★しろうと作家のオリジナル小説★

三文作家を夢見る田舎者です。
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彗星の時(18)

2011年10月16日 | 短編小説「彗星の時」
「映身の術・・か」
ヤーコンはそう言いながら、サルサが消えた場所に行き、杖の先で地面を穿ってみると、黒光りする平らな石が出てきた。
「それは、、黒魔石ですね」
ケインが聞いた。
「そうです。『地の国』の鬼道でよく使われる石です。魔力を蓄える性質があるので、さまざまな術に使われます。サルサ導師はここにはいなかったようです。映身の術で、遠い場所からこの黒魔石を通して姿を表していただけですね」
ヤーコンはそう言うと、杖の先で黒魔石を突き割り、シャインたちを振り返った。
「サルサ導師が追っ手ということはかなりやっかいですね。先を急ぎましょう」
割れた黒魔石を見ながらケインが質問した。
「サルサとは何者なのですか」
「『地の国』の鬼道の達人ですが、表の世界にはあまりでてきませんのでケイン様もご存じないでしょう。しかし魔道の世界では闇の実力者、魔人とも言われるほどかなり有名です。その力は鬼道の第一人者ジゼル大導師に勝るとも劣らないとも言われています」
「そんなすごい魔導師が・・」
「ケイン様を襲い、シャイン殿が追い払ってくださった巨大ゾンデも、ヤツが仕掛けたとなれば納得がいきます。とにかく急ぎましょう」
ヤーコンは言い終わらないうちに、かなたに輝く町の灯り目指して歩き始めていた。