登山前日の夜にバスを乗るので昼間はジムクライミングをして一度帰宅し、
汗を流して今度はBAR・ブリュッケで夕食とビールを3杯飲んだ。
酔った勢いでバスに乗ったら即寝ようという作戦。
しかし、作戦は失敗し・・・吐き気と闘うはめになった。
バス車内はカーテンで締めきられていて予期せぬブレーキやカーブに身体が着いていかず
高速道に乗るまでは苦痛だった。
松本バスターミナルには6:40頃到着・・・ほとんど寝れなかったよ。
ここで買い出しをして松本駅から電車で白馬駅に向かう。
松本では天気が良かったが白馬が近づくにつれ怪しくなり白馬駅に着いた時には小雨が降っていた。
タクシーで登山口の猿倉へ向うが猿倉も雨だった。
天気予報では後30分程で止みそうだったので小屋で様子を見ることにした。
しかし雨は強さを増すばかりで止む気配が無い。
雨宿りしていると白馬駅を9:35に発車したバスが到着した・・・
30分でも早く山荘に着けるようにタクシーを使ったのになぁ。
ここで諦めて雨具を着こんで10時過ぎに雨中に飛び込んだ。
猿倉を出て20分で雨が止み始め白馬尻小屋に到着する頃には雨が止んでいた。
その代り強風が吹きこんでくるようになったけど・・・
11時だが雪渓を歩き始めたら昼食を食べれないので、小屋前で少し早い昼食を食べる。
最初は靄に包まれていた大雪渓も強風に流され姿を現した。
「うわぁ、どこまで登るんやろ?先が見えへんぞ。」
登り始めてから沢山の下山者とすれ違った。
人気のある白馬やからなぁ。と思っていたが
後にわかったが今朝山頂付近では霙と強風で縦走出来ないと判断した人も居たらしい。
ここからアイゼンを装着し、いよいよ今日のメイン白馬大雪渓を登り始める。
ん~重い!寝不足が効いてるのか足が重いよ。
赤いベンガラ上を歩くと他を歩くよりはるかに楽やと常に沿って歩いた。
休憩も傾斜が緩やかで落石が周りに少ない場所で少しだけ休憩した。
落石の中には巨大な岩も含まれており、もしも・・・って考えたら早く登り詰めたいよ。
杓子岳からの落石が多いらしく私達が登っている間も落石が数回以上あった。
葱平で雪渓から岩場に上がったが、まだ雪渓があると思いアイゼンを装着したまま岩場を登った。
しかしいくら登っても雪渓が無い・・・
「アイゼン外そうかぁ・・・」遅い判断だったなぁ。
この頃になると天気も快復し青空も見えるようになった。
小雪渓のトラバースはアイゼンを着けなかったが無事に渡り切った。
小雪渓のトラバース中に鳥が現れたので雷鳥?って思ったがやや小さいなぁ。
後に調べたらイワヒバリという鳥らしいね。
雪渓も登り切り久しぶりに座っての大休憩は疲れ切った身体に少しの安らぎを与えた。
しかし、天候は休憩中に激変し靄に覆われ気温が急激に下がり始め
あっという間に10℃まで下がった。
休憩場所から村営頂上宿舎までは通常は一時間程の道のりのはずだが・・・
視界を奪われ、体温も気力も奪われた身体では一歩一歩が苦しい。
さむい・・・さむい・・・さむい・・・呪文のように連呼しだしたよ。
周りの人でアウターを着ていないのは私だけやんか・・・
余りの寒さに手がかじかんできたよ。
それに追い打ちをかけるように酸素が・・・酸素が・・・
酸素を求めるようにゼイゼイハァハァ、荒い息遣いが続く。
靄に浮かんだ村営頂上宿舎が見えた時には嬉しかった。
しかし、今日泊まる山小屋はここでは無く、お隣の白馬山荘・・・
後20分位の山登りが必要か・・・
稜線に出ると強風が更に激しくなり体力をさらに奪われていった。
早く山荘で休みたいのだが真冬のような気候では思うように足が動かず・・・
しかし歩を止めずに歩き続けた。
もうそこにあるはずの山荘なんだが・・・
すると突然、靄が薄れ山荘が突然目の前に・・・
早速山荘内に入り宿泊の記帳をしようとペンを持つが持った感触が無い・・・
かじかんでいて文字を書こうにも力が入らずミミズの這ったような文字になったよ。
会計時に「自炊はなされますか?」の質問に
私は危うく「なされます。」と返答しそうになった、恥をかかなくてすんだよ。
充てられた部屋は通常20人部屋で混雑時は30人部屋になる部屋の入口近くの布団2枚。
最大宿泊人数1200人は日本最大の山小屋で隣の村営頂上宿舎1000人と合わせれば
2200人の収容が可能という事になる、流石は人気のある白馬岳やなぁ。
部屋で整理を終えて一段落ついたんでスカイプラザへ行きビールで乾杯って行くところを
余りの寒さにビールからホットミルクティーに変更したよ。
スカイプラザで談笑している最中にも外では山荘まで頑張って歩いているハイカーが
幾人も寒さに耐えヘトヘトになりながら山荘を目指して奮闘していた。
白馬山荘の自炊室はスカイプラザの下の階にあり嬉しい事に建屋内にある!
この強風で外で自炊なんて事になったらなんて考えたら・・・
寝不足と疲れであまり食欲が無く少し食べただけで布団に潜り込んで就寝した。