KAMATA CYCLE

子供の時から自転車に乗り続けて現在でもMTBを中心に活動しています。

2019年1月12~14日 山梨県甲斐駒ケ岳黄蓮谷右俣

2019年01月19日 08時41分41秒 | OUTDOOR

 昨年の中央アルプス・宝剣岳F沢では氷の状態が悪くて登れず、今シーズンのアイスは今回が一発目となった。

金曜日の夜から車を飛ばし甲斐駒ケ岳の登山口近くの道の駅で仮眠し朝に登山口へと着いた。

 今回のメンバーはF沢と同じく、こっしーとほっきーが同行のメンバーだ。

今日は重い荷物を背負い三大急登で有名な黒戸尾根を5時間程登ってテン場にテントを張って終了となるので

出発は少し遅く8時過ぎに歩き始めた。

 テン場まで見所らしいものが無いのでただただ苦痛だったがそんな時に私達を励ますかのように一羽の雷鳥が現れた。

雪の無い森に真っ白な雷鳥はむしろ発見してくださいと言わんばかりであった。

南アルプスで雷鳥を見ることが出来るなんて思ってもいなかった、これは吉兆か!

 歩き始めて5時間・・・やっと五合目小屋跡に着いたよ。

テントを設営前に黄蓮谷の下降ポイントを確認したが沢筋に確実な踏み跡が無く、テン場からの道が下降しているので

こちらを下山し途中で沢に行くのか?

うーむ・・・悩んだ挙句、テン場の他のパーティーが翌朝4時に出発すると小耳に挟んだので我々は4時半に出て

トレースを辿って下降するという他力本願で行くことにした。

 テントを設営しコップに一杯も無いウイスイーで軽く乾杯。

そして明日の為に18時には就寝した。

 翌日3時に起床し朝飯を食べて出発の準備をしながら向こうの様子を探る。

4時を少し過ぎた時に女性を含んだパーティーが出発したのだが私達のテントの横を通らなかった・・・

テント横の道が下降路では無いのか?それとも用足し?

テント内でざわつき始めテントの入口を開けて外の様子を見て確認する。

もう一つ男性二人のパーティーが要るだけだったのでやはり谷へ向かったみたいだ。

なら下降路は別の所からのアプローチ?

 とりあえず私達も外に出て出発の準備をしていると、男性二人がテント横を通過したので挨拶するついでに

右俣ですか?と聞くと右俣ですと返事があり、ならば同じと私達も準備が終わったら彼らの後を追った。

踏み跡を辿り下降して行くと先行する彼らのヘッドライトが見えるようになると、

彼らから「私達も道に迷ってますので」との一言が・・・

そうなんだと、私達は自ら道を切り開こうとしても三方塞がりになり協議中に、今度はモモンガに体当たりされてしまった。

そして私達はテント場まで戻り、もう一つの沢筋を下降することにした。

 4時半に出発したのに6時に出戻り・・・そして下降、こちらは約一時間の下降で無事に谷へとたどり着く事が出来た。

氷結していない小滝を巻くと坊主ノ滝が見えて来た。

おっおっー氷結してるぞぉ!

滝には3パーティー程がとりついているなぁ。

 早速登る準備をしホッキーのリード、ビレイ私で登り始める。

氷は固くアイゼンの爪もバイルのブレードも刺さり難くてセカンドでも登るのが怖かった。

時に斜度の変化する乗り越しが怖かったなぁ。さすが今シーズン初のアイス緊張感たっぷりだぁ。

 乗り越した後のスラブは怖いというより気持ち悪い感じでアイゼンの爪を利かす為に爪を立てると脹脛が悲鳴をあげる。

やはり無駄な下降と登り返しで奪われた体力が・・・

 引き返すならまだ可能だが来年以降も来るのか?しかも今日ほどの好条件は中々ないよなぁ。

 奥千丈ノ滝の手前の小さな滝だと思い登って通過してしまったが後々これが奥千丈ノ滝だと気が付いた。

通過する時はただの小滝とナメ滝だと・・・

頑張って登って登って下を見ると・・・滑ったら死ぬな確実に・・・

こうなると高所恐怖症がアダとなり神経も擦り減るなぁ。

 続く瀑流帯はザイルを結ぶほどでは無く・・・でももし滑落したらん百メートル滑り落ちる傾斜・・・

昨日降った雪が所々に雪だまりを形成していてそこでは安心して休む事が出来た。

 標高も2400mを越えてきて酸素が薄く感じてきたら少し歩いたら休んで登るを繰り返すようになった。

登れば登るほど、疲れも激しく喉の渇きも激しく・・・でも飲み水が乏しく・・・雪を口に運ぶも脱水症状の痙攣は収まらず・・・

疲労も極限に達しようとしていた時、ハイマツ帯で蹲りそのまま寝てしまえば楽になるのかな?とか考えながら・・・

 死ぬほど辛い登りも歩いて行けば、いつかは終わる。

それは今日も例外では無いが無いのですが・・・今日ほど足が動かないと大変だった。

 高山病に脱水症状と登山してきた今までで一番きつい山行だったなぁ。

稜線の登山者が見えた時はめちゃくちゃ嬉しかったわぁ。

でもその稜線までも中々着かず・・・

 15:30にやっとの思いで稜線に辿り着くと雪面にへたり込んだ。

 七丈小屋へ3人宿泊出来るか早速電話をしてみると「満室で素泊まりの屋根裏でなら」と言われ文句なく承諾し

五合目のテントまで戻らなくて良いんだとホッと一息ついた。

さて下山して小屋に向かうかと思いきや、「せっかくやから山頂で記念写真撮ろう」と2人に言われたが

私は嫌、無理、いかへんと言うが直ぐそこやからとか荷物は置いて行けば良いやんとか言われて山頂に向かった。

 山頂からは南アルプスの北岳、鳳凰三山、仙丈ケ岳等が見え、そしていつもお世話になっている八ヶ岳の雄姿が見えた。

 後は登山道を降るだけなんだが・・・脚の踏ん張りが効かず下山もこれまた辛い・・・

山頂から一時間程度で七丈小屋に到着しやっと安息の時がやって来た。

 受付を済ませ小屋に入ると小屋には初老の男性が1人居るだけだった。どうやら食堂で夕食を食べている最中らしい。

片付けるのに丁度良い時間に到着したなと思いつつ売店でビールとカップラーメンを買ってきて右俣踏破の祝杯をあげた。

 カップラーメンを食べ終わりビールを飲んでいると夕食を終えた他の宿泊者が小屋に戻り始めた時に、

明日は下山したら何を食うかという話になり、「ほうとうを食べたい!」と言ったら2人に「ほうとうはこの前たべたからほうとう以外で!」

と言われて駄々をこねるもほうとうは却下された・・・

 寝返りをうてるってテントでは出来ない芸当のお蔭で筋肉は解れ筋肉痛にはならず、睡眠もバッチリで気持ちの良い朝を迎えた。

他の登山者が出発した頃のそのそと起きて来て下山の準備をし売店でグッズを買って下山を始めた。

 五合目でテントを撤収してザックを背負うと・・・これまたヘビー級の重さが肩に食い込む・・・

頑張れ自分!後は下山あるのみ!と自分で自分を励まし下山した。

 約4時間で下山を終えて温泉に入り三日間の垢を落としてサッパリとして

国道20号線の開いてる飲食店に飛び込み遅いランチを食べて腹を満たした。