野田麻里さんの「Meditation(瞑想)」という万華鏡をご紹介します。 野田さんは、色味のきれいなガラスをテーマによって選び、明るくきれいな作品が多いイメージですが、今回はクラシックな感じが素敵です。 黒いガラスに金色で絵付けをし、スランピングという技法で半筒型に焼き、合わせて筒にしています。 半田部分は金色に合わせて胴色にしてあり、全体の雰囲気を高めています。
オブジェクトセルの周りにもちょっとした装飾を施しています。 オイルセルにはガラスやビーズなどが入っていて、この万華鏡の雰囲気に合わせた映像表現です。 アンティークのような古びた味わいにピッタリの模様が、流れるように展開します。
コージー・ベーカーさんは著書の中で、万華鏡の映像に集中することは、瞑想するのと同じようだと書いています。 私たちは美しい映像を筒の中に見つけた時、感覚的に美しいと思います。 映えず変化し続ける美を追ううちに、万華鏡の映像は感覚にとどまらず、私たちの心にまで何かしら影響を与える気がします。 調和のとれた美しい形を見つめることで、心が安らぐ経験はありませんか。
野田さんはラファエロ展で感動した経験から、イタリアルネッサンスから得たインスピレーションをこの万華鏡に表現なさったそうです。 ラファエロの聖母子像など見ていると心が落ち着く気がして、そのような万華鏡を目指したと伺いました。
落ち着いた華やかさがあり、随所に可愛らしさを感じる万華鏡映像です。
この作品を手にとって、《瞑想》してみてはいかがでしょうか。