万華鏡の楽しみ ガラス色の幸せ

万華鏡の魅力、ガラス色の幸せを伝えたいと思います

「時を進めよう」  日本万華鏡大賞グランプリ受賞作品

2011-12-06 22:56:54 | 万華鏡ブログ

日本万華鏡大賞展も今回が12回目を数えます。 アイディアと楽しさにあふれた万華鏡を広く一般から募集して、優秀作品を選び、東京の科学技術館を皮切りに全国5箇所で展示するものです。
科学技術館(千代田区北の丸公園)では、12月4日から11日まで開催されます。

今年は誰もがあの大震災にショックを受け、その後の不安感を抱えながら過ごしてきました。 
万華鏡のみならず、作品を作れなくなったというアーティストも多かったと聞いています。 それでも少しずつ前を向いて一歩を踏み出そう!という気持ちと勇気を持って、万華鏡を作り始めた人たちが、その思いを込めて今回の万華鏡展に出展しています。

今回グランプリを受賞なさったのは、村越通浩さん。「被災した方々が立ち止まらず自分の時を進めてほしい」と願って制作した「時を進めよう」は、震災で壊れてしまった時計を万華鏡の外観のデザインとしました。 14時46分を指したまま止まってしまった時計です。

映像にも自然の驚異に満ちたこの地球を表現する試み。 箱の上部の2つの覗き口から、別々の世界が見えています。 深く青い海は3ミラーシステムを通してこのように見えています。

また地底奥底から湧き出る真っ赤なマグマは、こんな風に表現されました。


時計の左上の透明な球体は、地球儀です。万華鏡の映像を内部から映し出しているので、大陸が万華鏡模様になっています。
季節の移り変わりのように、色模様を変える大陸。とても面白いですね。

科学技術館では、校外学習の小学生達もたくさん訪れて、万華鏡を楽しんでいました。いろいろな反応があり、興味深く見ていましたら、引率の先生のほうが熱心に見ているグループもありました。 触っていいですかと聞いたうえで、超高速でホイールをまわすこども達に、もう少しゆっくりまわしてねと慌てる場面もありましたが、何も予備知識のないこども達にはちゃんと見方を伝えることも大切なこと。 そうすれば、万華鏡の魅力は伝わるに違いないとも思いました。 小学生の君達、楽しんでくれたでしょうか?

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雪の万華鏡

2011-12-04 17:16:35 | 万華鏡ブログ

ローラ・ワイルドさんの雪をテーマにした万華鏡をご紹介します。いずれもアクリル製の筒にラミネート加工した紙を巻き、装飾を施しています。 丁寧な手づくり感のあるローラ・ワイルドさんらしい万華鏡です。 
写真一番左は「Silver Snow シルバースノー」
ローラさんのオブジェクトセルはいつもたっぷりのオブジェクトの入っているオイルセルです。粒状のビーズから大きくて装飾を施したビーズまで、色彩のコーディネートが上手で、外から見ても美しいです。 映像はダイナミックに変化しますが、キラキラとした雪の感じがよく伝わってきます。

真ん中は「Midnight Snow ミッドナイトスノー」
ブルーやシルバーのオブジェクトの組み合わせは似ていますが、ミラーシステムの一部をマスキングという手法を使い、映像に黒い模様を重ねています。この黒い模様は動かずいつもあるのですが、映像部分の輝きに満ちた青の世界の変化によって、印象がとても違ってきます。また映像の周りに青くキラキラした部分が映り込むようになっていて、幻想的な雰囲気です。

一番右は 「Filigree Snow フィリグリースノー」
真っ白な光沢のある紙に銀線細工のような雪の結晶模様を配し、雪の世界を表現しました。
この作品も映像の周囲を飾る黒い模様を、ミラーシステムのマスキングによって生み出しています。
黒い模様を置くことによって、映像に強い個性が生まれますね。

3つともオブジェクトセルの中の雰囲気はとても似ていますが、黒の使い方でそれぞれが個性的な作品になりました。

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ろうそくの灯り、深い青の輝き

2011-12-01 23:43:46 | 万華鏡ブログ

この万華鏡はジュディス・ポールさん、トム・ダーデンさんによる、「メノラー」というタイトルの万華鏡です。5月の万華鏡のコンベンションの時に、ろうそくの灯に包まれた雰囲気が良かったのと、映像の独特の美しさに惹かれて求めたところ、トムさんがちょっと不思議そうな顔で、「これはジュダイカだけどいいですか?」と聞かれたことを思い出します。
彼らはいろいろなテーマで万華鏡を作る作家さんですが、これはユダヤ教のシンボルでもあるメノラーという蜀台をテーマにした作品だったからでしょう。 
アメリカはかなりの多民族からなる国家ですし、ユダヤ人が多いことも知ってはいましたが、初めの頃は万華鏡のテーマとなっていても、ジュダイカ(ユダヤ教関連の)アートは日本には馴染まない感じもしていました。

でも考えてみたら、異国の文化に根ざすハロウィーンだって日本で楽しんでいるのだから、この作品も万華鏡として優れていると思うなら、日本に持ち帰るのもいいかなと考え、ここにご紹介するに至りました。

この万華鏡の素敵なところは、その映像です。ごらんのとおり、深い青に満ちたオブジェクトセルから、味わいのある素敵な色模様が展開します。

輝きに満ちた青とゴールドの組み合わせは何となく意外だったのですが、覗いた途端に目が離せなくなり、これは美しい!と思いました。

深い色ゆえの吸い込まれるようなオブジェクトの流れもあります。

よく見ればオブジェクトの中にも蜀台が見えています。 落ち着いたブルーの組み合わせも、メタル素材との組み合わせもバランスが取れていますね。

ジュディス・ポールさんのオブジェクトの選び方はいつもうまいなあと思うのですが、その映像は美しく、驚かされる何かがあり、どれも違っていて、しかも魅力的です。

 

 

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