってしまった。隣の人に「どこから?」と尋ねたら、「東京から」であった。ラジオ放送にあったので、奈良・京都の一人旅のコースに「平安神宮の左近の桜」の見学を入れたという。改めて情報の広がりに驚いた次第である。
 「左近の桜」は野生種の桜で、調べたら「アカメオオシマサクラ」と判明した。ついでに「右近の橘」を覗いたら、ミカン状の果実が3cmくらいに育っていた。
 「左近の桜」の駒札を読むと、「平安京時代より紫宸殿の南階下の東方に桜が植えられ、儀式のときには“左近衛府”の官人らが、その側に列したことから“左近の桜”と名付けられた」と記載されている。
 今回、国の重要文化財指定の答申を受けた「大極殿」に向かって見ると、右側にあるのが左近の桜となるが、京都御所に向かって右側が左京区になっているのと同じである。
 京都御所の紫宸殿の玉座から見て、左側に「左近の桜」が存在するが、見学者が紫宸殿
の建屋を見ると、右側に「左近の桜」が存在する。くどい説明で恐縮であるが、京都の歴史の重さを感じる話題である。


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