大相撲の大阪場所が始まり、昨日から中盤戦に入った。
この6日目あたりから面白くなるのが、力士の勝敗を白と黒で表す星取表である。
今のところ「荒れる大阪場所」と言われる通りの展開になっているようだ。
今場所はあの「ホータイ横綱」こと照ノ富士が引退して東西の最高位がブランクになりそうだったのだが、同じモンゴル出身の豊昇龍が横綱に昇進したので事なきを得た。
横綱になった翌場所の取り組みがいつも注目されるが、豊昇龍は今のところ4勝2敗とまずまずで、初日に黒星を喫してしまった重圧を克服したかのようだ。動きが滑らかになっている。
小結以上の役力士は豊昇龍を含めて7人だが、今場所は早くもどの力士も黒星を交えている。
1敗は大関の大の里のみ、2敗が豊昇龍と小結の阿炎、3敗は新大関の琴桜と関脇大栄翔、そして小結の霧島。新関脇の王鵬は何と2勝4敗。
大鵬の孫にしてはやや不甲斐ない(父親は貴闘力だ)が、まだ25歳と若いのでこれからだろう。身体はそこそこに大きいが、ややスピード不足か。
相変わらず役力士にはモンゴル勢が目立つが、今場所に限れば7人のうち2人だからかつてほどではなくなった。
幕の内力士全体を見ても、42名のうち役力士2人を含めて6名で、一時期は10人を超えていたから少なくなった感は否めない。
もっとも日本人力士の都道府県出身者の数を見ると、かつては一大勢力だった青森や北海道、鹿児島の出身者はすっかり衰退し、代わって首都圏の力士が増えてきている。
千葉や埼玉出身力士が結構上位に昇っている。役力士では大栄翔・阿炎が埼玉、琴桜は千葉。大の里の石川勢も遠藤がおり、先場所まで幕の内だった輝がいる。
幕の内で3名の力士のいる都道府県は千葉、青森、大阪、そして福島。
最後の福島は今場所の星取表で、若元春と若隆景の兄弟力士が、東西の前頭筆頭に横並びになっているのが目をひく。
東の前頭筆頭は弟の若隆景で30歳。西の筆頭は兄の若元春で31歳。年子のようだ。荒汐部屋の同部屋でこれも珍しいかもしれない。
この若元春・若隆景という四股名だが、若を除いた「元春」「隆景」はともに中国地方の戦国大名・毛利元就の男子の名と同じである。
毛利元就に正室に3人の男子があり、長男を元隆、次男を元春、三男を隆景と言ったが、若元春・隆景の兄弟には兄がいてやはり力士になっているようで、もしその四股名が若元隆であれば、毛利元就の三男子から四股名を貰ったのかもしれない。
あるいは元隆・元春・隆景は本名なのだろうか。そうであれば三兄弟にこんなを付けた親(もしくは祖父)は歴史マニアであった可能性が高いだろう。
福島県出身では今場所は西の幕尻になっているが、「白熊」がいる。白熊と言えば鹿児島ではご当地アイスとして人気の「氷白熊」というのがある。その連想のせいか、何となくご愛敬のある力士に見える。
もう一つ特筆に値するのが、東京出身の力士である。役力士の新関脇・王鵬もだが、東3枚目の翔猿の2人。これは幕の内では多い方ではないのだが、十両の番付(東西28名)を見ると何と東に4枚目の紫雷以下4名、西に6枚目の英乃海以下2名。
十両以上は関取待遇だから、東京出身の関取は幕の内42名、十両28名合計70名のうち8名、割合にして11.4パーセントが東京出身のプロ力士ということになり、かつてのモンゴル勢ほどの出世力士ではないが一大勢力になりつつあるのだ(奇しくも今場所のモンゴル勢は幕の内6名、十両2名の総勢8名で、東京と同じ数である)。
またウクライナ出身力士が2名いるのも意外というか時勢というか、頑張れと言いたくなる。東15枚目の安青錦と西13枚目の獅司である。応援しよう。