今日はアメリカで万華鏡を広めた初期の功労者、チャールズ・ブッシュ(1825-1900)について書こうと思います。彼は「ブッシュスコープ」と総称される数多くの万華鏡を考案し、製作しました。チャールズ・ブッシュは1847年ドイツ(当時のプロイセン)からアメリカへ移住して、父親を助けて働き、後にビジネスを成功させましたが、顕微鏡、望遠鏡、天文学、写真などにも興味を持ち、熱心に研究をしていました。1870年代前半から万華鏡をデザインし、工業生産するようになりましたが、当時としては驚くほど品質が安定していたそうです。 ブッシュスコープの外観の特徴は黒い厚紙の筒、舵輪のような真鍮製の取っ手がついた回転するオブジェクトセル、そして木製のスタンドに載っていることです。特筆すべき特徴はガラスオブジェクトの充実、特にガラスアンプルです。細いガラスの筒に液体と空気の泡を閉じ込めたもので、オブジェクトセルの回転を止めた後でもアンプルの中に動きのある面白さがあります。この技術は簡単なものではありませんが、後年ビル・オコナー、シャンティデヴィ、マーク・ティクルなど現代の作家達にもマスターした人がいて、それぞれのオブジェクトセルの中に見ることができます。ブッシュスコープに魅せられ、レプリカを作ろうとしたクレイグ・ムッサーが、ガラスアーティスト、ビル・オコナーにこのガラスアンプルの製作を依頼し、その試行の過程で、もっと素晴らしい自分達の万華鏡ができるのではないかというところから、カレイドスコープ・ルネッサンスは始まりました。20世紀になってからは子供のおもちゃとして細々と存続した万華鏡でしたが、ブッシュが万華鏡を作り始めてから約百年後、まさにブッシュスコープが引き金となって新しいアートとしての万華鏡が生まれてきたと言う意味では、ブリュースター郷についで大きな影響力を持った人物と言えるでしょう。この写真はブッシュスコープの内部映像です。
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