前回に続いて、清野一郎さんの陶の万華鏡をご紹介します。
上の写真の白い作品は「Coral (珊瑚)」という万華鏡で、白さが美しく目を惹きました。
この作品に限らず、清野さんの作品の白い線状のオブジェクトは陶なんだそうです。 オブジェクトにも陶を使うのは、陶芸家としての清野さんのアイディアですね。
筒の内部に広がるのは少し変化のある2ミラー映像です。 ミラーシステムの第3面(ミラーを2面にV字状に組んだ時、その間をつなぐ面) に、少し反射する筒状のものを配した結果、このような映像になっています。
海をテーマにした作品が他にもいろいろありました。 次は「Message to Sea メッセージ トゥ シー」です。 青と白の筒に金色を配して 波のような模様を浮かびあがらせています。
二等辺三角形に組んだミラーシステムに少し変化を加えて、、平面の中から飛び出す模様が立体的に見えています。
陶の筒に異素材のオブジェクトセルを組み込む際に、はんだを使うことが多くなりますが、清野さんはそのあたりも、素材の雰囲気を壊さないように配慮して装飾はんだにしたり、はんだの色を作品ごとに選んで、変化をつけています。 次の作品は「Coral Reef (サンゴ礁)」という万華鏡です。
半透明の背景には細いラインが入り、周りを囲むハンダにも表情がありますね。二等辺三角形に組んだミラーシステムによる映像です。
ターコイズやブルーなどの爽やかな色合いがサンゴ礁のある美しい海を見ているようです。
ギャラリーの入り口付近に飾られていた大きめの作品 「Aurora オーロラ」です。 昨年IKA 国際万華鏡協会展で優秀賞を受賞した作品です。 波打つ陶の表情がオーロラの光の揺らぎを見せているようです。
大きな覗き口からはまさにオーロラそのもののような映像が見えています。 とてもインパクトのある映像で、これも万華鏡!とびっくりなさる人も多いのではないでしょうか。
季節や自然、宇宙や古代文明、歴史などさまざまな世界に心を遊ばせることができる清野さんの陶の万華鏡です。
陶芸家として個展の回数も29回を数えるそうですが、そこに、万華鏡が加わったことで、知らなかった万華鏡の世界を知ってくださった方も多いと聞きます。 ありがたいことです。