万華鏡の楽しみ ガラス色の幸せ

万華鏡の魅力、ガラス色の幸せを伝えたいと思います

古代の天球儀

2007-07-06 12:35:05 | 万華鏡ブログ
今年依田満・百合子ご夫妻が発表なさった作品は、古代へのロマンと畏敬を表現した壮大なテーマの万華鏡「古代の天球儀」です。この作品のアイディアは、昨年12月の朝日新聞の記事「アンティキティラ機械の復元」から生まれました。ギリシャ近海アンティキティラ島のあたりで見つかった難破船から約100年前に見つかった歯車式の機械は、紀元前2世紀頃のものとわかり、それを復元したところ、実は月の満ち欠けや惑星の動きを計算できる非常に精巧なアナログ計算機と考えられるとネイチャー誌に発表されたというものでした。 世界中にこの機械を研究している人たちがいて、古代テクノロジーの素晴らしさが解明されつつあることに心が動かされて、2200年前の世界を万華鏡で表現なさりたいと考えたそうです。
このアンティキティラ島の機械はオーパーツ(Out Of Place ARTifactS)の一つに数えられています。オーパーツとは、発見された場所や時代とそぐわない考古学的な出土品を主に指し、しばしば現代科学の水準を超えたり、その時代には存在しなかったはずの技術で作られたものが世界中に存在しています。この精巧な差動歯車機構という技術を使い、天体望遠鏡もなかった古代の人たちが創り上げたという機械への不思議と畏敬の念、その頃古代ギリシャの人たちが見上げたであろう星空を思って創作なさったのが、この万華鏡なのです。
復元された機械にできるだけ忠実に作るための40枚弱の歯車の調達には苦労なさり、それらをまた作動させるのに大変多くの時間を費やしたそうです。そのために今回、万華鏡の部分に割く時間が少なくなってしまったのが残念であること、さらに良い映像を生み出すアイディアがもうすでにあることを教えてくださいました。本当に多くのエネルギーをかけて生み出された作品なのです。ギアの動きの中にオブジェクトケースの動きも合体されており、手でノブを回すと回転が伝わり、映像の変化を楽しみます。アクリルのボディーには細かい目盛りや古代のことばが正確に彫りこまれてあり、中で動く歯車の動きと合わせて、美しい機械の印象です。傾けて万華鏡を見ますが、垂直に立てると彫り込まれた3つの円に光が当たり浮き上がって見える仕組みになっています。この作品は7月18日から24日まで新宿伊勢丹6階で催される依田ご夫妻の万華鏡展で展示されますのでお楽しみに。明日は内部映像の秘密に迫ります!
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