私のマンションのベランダに名前のわからない植物が2鉢あった。同じ区内に住んでいた老婦人(故人)から頂いたもので、鑑賞植物のアナナスの一種と聞いていたが、時々の水やり以外手入れをせず、数年前に葉を根元からカットしたので、その存在すら忘れかけていた。ところが、今年は直径15cmの2鉢に20本の花をつけた。
花の形が珍しいので、くわしく調べてみたら「瓔珞(ようらく)筒アナナス」であることが判明した。
「アナナス」とは南米ペル-語で、パイナップル科に属する多年草の呼称であり、中南米の森林の樹上や岩石などに着生する植物類の呼称である。「瓔珞(ようらく)」とは、印度の貴族が身につけたアクセサリーの呼称であったが、仏教に取り入れられ、菩薩以下の仏像に首飾り、胴飾りとして用いたり、仏壇や仏堂の装飾の一つに利用されているものの名前である。写真を貼付すると、
2011-05-14-4089 鉢植えの側面図 2011-05-14-4097 花と葉の部分の拡大図
葉は厚く細長くて硬質であり、葉の基部が重なり合って筒状になり、養水分をためるタンクの役割をしている。花の基部は桃色筒状で、苞も桃色、花被は黄緑色、縁取りが青紫色という奇妙な配色である。うつむいて揺れる姿も珍しく物静かである。
この植物の雄蕊と雌蕊の生育の時期がずれて、自分が自分で受粉させないようになっており、雌蕊の受粉が可能になると雄蕊は枯れてしまうと説明されている。よくわからないが、複雑な進化の過程を経てきた植物と推定される。
昭和の初めに日本に伝来したが、耐寒性があり、ベランダに放置しても枯れることはない。夏から冬を越して春になるとき、どうなるか初めての観察になるので、楽しみにしている。
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