マーク・ティクルさんも、今回のコンベンションで、ピープルズチョイスアウォードを受賞しました。 タイトルは「Paradox (パラドックス)」です。
ガラス製の長い筒の先に オイル入りのオブジェクトケースがあり、そのノブを回して映像の展開を楽しみます。
ミラーシステムを隠したイリュージョンタイプや、3Dの奥深い世界を外から見せる本体などでユニークな世界を演出してきた作家さんですが、今年の作品はそういった意味ではオーソドックスなタイプの万華鏡といえるのではないでしょうか。
安定感のあるスティール製の台座は、今年のパーラータイプの多くに使われています。
オーソドックスながらもスマートな美しさとバランスの良さ、そしてきれいでユニークな映像表現で票を集められるところに、彼の実力を見せつけられた感があります。
覗き口はふたつありますが、ミラーシステムは3ミラーシステムがひとつだけです。 ふたつの覗き口(アイホール)から 同じミラーシステムを通して同じものを映し出しながら、異なったユニークな映像が見えています。
30-60-90度の3ミラーシステムで、一つ目のアイホールからは、マスキングの手法で切り取られた6ポイントの星型の映像が見えます。大きな映像の一部を切り取っているので、模様の見え方が、2ミラータイプとは違って、中心がずれて見えるのがお分かりになるでしょうか?
ふたつ目のアイホールにそのまま目を移すと、こんな映像が見えています。
まるで2種類のミラーシステムでそれぞれ見ているような違いを一つのミラーシステムから生み出すのが、本当に面白いですね。 これがパラドックスの意味でしょうか。
セルを回転させて、違う色模様を映し出してみます。
そして
もう一点、マーク・ティクルさんがサイレントオークションに出品した作品です。
タイトルは「XXV」 オークションのテーマ「25回目のコンベンションを祝う」ところから、ローマ数字の25を表しています。
そして映像にそのタイトルの意味が隠されています。
30-60-90度の3ミラーシステムの一部をマスキングすることで、2ミラーの映像がたくさん見えるような印象です。 マスキングの部分に抜かれた文字が、「X」と「X」と「V」なのが見えていますね。
サイレントオークションは、その年のコンベンションのテーマに合わせて、作家さんが特別に作る万華鏡です。 それがオークションにかけられ、最高価格を提示した人のもとに届けられます。 サイレントというのは、競り合う人のやり取りが紙の上で行われるからです。
今年のテーマは「コンベンション25周年」と「アート」でした。 テーマに合わせて工夫を凝らした作品は、ほとんどが1点ものです。価格が高くなって競りには参加できなくても、毎年じっくり見て、作家さんのアイディアや創造性を見つけるのが楽しみです。