鏡花水月紀。

日々の言の葉、よしなしごと。

眠りについたゴロウ。

2007-05-27 | 猫のこと。
先週の木曜の夕方、実家にいる3匹の猫のうちの1匹、
ゴロウが静かに旅立ちました。

ゴロウは苦労の多い猫でした。
近所の家が引っ越すときに置き去りにされ、
野良猫になりかけたところを、実家が引取りました。
5年ほど前のことです。

ゴロウはとても性格の穏やかな猫でした。
先に家にいたユウキとモモには遠慮をし、自分の分を弁えるかのよう、
2匹の前では決して人に甘える事がありません。
2匹の目が届かないところでゴロウの傍に座ると、
そっと前足を人の膝に伸ばして、喉をならし甘える子でした。

実家の前の道路は車の往来があるので、ユウキとモモは外に出さずに飼っています。
けれどもゴロウは前の家で、内と外を自由に出入りして飼われていたためその癖が抜けず、
また去勢もしてなかったので、外へ出たいと訴えると出すようにしていました。
それが災いして、この子にはまた過酷な生を与えてしまいました。

ある日、バタン、バタンとおかしな音が玄関先でするので母が玄関に向かうと、
ゴロウが前足に大きな虎バサミをつけたまま帰ってきていました。
実家なら外してくれると必死に帰ってきたのでしょう・・・・・・。
母は隣の家の奥さんに頼み、二人がかりで虎ばさみをはずしました。
かろうじて骨こそ折れていなかったものの、ゴロウの足は腫れ上がり、
しばらくは、まともに歩くことができませんでした。

そしてそれから2年ほどたったある日、
それは今から半年ほど前のことだったでしょうか。
4、5日ほど帰って来ないと母がもらしていた挙句、
帰ってきたゴロウは口の周りを血だらけにして帰ってきました。
これは想像ですが、たぶん、心無いどこかの誰かに、
顔を思い切り蹴り上げられたのです。
それ以来、ゴロウは鳴き声を出すことはなくなり、
感情を一切、表すことがなくなりました。
可愛がるのも人、痛めつけるのも人。

今、赤々と燃えるツツジの花のもと、ゴロウは静かに眠っています。




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