鏡花水月紀。

日々の言の葉、よしなしごと。

人おこしの明かり。

2010-10-26 | ぐるぐる町家巡遊
今朝のHK新聞に70年代に活躍した?めんたんぴんという
フォークグループのリーダーの方がコラムを書いていました。
賑わい創出、町の活性化という言葉を錦の御旗にしてやってくるコンサルタントのこと、
各地のB級グルメブームをちくりと揶揄した中で
印象にのこった言葉が「人おこし」でした。

先日大野町で行われた町家巡遊では、
町家拝見として一般の町家を特別に公開して広く皆さんにご覧いただいていました。
その中にはお住まいとして住んでいる家もあれば、
持ち主はいらっしゃいますが、住まいは別に構えてあって、
ふだんは使われていない家も数軒。
今回「林檎ぽっと商店」が開かれたM家もふだんは使われていない家のなか一つ。
かつては自転車さんとして町の皆さんが利用されていたところですが、
人の住まない家というのは寂しそうにみえるもの。
(かたかご庵も最初はそうだったなあ 金沢R不動産blog←見るとみんなに助けてもらったことを思い出して涙目になる~~)。

それが9月下旬から掃除、商品の搬入、レイアウトが行われ、
最後に灯りが灯ったとき、家がとても嬉しそうにしているように感じたものです。
ましてや巡遊が始まり、大勢の方が出入りするようになると、
かつての店の賑わいがもどったように、家がもっと活き活きとしてくるから不思議です。
期間中、そういう家の様子を肌で感じ取られたご当主のMさんは、
巡遊の終る時間が近づくにつれて、
「もう終るんだね~」と何度も何度もスタッフのKさんやTさんに仰っていたとか。

町家巡遊は町家と町家のある町を巡っていただきながら、
暮らしや生業の中で使いこなされている町家の空間を体感してもらうイベントですが、
実は住んでいる町の方々にも、町家というもの、町家のある景観、
自分の町というものを改めて考えていただく機会になればという意図もあると思うのです。

身近にあればあるほど、そのことやその物の大切さやアタエがわからないのが世の常。
Mさんもきっとふだん使われていない家が活き活きする様をみて、
心に感じるものがおありだったのだろうと思います。

それがずっと熾火のように心に灯り続け、
やがて炎になったときが人おこしの明かり。
巡遊は終っても消えることなく、町家に灯れと思うのでした。


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